ユニット型特養とはどんな施設?人員配置基準や費用も詳しく解説!

2024.07.12

高齢になり介護が必要になると、色々な福祉サービスを目にする機会が増えます。
その中でも、特別養護老人ホームは要介護度が重度な方が長期入居し、常時介護を
受けることのできる施設サービスの一つです。

特別養護老人ホームといえば、病院の病室のように多床室で集団で介護を受けるというイメージを
持つ方も少なくないのでしょうか?

しかし、そんな特別養護老人ホームでも「新型特養」とも呼ばれる「全室個室のユニット型特養」
というものもあるのです。
この記事では、そんな新型特養・ユニット型特養とはどんな施設なのか、詳しく解説していきます!

ユニット型特養とは

ユニット型特養とは「利用者一人ひとりの性格や生活のリズムを尊重したケア」=「個別ケア」を
実現するための「ユニットケア」を行っている、特別養護老人ホームのことを指します。

まずは、そんなユニット型特養とはどういった施設なのか、基本的な内容を従来型の
特別養護老人ホームと比較して紹介していきます!

 従来型とユニット型との違い

特別養護老人ホームにおける、従来型とユニット型との違いは以下の通りです。

【居室の違い】
従来型:個室もあるが4人部屋などの多床室が中心。  ユニット型:全室個室
【入居条件】
従来型・ユニット型ともに要介護3以上。
【利用料金の目安】
従来型:10万円前後 ユニット型:13万円〜14万円 ※自己負担額1割、1単位10円で30日換算で計算。
【勤務体制】
従来型:施設全体 ユニット型:ユニット単位(1ユニット、10人前後の小グループ)

 ユニット型特養の入居条件

ユニット型特養の入居条件は、従来型特養と違いはあるのでしょうか?
結論から言うと、「ユニット型特養の入居条件は従来型の特養と同じ」で以下の3つとなります。

  1. ①要介護3以上の65際以上の人で、感染症などの医療的処置を必要としない人
  2. 特定疾病が認められた人で、要介護3以上の認定があり、40際〜64際までの人
  3. 特例による入居が認められた要介護1〜2の人

③にある「特例」が設けられた背景として、2015年4月に施行された介護保険制度により、
入居条件が要介護1〜だったものが要介護3以上へと変更されたためです。

 ユニット型特養の人員配置

ユニット型特養の人員配置は従来型の特養の人員配置と基準が少し異なります。
まず、従来型特養の「介護職員と看護職員」の人員配置基準は以下の通りです。
・入居者との比率が3:1以上
 専従。入所者への対応に支障がなければ、条件により兼務可能。
従来型・ユニット型を併設する場合は専従。

ユニット型特養の人員配置の基準は、上記の基準に加えて以下の条件が加わります。

  1. 昼間は1ユニット型ごとに常時1人以上の介護職員または看護職員を配置。
  2. 夜間は2ユニット型ごとに1人以上の介護職員または看護職員を配置。
  3. ユニットごとに常勤のユニットリーダーを配置。

この条件が意味するのは、「ユニット型特養には専任スタッフが必ず1人以上配置される
ようになっている」ということです。
そのため、介護の質を下げることなく一人ひとりに適した介護サービスの提供ができます!

ユニット型特養で提供されるサービスは?

ユニット型特養で提供されるサービスは、「生活支援や介護、医療ケア」を提供しています。
従来型特養であっても生活支援や介護、医療ケアを提供されていますが、ユニット型特養とは
違いがあるのでしょうか?
ここからはユニット型特養で提供されるサービスについて解説していきます!

 リハビリテーション

ユニット型特養でも、従来型特養と同様に「リハビリテーション」が行われています。
レクリエーションを通じてリハビリテーションを行う施設が多く、楽しみながら
リハビリテーションができます!

また、日常生活を通じて身体機能を維持する機能訓練も行います。
過度な介護はかえって身体機能の低下をまねくので、その方の「自分でできること」
「介助が必要なこと」を見極めてサービスを提供します。
さらに、理学療法士や作業療法士によるリハビリの専門職による「本格的なリハビリテーション」を
実施する施設もあります!

 健康管理

ユニット型も従来型と同様に「看護職員が常駐」しています。
そのため、毎日の血圧、体温、脈拍を測定し、健康管理を行います。

必要な方に対しては「胃ろう」や「吸引」などの「医療行為も実施」してくれるので、
医療を必要とする方も安心です。

また、看護職員が「服薬の管理」も行うため、入居者の「薬の飲み忘れを防止」してくれます。
健康への悩みがあれば、気軽に看護職員に相談できるのも特徴の一つと言えるでしょう。
医療行為の必要がある方は、施設見学を通してスタッフに相談した上で、施設選びをすることで
より安心して施設サービスを利用できるでしょう。

 日常生活のサポート

ユニット型特養の、居室や共有スペースの掃除は、施設の職員や委託業者が担当してくれます。
選択についても施設の職員が行ってくれるため安心です。※クリーニングなどは別途
クリーニング費用が発生する可能性があります。

1人で買い物をすることが難しい場合は「職員による買い物の代行」も実施しており、
移動販売を行う事業と協力して施設で買い物ができるよう取り入れる施設も増えています。
施設に入居すると機会が減ってしまう「自分の手で取って実際に確かめるという、買い物の
醍醐味を味わえる」として、人気が集まっているようです!

 美容・利用サービス

施設によっては「美容・理容サービスを提供している施設」もあります。
外部の事業に依頼するため「資格をもった専門のスタッフ」による、美容・理容サービスを施設で
受けることができます。

また、介護の資格を併せ持つスタッフもおり、入居者のニーズに沿ったサービスが行われます。
ヘアカットはもちろん、ヘアカラーやひげ剃り、パーマなど美容院と変わらない内容を提供する
事業もあります。
もちろん、施設外にある行きつけの美容院などでヘアカットをしたいという場合は、
家族と相談し外出や外泊をして楽しむこともできます。

ユニット型特養の費用は?

ユニット型特養は、全室個室のため従来型と比べると費用は高い傾向にあります。
ユニット型の費用の特徴は以下の通りです。

  1. 入居一時金は無料
    ユニット型特養の入居一時金は不要です。
    特別養護老人ホームと同じ、社会福祉施設や自治体が運営する「公的施設」なため、
    初期費用は必要ありません。
  2. 月額利用料の内訳
    介護サービス費:個室で要介護度が高いほど費用も上がります。
    食費:1日3食分の食費がかかります。
    ※外泊や入院などで長期的に食事が不要の場合は施設に伝えると食費を停止できます。
    その他の費用:電気代、水道代など。
    ※従来型より完全個室のユニット型のほうが料金は少し高め。
    日常生活費(石鹸、歯ブラシなど)、嗜好品、被服費などの費用も必要となります。

ユニット型特養のメリットとデメリットを紹介

ここまで、ユニット型特養と従来型特養の概要やサービスの内容や特徴、費用について
解説をしてきました。
施設サービスの選択は終の棲家を探すことと同じくらい重大な選択です。

思っていた施設と違うや自分に合った施設ではなかったというトラブルを招かないようにも、
ここからは、ユニット型特養のメリットとデメリットについて紹介していきます!

 メリット

ユニット型特養には、以下のようなメリットがあります。

  1. 個別ケアの実現
     ユニット型は1ユニットが少人数のため、一人ひとりの要望が通りやすく、それぞれに
    合ったケアがなされるといえます。
     また、スタッフが固定されているため、信頼関係も築きやすいという点もメリットの一つです。
  2. 他の利用者とコミュニケーションが取りやすい
     ユニットは完全個室であるものの、共有スペースが隣接しているため孤独も感じにくいよう
    配慮された作りになっています。
     ユニット単位での生活は、他の利用者とコミュニケーションが取りやすくもなるため、
    親しい人間関係を築きやすいと言えるでしょう。
  3. 入居者が活動的になる
     ベッド上での滞在率が従来型からユニット型に建て替えた後に減り、利用者が活動的に
    なったというデータもあります。
     これは職員が居室に滞在している時間(介護をしている時間)も減るため、職員の負担が
    減ったということとも言えるでしょう。

 デメリット

ユニット型特養には、以下のようなデメリットがあります。

  1. 利用料が従来型よりも高額
     従来型の多床室の場合「月額利用料は約9万円」ユニット型は「約12万円」と個室のため
    居住費が高くなります。
  2. 不安を感じやすい方には不向きなこともある
     メリットの点で共有スペースが隣接しているため、孤独を感じにくいと記述しましたが、
    「孤独や不安を特に感じやすい方」はそれでも寂しさを感じる方はおられるでしょう。
    また、心臓の持病などがある方は急変が起きやすい傾向にあるため、
    「個室だと、何かあっても気づいてもらえないのでは?」「多床室なら誰かが気づいてくれる
    から安心」と考えている方もいます。

従来型であっても、ユニット型であっても、やはりその方の性格やニーズにあったタイプを慎重に
把握して選ぶということが大切となるでしょう。

まとめ

この記事では、「ユニット型特養とは」という基礎知識から、
「ユニット型特養のサービス内容や特徴」「従来型とユニット型の費用の違い」
「ユニット型特養のメリットとデメリット」などについて詳しく解説しました!

施設に長期入居するということは、終の棲家を探すということにも繋がります。
従来型であっても、ユニット型であっても、その人の性格やニースに合った施設を選び、
「その人らしい生活を送る」ことができる施設のタイプを選びましょう!

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