介護保険料とは、介護保険制度の運用に必要な費用をまかなうために国民が納める保険料のことです。
40歳以上の国民が納めており「あまり詳しくないけど支払っている」
「どういう計算でこの保険料が決まっているのだろう」と疑問に思った方も、
少なくないのではないでしょうか?
この記事では、そんな介護保険料の計算方法、仕組み、注意点についても詳しく紹介していきます!
目次
介護保険料の被保険者は「第1号被保険者」と「第2号被保険者」に分けられ、
それぞれ介護保険料の計算方法が違います。
そのため、介護保険料の計算方法などについて紹介する前に「そもそも介護保険とは何か?」
について解説していきます!
介護保険は2000年の4月からスタートした制度で「高齢者の介護を社会全体で支え合う
仕組みをつくる」ことを目的としています。
国内人口の高齢化が進むにつれて、介護に対するニーズが高くなったことを受けて創られました。
介護保険は「要介護認定を受けた対象者」が介護サービスを利用した時に、
給付される仕組みとなっており、「利用者負担が1割となる」ように給付されます。
そして、残りの9割の財源に「公費50%」「保険料50%」が利用される形で構成されています。
※利用者負担について、一定以上の所得がある利用者は自己負担が2割〜3割になる場合もあります。
介護保険の被保険者は以下のように年齢によって、第1号被保険者と第2号被保険者に区別されます。
第1号被保険者と第2号被保険者では、介護サービスを利用するための受給条件のほか、
保険料の計算方法や納付の方法にも違いが生じます。
ここからは、この違いについて紹介していきます!
第1号被保険者と第2号被保険者の介護サービスを受けられる要件の違いは以下の通りです。
つまり、第1号被保険者は、要介護、要支援と認定されれば「原因を問わず」
介護サービスを受けられることとなり、第2号被保険者は、末期がんや関節リウマチなどの
「特定疾病」により要介護、要支援と認定された者に「限定される」ということになります。
第1号被保険者と第2号被保険者の受給条件に続いて「第1号被保険者と第2号被保険者の
介護保険料の納付方法の違い」について紹介していきます。
国民健康保険の被保険者の場合は「世帯ごとに徴収」されるようになっており、
被保険者が第2号被保険者に該当しない場合であっても、
「被扶養者が第2号被保険者に該当する場合」は「介護保険の被保険者と扱われ、
介護保険料が発生する場合」があります。
ここまで、「そもそも介護保険とは何か?」という点と「第1号被保険者と第2号被保険者の違い」
についてまずはご紹介しました!
いよいよここからは「介護保険料の計算方法」についてご紹介していきます。
第1号被保険者と第2号被保険者、そして第2号被保険者が加入している医療保険による違い
についても、それぞれ見ていきましょう!
第1号被保険者の介護保険料は市区町村によって変わってきます。
「1ヶ月分の保険料」は、3年に1度、条例で定める「基準額に、所得段階に応じた割合をかけて計算」
されます。
この所得段階は「9段階に分かれているのが一般的」ですが、東京の北区であれば16段階に
分かれている区もあります。
そのため、住んでいる市区町村ではどのように設定しているか確認する必要があります。
ちなみに、65歳以上の介護保険料の平均は「月額6,000円」ほどで、
市区町村によって「3,374円〜9,249円」と差があります。
国民健康保健に加入している第2号被保険者の場合は、所得割・均等割・平等割・資産割の
4種類のうちいずれかを市区町村ごとに組み合わせて計算します。
さらに、介護保険料率も市区町村によって異なりますので、具体的な計算方法については
住んでいる市区町村に確認が必要です。
所得割:世帯ごとに被保険者の前年の所得に応じて計算し課せられる。
均等割:被保険者ひとりについて計算し課せられる。
平等割:一世帯ごと計算し課せられる。
資産割:所有する土地や家屋の固定資産に応じて計算し課せられる。
公務員や会社員のように、共済組合や協会けんぽなどの、国民健康保険以外の医療保険に
加入している第2号被保険者は、介護保険者と事業所と労使折半となるため、
事業所が保険料の半額を負担してくれます。
保険料の金額は毎月の給料や賞与によって変動するため注意が必要です。
給与にかかる介護保険料の計算方法は「標準報酬月額×介護保険料率=介護保険料」となります。
たとえば、標準報酬月額が30万円とし、介護保険料率が2%とすると、
「30万円×2%=6000円」となります。そしてこの半額を事業所が負担してくれるため
「6,000÷2=3,000円」が介護保険料となります。
計算する時に、労使折半分を割ることを忘れないように注意しましょう。
賞与にかかる介護保険料の計算方法は「標準賞与額×介護保険料率=介護保険料」となり、
給与にかかる介護保険料の計算方法と同じです。
この時の標準賞与額は「税が引かれる前の賞与総額から1,000円未満を切り捨て」て求めます。
ここまで、「介護保険とは何か?」という説明と「第1号被保険者と第2号被保険者の
介護保険料の計算方法」について紹介してきました。
ここからは、介護保険料に関する3つの注意点について、それぞれ紹介していきます!
日本では、40歳以上になると自動的に介護保険の被保険者となります。
介護保険料は、生涯にわたり納付されつづけるものであり、たとえ要介護認定を受けた後でも、
引き続き介護保険料は支払いが必須となります。
また、介護サービスを利用せずとも介護保険料は支払わなくてはなりません。
介護保険料を支払わなくてよいのは「専業主婦などの被扶養者」か「生活保護の方」のみ
となっています。
※失業や災害などにより、収入が減った方に対して、減免制度などで介護保険料を安く
済ませることができる場合があります。
介護保険料は高齢者の数や介護サービスの費用によって決められているため、
介護保険料額は変更されることがあります。(3年に1度改定がある)
また、介護保険料は前年度の所得から計算されるため、退職や転職などで状況が変わった時にも、
翌年度の保険料の負担が大きく変わることがあります。
前年度と比べて、収入が大きく減ってしまう場合は天引きされる保険料の金額に
注意しておきましょう!
失業や災害などで収入が大きく減ってしまう場合に備えて自治体によっては
減免制度を設けている場合があります。
制度の利用にあたっては、所得額に一定の条件が設けられていることが多いため、
気になる方は自治体に確認しておきましょう。
また、2020年以降は新型コロナウイルスの影響を考慮した減免制度を設けている自治体も
あるようです。
介護保険料の納付を滞納し、納付期限を過ぎてしまった場合は「遅延金や督促手数料が発生」します。
滞納期間ごとに課せられるペナルティーは以下の通りです。
なお、2年以上の滞納で、自己負担が引き上げられている期間は、高額介護サービス費制度などの
補助が受けられなくなります!
この記事では「介護保険料とは何か?」という基本の知識から
「第1号被保険者と第2号被保険者の違い」「介護保険料の計算方法」「介護保険料の注意点」
について、詳しく解説をしました。
介護保険料は「高齢者の介護を社会全体で支える介護保険制度」を運用するための
大切な財源のひとつです。
年齢によって、第1号被保険者と第2号被保険者に区別され、それぞれ保険料の計算方法も違います。
第2号被保険者においては、加入している医療保険の種類によっても、
計算方法が変わってくるため、自分がどれに該当するかを把握し計算する必要があります。
大切なお金の使い道を知り、社会全体で介護が必要な高齢者を支え合っていきましょう!