ターミナルケア加算とは?算定要件や留意点も詳しく解説!

2024.06.03

ターミナルケア加算とは、人生の終わりが近い方に対して、行われたターミナルケアを評価する
加算です。
厚生労働省が定める基準に適してターミナルケアを行う体制が整えられた事業所が対象となります。

この加算の請求をするにあたって、どのような算定要件があるか把握することはとても
重要なことです。

ここでは、ターミナルケア加算の算定要件や算定額、加算の注意点などを詳しく解説していきます!

ターミナルケア加算とは?

ターミナルケアとは、終末期ケアのことです。
介護サービスを利用している方の尊厳を維持し、その人らしい過ごし方で人生の最期を
迎えられるよう療養上の支援を行うことです。

このターミナルケアを行う体制が整った事業者が実際にケアを行うことで評価され、加算されます。
ここからは、対象となる利用者と対象となる介護サービスについて説明していきます!

 ターミナルケア加算の対象利用者

ターミナルケア加算の対象となる利用者は、もちろんターミナルケアを受けている方
となりますが、ターミナル、終末期と判断される状態とはどのような状態なのでしょうか?

簡単に説明すると「病気の治癒が見込めず、積極的な治療ができなくなった時、
または寝たきりで食事が取れなくなった状態」をターミナル、終末期とされています。

具体的な病気の例をいくつか上げると「末期がん」「認知症」「筋萎縮性側索硬化症」
「筋ジストロフィー症などの難病」が挙げられます。

また、「老衰」により徐々に食事などができなくなりターミナル、終末期に移行される人も
少なくありません。

このような理由で、終末期を迎えた方に対して、ターミナルケアを行いそれらを評価し
加算されるものをターミナルケア加算と言います。

 ターミナルケア加算の対象となる介護サービス

ターミナルケア加算の対象となる介護サービスは以下の4つのサービスです。

  • 訪問看護 ※要支援者である「介護予防訪問看護」はターミナルケア加算の対象外なので
    注意が必要です。
  • 介護老人保健施設
  • 定期巡回、随時対応訪問型介護看護
  • 看護小規模多機能型居宅介護

※2024年度の介護報酬改定において、ターミナルケア加算の見直しが行われます。
介護保険の訪問看護で提供されるターミナルケアと医療保険の訪問看護で提供される
ターミナルケアの内容が同様であることを踏まえ、単位数が変更されることになりました。

ターミナルケア加算の種類と単位数を紹介

各サービスにおけるターミナルケア加算の種類は2つあり、介護老人保健施設と
それ以外の3つのサービスで違ってきます。それぞれの単位数の違いは以下の通りとなります。

【訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護の場合】
2,500単位 / 死亡月

【介護老人保健施設の場合】
死亡日45日前〜31日前:72単位 / 日
死亡日30日前〜4日前:160単位 / 日
死亡日前々日、前日:910単位 / 日
死亡日 :1900単位 / 日

となっています。これらの単位を算定できる「算定要件」については後に詳しく解説していきます!

ターミナルケア加算の算定要件は?

ここまで、ターミナルケアとターミナルケア加算について、そして対象事業所に加算される
単位数について説明をしてきました。
それでは、このターミナルケア加算は具体的にどのような要件を満たすと算定できるのでしょうか?

ここからは、先述した、2種類のターミナルケア加算について、それぞれの「算定要件」
について説明していきます!

 介護老人保健施設

介護老人保健施設における、ターミナルケア加算の算定要件は以下の通りとなっています。

  1. 医師が医学的な知見に基づいて「回復の見込みがない」と診断した者であること。
  2. 入所者(または家族)などの同意のもと、「ターミナルケアについての計画」が作成
    されていること。
  3. 医師、看護師、介護職員、支援相談員、管理栄養士などが共同して、入所者の状態または
    家族の求めに応じた説明を、本人や家族に行い、「同意の上」でターミナルケアが行われて
    いること。
  4. 上記の「いずれにも」適合している入所者であること。

 訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護、看護小規模多機能型居宅介護

訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護、看護小規模多機能型居宅介護における、
ターミナルケア加算の算定要件は以下の通りとなっています。

  1. 死亡日、死亡日前14日間以内に、2日以上訪問し、ターミナルケアを行っていること。
  2. ターミナルケアを受ける利用者へ、24時間連絡、訪問看護ができる環境を整えておくこと。
  3. 主治医と連携し、ターミナルケアに関わる体制や計画について、利用者、利用者家族に
    充分な説明を行い合意を得ていること。
  4. ターミナルケアを行うにあたり、利用者の身体状況の変化など、必要な記録を残しておくこと。
  5. 厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」
    を踏まえて、利用者の意思決定を基本とした医療やケアを医療・ケアチームが提供すること。
  6. 上記のいずれにも適合している利用者であること。

ターミナルケア加算の留意点は?

ターミナルケア加算を算定するにあたり、いくつかの留意点があります。
適切に加算を算定するために、ここから解説する留意点をしっかりと把握しておくことは
大切となります。
こちらも、「介護老人保健施設の場合」と「訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護、
看護小規模多機能型居宅介護の場合」の2つに分けて解説していきます!

 介護老人保健施設

介護老人保健施設における、ターミナルケア加算の留意点は以下の通りです。

  1. 死亡月にまとめて算定される。
    ターミナルケア加算は、死亡月にまとめて算定されます。退所した月の翌月に亡くなった
    場合など、退所月と死亡月が異なる場合でも算定はできます。その場合は、前月分の
    ターミナルケア加算の費用が利用者に請求されるため、自己負担について書面で同意を
    得ておくと良いでしょう。
  2. 退所後もアフターフォローを行う。
    利用者が亡くなる前に退所した場合であっても、ターミナルケアが終わりというわけでは
    ありません。退所後のフォローも大切です。
    在宅では家族にターミナルケアの負担がかかります。電話連絡や訪問を行い、
    引き続き入所者とその家族に対する技術的なアドバイスや精神的フォローを行い
    安心して最期を迎えられるようフォローすることが大切です。
  3. 口頭で同意を得た場合は記録に残す。
    ターミナルケアに関して、利用者やその家族に口頭で同意を得た場合は「説明した日時」
    「内容」「同意を得た旨」を記録しておく必要があります。
    もし、入所者本人が判断できる状態になく、かつご家族が来所できない場合には、
    「本人の状態」「職員間の相談した日時と内容」「家族に連絡したが来所できなかった旨」
    について記録をしっかりと残しておきましょう。

 訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護、看護小規模多機能型住宅介護

訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護、看護小規模多機能型居宅介護における、
ターミナルケア加算の留意点は以下の通りです。

  1. 死亡月に算定される
    ターミナルケア加算は、通常は利用者の死亡月に算定されます。
    最終訪問日が月末であっても、死亡日が翌月などターミナルケアを最期に提供した日の月と
    利用者の死亡した月が異なる場合でも、加算は死亡月に算定することが可能です。
    ただし、この適用は指示期間中に限られます。
  2. 対象外の場合がある
    訪問看護はターミナルケア加算を算定できるサービスですが、「要支援の人を対象」
    とした「介護予防訪問看護」の場合はターミナルケア加算は算定できないため、注意が必要です。
  3. 記録をしっかりと残す
    介護老人保健施設におけるターミナルケア加算の留意点でも説明したように、
    利用者やその家族に説明した日時や内容、利用者の状態などに関しての記録はしっかりと
    残すことが大切です。

まとめ

この記事では、ターミナルケア加算とは何か、算定要件や留意点について詳しく解説しました。
人は等しく最期を迎える日がいつか必ずきます。

今回解説したターミナルケア加算は、利用者「その人らしく最期を迎えることができる」ために
尽力をつくす、事業所や職員のためにある加算です。

これらの加算をしっかりと算定し、ターミナルケアに関する体制をしっかりと整備し、
医療・ケアの質を高めていきましょう。
利用者にとっても、サービスを提供する者にとっても大切な加算となりますので、
これらについてしっかりと把握し、よりよいターミナルケアを実現していきましょう!

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