介護における入浴介助とは|適切な服装や流れも詳しく解説!

2024.07.01

介護の中でも、入浴介助は、食事・排泄の介助と並び3大介護と呼ばれる重労働な介助の1つです。
介護に携わるスタッフや家族のなかでも、入浴介助の負担が大きく上手くできず困っている方も
多いのではないでしょうか?

この記事では、介護における入浴介助の基本的な知識と、適切な服装や流れについても
詳しく解説していきます!

介護における入浴介助とは

日常生活の中で、食事や排泄と同じように欠かせない行為の1つが入浴かと思います。
介護をするスタッフや家族からすると、重労働で負担の大きい入浴介助ですが、
入浴介助には清潔を保つ以外にも大きな目的が多くあります。

ここからは、そんな介護における入浴介助の目的について紹介します!

 入浴介助の目的

入浴介助には、身体の清潔を保つ目的以外にも、以下のような目的があります。

  • 皮膚の生理機能を高め、褥瘡(床ずれ)や感染症を防ぐ目的。
  • 全身を観察し、肌トラブルやケガなどを早期発見する機会を設けるための目的。
  • サッパリとし、リラックス効果とストレス発散をするための目的。
  • 洗髪や洗身をしている最中にコミュニケーションをとり、信頼関係を深める目的。

このように、本来の入浴の目的だけでなく、利用者の皮膚トラブルや外傷、
コミュニケーションを通じで不安や希望を聞き取るための目的があります。

入浴介助をする際の適切な服装

入浴介助の目的を知った次は、入浴介助をする際にどんな服装が適切なのかを見ていきましょう。
務める施設などによって、多少の差はあるかもしれませんが、この記事では4つのポイントに
項目をしぼり解説をしていきます!

 エプロン

入浴介助時は、水がとんできたり汚れがとんできたりということが頻繁にあります。
認知症のある方や疾病によっては排泄物の処理も入浴時に同時に行う場合も。

エプロンを着用し、水や汚れがつくのを防ぐことはとても大切です。
エプロンの材質は水や油分を弾きく素材が適していると言えるでしょう。
施設によっては、エプロンでなく、体操着のような入浴介助着が支給される場合や、
TシャツOKの自分で自由に持参できる施設もあるようです。

また、大きな施設であれば、1日で入浴する人数も多く、温度と湿度が上昇した浴室内で長時間、
介助を行うこともあるため、自身で選べる際は、通気性に関してもこだわり、
熱中症や脱水症状にも気をつけていきましょう。

 ズボン

ズボンも入浴介助の際は、着替えを用意しておきましょう。
水が汚れがつきやすく汗もかきやすい環境のため、制服のズボンやジャージのズボンでは
少し不便な場合が多いです。

一般的にはハーフパンツの入浴介助用ズボンを利用しているところが多いようで、
こちらもやはり水を弾きやすい素材が良いでしょう。

支給がなく自分で持参が必要な場合は「入浴介助 ズボン」などで検索すると様々な商品が
出てくるため、自分の体質や体系にあったズボンを用意しましょう。

値段の相場は、2,000円〜4,000円ほどが多く、素材やカラーも幅広く、どうせ自由に
選べるのであれば仕事のモチベーションが上がるものを用意したいですね。

 サンダル・長靴

入浴介助を行う場合、浴室の床はタイルなどが多く、水で濡れて滑りやすい環境に
なっていることが多いです。その環境で誰かを抱えて移動することもあるため、
普通の靴であれば濡れてしまったり、滑ってしまったりと事故に繋がる可能性もあります。

入浴介助の際は「ゴム製などの滑りにくいサンダル・長靴」などを用意すると
事故の危険も減り作業もしやすいでしょう。
また、入浴介助専用のサンダルなども販売されており、足裏のゴムが特に滑りにくいもの
作られているものなどもあるようです。

 手袋

入浴介助を行う際は、毛髪や陰部など汚れが溜まりやすい場所に触れる介助です。
手袋を利用し汚れがつかないようにすることは大切です。

施設などで入浴介助を行う場合は、使い捨ての手袋の方が良いでしょう。
なぜなら、何人も入浴介助をする際に手袋を使いまわしたり素手で介助をすることで、
介護をしているスタッフが、感染症の媒介者になってしまう可能性があるためです。

疥癬など人づてに感染を広げる感染症は多いため、自分が感染しないためにも
利用者に感染を拡げてしまわないためにも手袋を着用して介助を行うことは大切です。

また、タオル生地でできた洗身用手袋などもあり、手袋にボディーソープなどをつけて
撫でるだけで洗身できるという手袋もあったりします。

入浴介助に必要は物は?

目的を知り、入浴介助用の服装に着替えたら、次は入浴介助に必要なものを準備しましょう。
以下のような、入浴介助に必要な物を事前に準備しておくことで、効率よく入浴介助ができ、
介護者も利用者にもかかる負担が減らすことができます。

【入浴介助に必要な物】
バスタオル
着替え(新しいおむつやパットも用意しておきましょう)
ボディーソープ、シャンプー、リンス、洗顔料
(泡で出てくるタイプやリンスインシャンプーなどを利用すると効率よく介助できるため
おすすめです)
スポンジ、ボディータオル(敏感肌や乾燥肌の場合は、専用のタオルを利用したり、
素手で洗うなどしましょう)
入浴補助用具(シャワーチェアや滑り止めマットなど)
保湿剤、軟膏(必要であったり、処方されている場合は入浴後にぬりましょう)

入浴介助の流れを解説

入浴介助に適した服装に着替え、入浴介助に必要な物を準備したら、いよいよ入浴介助が
スタートします。
しかし、実際の入浴介助はどういった流れで進み、どんなポイントがあるのでしょうか?

ここからは、入浴前、入浴中、入浴後の3プロセスに分けて、入浴介助の流れを解説していきます!

 入浴前

入浴介助は、入浴前にも、以下のようないくつか手順を踏む必要があります。

① 入浴する方の体調を確認をする。
  熱が出ていないか、血圧が普段より高かったり、低かったりしないか。
顔色や風邪症状がないか。
② 浴室と脱衣所を温めておく。
  寒暖差があると、ヒートショックという状態を引き起こし最悪の場合、心臓が止まる可能性
があるため、浴室と脱衣所などの温度差がないよう温めておきます。
③ 浴槽にお湯を入れ、準備物を準備しておく。
④ トイレを済ませ、脱衣所に案内する。
  トイレを我慢した状態だと、リラックスができなかったり、浴槽で排泄をしてしまったりする
場合があります。事前に排泄は済ませておきましょう。

 入浴中

入浴中の手順は以下の通りです。

【入浴中の手順】
① 床や椅子など肌が触れる場所にお湯をかけ温めておく。
② 足元に注意して椅子に腰かけてもらう。※手すりがあれば、手すりを利用しましょう。
③ 介護者がお湯の温度を調節し、利用者にもお湯の温度を確認してもらいましょう。
※38℃〜40℃程度が身体に負担が少ないと言われています。
④ 適温を確認したら、足元からゆっくりとお湯をかけていきます。
※心臓に近いところにいきなりお湯をかけるのは危険。
⑤ 髪、顔、上半身、下半身の順番で丁寧に洗い、洗の残しがないようにすすぎましょう。
⑥ 洗い終えたら、手すりを利用したり介護者の手につかまってもらい、ゆっくりと浴槽に
つかりましょう。※入浴時間の目安は5分程度にしましょう。
⑦ 足元に気をつけながら、浴槽があがりましょう。

 入浴後

入浴後の手順は以下の通りです。

【入浴後の手順】
 濡れた頭や身体をタオルでしっかりと拭き取ります。足の裏までしっかり拭きましょう
(濡れていると滑る可能性があるため)
② 椅子に座ってもらい、無理のないよう利用者のペースに合わせて着替えをしましょう。
軟膏や保湿剤がある方はこの時に塗りましょう。
③ 髪や足の指などを乾かしましょう(足の指を乾かすのは水虫を予防するためです)
④ 水分補給をしましょう。入浴時は気づきにくいですが汗をかいている可能性が高いので、
入浴後の水分補給は大切です。
⑤ 入浴前と同じように体調を確認しましょう。

入浴がスムーズになる洗う順番は?

入浴がスムーズになる順番として、一般的なのは以下の順です。

  1. 足元からお湯をかけ、身体を温めましょう。
  2. 髪を洗う。耳に水が入らないように注意し、洗の残しとすすぎ残しがないように注意しましょう。
  3. 上半身を洗う。 
    最初に顔と首を洗い、次に手先から腕に向かってあらい、身体と背中を洗いましょう。
    脇や胸の下などは汚れが溜まりやすいためしっかり洗いましょう。
  4. 下半身を洗う。足元、ふくらはぎ、太もも、おしりの順に荒い、最期に陰部、肛門と
    洗っていきましょう。陰部は可能であれば自分で洗ってもらいましょう。
    膝の内側や股、陰部などは汗をかきやすく、汚れが溜まりやすくなる場所なので、
    洗い残しがないように注意しましょう。

一般的な洗う順番を紹介しましたが、もしも利用者自身、希望の洗う順番や触れられたくない場所が
ある場合は希望に沿った順番で洗っていきましょう。

入力介助時に注意すべきこと

入浴介助時に注意すべき点は以下の通りです。

  • 空腹時と食事直後は、めまいや貧血、消化不良の原因となるため、避けましょう。
  • 入浴前に浴室や脱衣所をあたためておき、ヒートショック対策をしましょう。
  • お湯をかける時は、足元からゆっくりとお湯をかけ心臓への負担が少なくなるよう
    配慮しましょう。
  • 長時間の入浴はのぼせやめまいの原因となるため、浴槽につかる時間は、
    5分程度にしましょう。
  • 入浴後、足の裏が濡れたままだと滑りやすく転倒につながりかねないため、
    足の裏までしっかりと拭き取りましょう。
  • 入浴は汗をかくので脱水に注意が必要です。
    着替えがおわったらしっかりと水分補給をしてもらいましょう。

まとめ

この記事では、介護における入浴介助の基本的な知識と、入浴介助に適した服装や準備物、
入浴前〜入浴後までの手順と注意点などについて、詳しく解説をしました。

入浴介助は、食事介助や排泄介助と並ぶ3大介護のひとつです。
重労働で事故の危険も多い介助ですが、その分利用者にとって身体を清潔に保ったり、
リラックスやストレス発散、身体の異常の早期発見につながる機会でもあります。

しっかりと入浴介助について理解し、注意点やスムーズな介助について把握し、
介護者にとっても利用者にとっても気持ちの良い入浴介助ができるようになりましょう!

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