高齢化が進む日本では、介護を必要とする人が増えています。その中で、介護と医療の両方のケアが必要な高齢者も少なくありません。そのような高齢者にとって、介護医療院は大きな選択肢の一つです。介護医療院は、医療保険制度に基づく施設であり、介護と医療の両方のケアを提供できます。
この記事では、介護医療院の概要や特徴、メリット・デメリットについて詳しく解説します。介護医療院を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
介護医療院とは、介護保険法に基づく施設です。介護と医療の両方を提供できる施設として、2012年に介護療養型医療施設の廃止と共に新設されました。
介護医療院では、入居者の日常生活に必要な介護サービスを提供するとともに、医療的なケアも提供します。具体的には、以下のサービスを提供しています。
介護医療院は、入居者の状態や希望に応じたケアを提供するために、Ⅰ型とⅡ型に分けられています。
Ⅰ型は、重度の要介護者や医療的ケアが必要な高齢者を対象としています。医師、看護師、薬剤師、介護職員などの専門スタッフが24時間体制で常駐し、入居者の日常生活や医療ケアをサポートします。Ⅱ型は、比較的状態が安定した要介護者を対象としています。医師、看護師、介護職員などの専門スタッフが常駐していますが、Ⅰ型ほど24時間体制ではありません。
介護医療院の利用を検討する際には、自身の状態や希望に応じてⅠ型とⅡ型のどちらの施設が適しているかを判断することが大切です。
介護医療院の主な提供サービスは、以下の3つです。
介護サービスは、入居者の日常生活をサポートする重要な役割を果たします。入浴、排泄、食事、衣類の着脱などの基本的な介助に加えて、リハビリテーションも提供しています。リハビリテーションでは、身体機能の維持・向上や、自立した生活を送るための支援を行います。
医療サービスは、入居者の健康を守るために欠かせないものです。診察、薬剤管理、看護など、入居者の状態やニーズに合わせて、必要な医療を提供します。また、急変時などの対応にも迅速に対応できます。
生活支援サービスは、入居者の生活を充実させるためのサポートです。レクリエーションや相談支援など、入居者が心身ともにいきいきと過ごせるように、さまざまなサービスを提供しています。
介護医療院は、介護と医療の両方のケアを提供できる施設です。そのため、介護が必要でかつ医療的なケアも必要な高齢者にとって大きなメリットがあります。介護医療院のメリットは、大きく分けて以下の3つです。
以下で詳しく解説していきます。
介護医療院の最大のメリットは、一元的な医療・介護管理が可能なことです。
介護医療院では、医師、看護師、介護職員などが連携して、入居者の健康状態や生活状態を把握し、個別のニーズに応じたケアを提供します。そのため、入居者は介護や医療の担当者を別々に訪問したり、連絡したりする必要がありません。一元的な医療・介護管理により、以下のようなメリットがあります。
介護医療院では、医師、看護師、リハビリテーション専門職員などの専門的な医療知識と技術を有するスタッフが常駐しています。そのため、入居者の急変時などの対応にも迅速に対応でき、医師、看護師、リハビリテーション専門職員などの専門的な知識と技術により、入居者の健康を守ることができるのです。
また、専門的な医療知識と技術により、入居者の生活の質を向上させることができます。その他にも、入居者の健康を医療スタッフが担うことで家族の負担を軽減でき、家族が入居者の生活面のサポートに集中できるのです。
専門的な医療知識と技術の提供は、介護医療院の重要なメリットです。
介護医療院では、入居者の状態や希望を踏まえた綿密なケアプランを作成し、それに沿って医療・介護サービスを提供します。そのため、入居者は自分の希望やニーズに合ったケアを受けられます。
その他にも、入居者の希望やニーズに合ったケアを受けることで、家族の負担を軽減できます。さらに、綿密なケアプランに基づくサポートにより、入居者の状態や状況の変化に対応できます。
介護医療院は、介護と医療の両方のケアを提供できる施設であり、介護が必要でかつ医療的なケアも必要な高齢者にとって、大きなメリットがあります。しかし、介護医療院には、以下のようなデメリットもあります。
介護医療院は、介護保険サービス費用に加えて食費や居住費などの費用がかかります。
介護保険サービス費用は、要介護度によって異なります。要介護1の場合は、1日あたり約1,000円、要介護5の場合は、1日あたり約5,000円です。食費は、施設によって異なりますが、1日あたり約500円から1,000円程度が一般的です。居住費は、施設によって異なりますが、1日あたり約3,000円から5,000円程度が一般的です。
そのため、介護医療院の費用は、月額で約10万円から20万円程度が目安となります。介護保険サービス費用は、介護保険を利用することによって1割から3割の自己負担となりますが、所得や預貯金額によって自己負担割合が異なるため、注意が必要です。
介護医療院はまだ数が少なく、入居したい施設が見つからない場合もあります。2023年7月1日現在、全国に介護医療院は約1,400施設あります。これは、介護療養型医療施設の約3分の1にあたります。介護医療院の開設には、一定の基準を満たす必要があるため、開設が進んでいない地域もあります。
また、介護医療院は入居者の状態や希望に応じたケアを提供するために、医師や看護師、介護職員など専門的なスタッフを配置する必要があり、人材不足が課題となっています。
これらの制約により、介護医療院の利用を希望するすべての人が入居できるとは限りません。介護医療院に入居を希望する際には、利用可能な施設の制約についても、十分に検討することが大切です。
自宅環境との違いによるストレスも、デメリットの一つです。介護医療院は、一般的に病院や施設内にあり、自宅とは異なる環境です。そのため、以下のようなストレスを感じる可能性があります。
これらのストレスを軽減するためには、入居前に施設見学や体験入居を実施し、自宅環境との違いを把握することが大切です。
介護医療院は、介護と医療の両方のケアを提供できる施設であり、介護が必要でかつ医療的なケアも必要な高齢者にとって、大きなメリットがあります。
しかし、高額な費用負担や利用可能な施設の制約、自宅環境との違いによるストレスなど、デメリットもあります。これらのデメリットを軽減するためには、制度を利用することや施設選び、心のケアが重要です。
介護医療院の費用は、介護保険サービス費用に加えて食費や居住費などの費用がかかります。そのため、費用面がネックとなり入居を検討できないケースもあります。これらの費用を抑えるために、いくつかのサポート制度が活用できます。
介護医療院の利用を検討する際には、これらのサポート制度について確認しておくことが大切です。
例えば介護保険は、介護が必要になった高齢者が必要な介護サービスを利用できるようにするための社会保険制度です。介護医療院の利用も介護保険の対象となります。
自治体によっては、介護医療院の利用者に対する補助制度を設けている場合があります。ただし、補助制度の内容は、自治体によって異なります。
介護医療院の利用を検討する際には、以下のようなポイントを押さえておくことが大切です。
介護医療院は、入居者の希望やニーズを十分に考慮して、慎重に選ぶことが大切です。
介護医療院では、入居者の心身の健康を維持するために、コミュニケーションと心のケアが重要です。入居者の思いや気持ちを理解し、その思いや気持ちを尊重することが大切です。
入居者の不安や孤独感を解消し、生きがいを持って生活できるように心のケアをサポートすることが大切です。コミュニケーションと心のケアを行う際には、以下の点に注意しましょう。
介護医療院は、介護と医療の両方のケアが必要な高齢者にとって、安心して暮らすことができる施設です。しかし、費用負担や利用可能な施設の制約などのデメリットもあります。介護医療院を検討する際には、メリットとデメリットをよく理解した上で、自分や家族に合った施設を選ぶことが大切です。
介護医療院では医療スタッフと介護スタッフが連携して、個々のニーズに応じたケアを提供します。そのため、入居者や家族の積極的なコミュニケーションと協力も必要です。