同じ家に住んでいて、これまで1つの世帯である親と子が、2つ以上の世帯に分けることを
世帯分離といいます。
世帯分離をすると、介護保険施設の費用や介護保険サービスの自己負担額を軽減できる
可能性がありますが、世帯分離をするべきタイミングと、
世帯分離によって負担が増えてしまうタイミングがあります。
世帯分離を検討すべきタイミングについて手続き方法や注意点を紹介します!
目次
世帯分離とは、住民票に登録されている1つの世帯を、2つ以上の世帯に分離することです。
同居していても親と子などの家族間で世帯を分けることが可能です。
現時点で同じ住所に複数の世帯主が登録されている場合に世帯分離を申請することができます。
「親と子のそれぞれの世帯主が独立した家計で生活をしている」という条件があれば、
世帯を分けることができます。
市区町村の窓口で世帯分離の申請手続きをすることが可能です。
世帯分離のタイミングによって一番大きく変わる要素に健康保険料があります。
世帯分離によって国民健康保険料などの合計負担額が増える場合があったり、
扶養手当や家族手当が受け取れなくなる可能性もあります。
世帯分離によって生じる負担額の増加として健康保険料があります。
世帯主の勤務先の健康保険で親が扶養に入っている場合、扶養家族が何人いても
保険料は変わりませんが、世帯分離をすることによって親は国民健康保険に加入して保険料を
負担することになります。
そのため、合計負担額が増えるのです。
また、世帯全員が国民健康保険に加入している場合も、自治体によっては
世帯分離で国民健康保険料の負担が増える可能性があります。
介護費用の支出が始まる下記のようなタイミングで世帯を分ける判断をするとよいでしょう。
世帯分離を検討すべき最初のタイミングとして、介護保険サービスの利用を開始した時です。
介護保険サービスを利用した際の自己負担割合は、本人の前年の所得額および世帯の
所得額によって決定しますので、世帯分離によって、一世帯当たりの所得額が下がれば、
負担額が下がる可能性があります。
また、親本人の所得金額が多い場合などは世帯分離をしても負担割合が下がらない
場合もありますが、このタイミングで世帯分離を検討するとよいでしょう。
世帯分離を検討すべき次のタイミングとしては、介護保険施設に入った時です。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護医療院などの介護保険が適用される施設では、
本人および世帯の所得区分によって食費や居住費の軽減を受けられる「特定入所者介護サービス費」
の制度を利用することが可能です。
親本人の収入や預貯金が少ないのに、世帯の合計所得金額が多い場合には、
世帯分離によって負担限度額が下がる場合があります。
世帯分離を検討すべき次のタイミングとしては、介護・医療保険の負担額が増えた時です。
というのは「高額医療・高額介護合算制度」を利用できるからです。
介護保険サービスしか利用していない場合でも、負担額が多くなった場合は
「高額介護サービス費制度」を利用できます。
高額介護サービス費制度では、高額医療・高額介護合算制度と同様に所得区分ごとの
上限金額を超えた分が返還されます。
費用負担が増えたタイミングで世帯分離を検討するとよいでしょう。
世帯分離を検討すべきタイミングを考慮し、手続きを行う前に条件などを確かめ、
下記の順に準備を進めましょう。
世帯分離の申請手続きのために、必要な書類などを準備しましょう。
世帯分離の手続きは、住んでいる市区町村の窓口で行うことができます。
書類の項目に記入し、捺印をして、他の証明書などの準備が整ったら、
住んでいる市区町村の窓口へ提出しましょう。
自治体によって、そのほかの手続きに必要なものが違うため、事前に確かめておきましょう。
窓口で、準備した本人確認書類や世帯変更届などを提出し、訂正等があれば印鑑が
必要になる場合がありますので、忘れずに持参しましょう。
世帯分離を申請する際、下記のような注意点があります。
世帯分離をしたことによって扶養から抜けることになるため、会社員の息子などの
扶養に入っていた場合には、自分で国民健康保険に加入し保険料を支払う必要が起きます。
また、扶養していた子は、今まで会社から受け取っていた扶養手当や家族手当を
受け取ることが出来なくなります。
会社から支給される手当の額の方が世帯分離後に減額される額より多くなる可能性もあるため、
事前に健康保険組合などで確かめておくと良いでしょう。
国民健康保険料の徴収は世帯主に対して行われるため、国民健康保険に加入している世帯が
世帯分離をした場合、世帯分離後に、各世帯がそれぞれに保険料を負担し、支払うことになります。
同一世帯であれば世帯主が保険料を負担しますが、世帯を分けると各自が世帯主となり
保険料も各自が負担することになります。
そのため、世帯分離をする前よりも保険料が高くなる可能性があります。
また、後期高齢者医療保険の保険料が増える可能性もあります。
世帯分離のデメリットとして手続きが煩雑になる点が挙げられます。
今までは同一世帯で役所などの手続きが出来ていたのですが、二つの世帯に分けた場合には、
それぞれに手続きがあり煩雑になります。
また、親が高齢のため自力で手続きが難しい場合は、子が代理で手続きをすることになり、
この場合には「委任状」が必要です。
必要な度に、親に「委任状」を書いてもらうことになるため、
手続きの手間は増えることになるでしょう。
世帯分離を検討すべきタイミングについて、また、手続き方法や注意点も紹介しました。
世帯分離は、介護保険サービスを利用し始める時や、施設に入居するときなど、
介護費用を親の年金や預貯金で支出するタイミングで判断をするとよいでしょう。
世帯分離をすると、介護保険料の自己負担割合が減額されるなどのメリットになる可能性があります。
世帯を別にして生活が成り立つかも、確認しましょう。