ホスピスとは、一般的に余命6か月以内の方が、余命を理解し、残りの人生の最期の時間を
穏やかに有意義に過ごすための施設です。
積極的な治療がないことを受け入れ、色々な苦痛を和らげる治療・ケアをし、
有意義な時間を過ごしてもらう施設になります。
ホスピスの意味や受けられるケアについて、わかりやすく紹介しましょう。
目次
ホスピスとは、病気などで完治の見込みがなく余命が限られた方に、残りの人生の最期の時を
穏やかに過ごしてもらうための施設です。
生活の質の維持を目的とし、苦痛を和らげる治療とケアを提供する入院・入居が可能な施設です。
ホスピスとは、死が迫っている患者とその家族の苦痛を最小限にすることを主な目的とする
治療やケアのことを意味し、そのような治療やケアをする施設のことです。
症状の軽減を優先し、診断検査や延命治療はほぼ行わず、死期を迎えた患者と家族に対し、
適切なケアと緩和ケアについての指導が行われます。
残された時間を「自分らしく生きる」ために、心身の苦痛を取り除くことで、
生活の質の維持・向上を目的としたケアを提供します。
ホスピスに入院・入居できるのはどのような人なのでしょうか?
ホスピスに入院・入居するための余命に関する規定は、施設によって各々違いますが、
余命6か月以内の方が入院・入居対象となるのが一般的です。
ですが、実際に、余命に関する規定は施設によって、余命6か月以内、余命3か月以内、
あるいは余命に関する規定がない施設など多様です。
利用したい場合は、がん治療のための病棟、緩和ケア病棟のある病院へ入院するのが一般的です。
緩和ケアは診断の直後に提供されるケアで、病気の治療に対する苦痛を緩和し、
的確に治療・処置します。
ホスピスケアは余命が近づいている患者さんに提供されるケアで、
「その人がその人らしい生をまっとうすることができるように援助すること」です。
緩和ケア・ホスピスケアが基本的にがん患者を対象としていることに対し、
「ターミナルケア」は、あらゆる病気の患者(治療が望めない時期から終末期)も対象としています。
ホスピスで受けられる基本ケアには下記のような3つがあります。
身体的なケアには、具体的に、疼痛コントロール、床ずれのケアや予防、腹水や胸水の管理、
栄養管理など、患者の病状や様子に合わせて丁寧な治療を実施します。
終末期を穏やかに過ごしてもらえるように、排泄や入浴介助をし、
生活の中でのストレスを少なくします。
また、患者の症状をより穏やかにするために、医療ソーシャルワーカー、薬剤師、臨床心理士、
管理栄養士、介護職など、多職種の専門家によるサポートも提供しています。
精神的なケアとして、終末期の患者は、不安や恐怖、悲しみ、絶望感、怒りなどの
精神的苦痛を強く感じていると考えられます。
終末期の患者が精神的に感じる苦痛には「病気の進行による苦痛との闘い」や
「自分や家族との別れに向き合うことになる」ため、非常に辛い状況にあるでしょう。
カウンセリング(支持的精神療法)や薬による治療(抗うつ薬など)、行動療法のリラクゼーション、
自律訓練法などの精神的なケアが行われます。
身体的ケア・精神的ケアは具体的にわかりやすいですが、社会的ケアとは
どのようなものなのでしょうか?
社会的ケアとは、終末期医療を受ける際に、金銭的な問題が大変重要になってくると考えられます。
入院や介護によって患者本人や家族に大きな経済的負担が予想されます。
この負担を減らすため、医療ソーシャルワーカーが、医療費の軽減や支援制度などの
情報提供をサポートしてくれます。
これが社会的なケアになります。
病院・介護施設との違いについて紹介しましょう。
病院の生活と違って、ホスピスにはイベントやレクリエーションもあります。
入院中に家族と一緒にイベントに参加することもできるので、
患者だけではなく家族にとってもホスピスは非常に大切な場所だといえます。
また、家族や友人などを招き、一緒に病棟内のイベントを楽しむことも可能ですし、
レクリエーションの中で、楽しみを見つけ、単調な生活にほどよいリズムが生まれ、
リハビリの効果が期待できるという面もあります。
ホスピスが病院と著しく違う点は、病気治療・延命措置を目的としていない点です。
ホスピスでは病気を治す治療は受けられません。
長くは生きられない人に対して投薬や手術などで、さらなる苦痛やストレスを与えてしまう場合が
問題になる場合もあります。
ホスピスでは医師による医療行為は、あくまで痛みを軽減するための行為で病気治療ではありません。
ホスピスの目的は終末期を迎えた患者に穏やかな時間を過ごしてもらうことです。
緩和ケアチームのある病院では、病気による精神的苦痛を和らげるための精神症状担当医師による
精神療法や薬物療法。
臨床心理士、公認心理士による心理面のサポート。
社会的苦痛を和らげるための医療ソーシャルワーカーによる医療費や生活費、介護保険などの支援。
理学療法士、作業療法士による生活の質向上のためのリハビリテーション。
管理栄養士による食事のサポートや死生観など宗教的ケアをする臨床宗教師。
など、多様な職種によるサポートが行われています。
ホスピスは、できる限り日常に近い生活を送れるように、できるだけ家族と一緒に過ごせるような
工夫がなされています。
家族専用の宿泊施設がホスピス内に併設されていたり、患者と家族が楽しめるスペースもありますし、
家族や友人などを招いて、一緒に病棟内でのイベントを楽しむことも可能です。
病院では、通常、面会時間や人数に制限がありますが、ホスピスは比較的患者の希望を
聞いてもらえるでしょう。
個別ケアとは、食事や入浴、排泄など、一人ひとりの個性やニーズに合わせたケアのことです。
介護保険法には、高齢者が「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにする」ことを目指し、自尊心や人間としての価値、役割を保つ介護を重視する傾向にあります。
日本政府は、個別ケアの手法で「ユニットケア」を実践している介護施設(特別養護老人ホーム)への補助金制度を開始するなど、個別ケアを推進しています。
「ホスピスの意味」とは、人生の最期の時を穏やかに過ごすために、
さまざまな苦痛を和らげる治療やケアをいい、また、そのケアをする施設です。
余命がわずかな方に人生の最期を有意義に過ごしてもらうため、ホスピスでは「受けられるケア」
の基本として、精神的ケア・身体的ケア・社会的ケアの3つが受けられます。
人生の最期を有意義に穏やかに過ごしてもらうため、ホスピスの検討をしてみると良いでしょう。