80代の血圧正常値は?正常に保つためのポイントも詳しく紹介

2024.08.06

血圧は人の体調や状態を知るためによく用いられるバイタルサインの代表的なもののひとつです。
正常値についてご存知の方は多くいられるかもしれませんが、年代によって違う基準や平均に
ついてはご存知ない方も多いのではないでしょうか?

「家族に介護が必要となったが何に注意したらいい?」
「家族が高齢になり健康が気になるが80代と若い世代を一緒に考えていいの?」など、
疑問に思う方もおられるいかもしれません。

この記事では、そんな方のために80代の血圧の正常値と正常に保つポイントについて
詳しく紹介していきます!

血圧とは?

血圧とは、心臓が血液を送り出す力によって、血管内にかかる圧力のことをいいます。

血圧には2種類あり、心臓が収縮して血液を送り出す時の「収縮期血圧(最高血圧)」
心臓が膨らみ次に送り出す血液をためている状態の「拡張期血圧(最低血圧)」といいます。

この値を参考に血圧の正常と異常を判断していきます。
それでは、血圧の正常値や高血圧、低血圧とはどのくらいの値なのでしょう?
ここからは、血圧の正常値と高血圧、低血圧について紹介していきます!

 血圧の正常値

血圧の正常値は、診察室で測定する場合は「収縮期血圧が120mmHg以下、
拡張期血圧が80mmHg以下」
とされています。

家庭で測定する場合の正常値は「収縮期血圧が115mmHg以下、
拡張期血圧が75mmHg以下」とされています。

診察室で測定した値と、家庭で測定した値に差があるときは、家庭で測定した値を基準にしましょう。
また、血圧は1日の中でも変動します。測定時の行動や状態でも変動するため、
起床時と寝る前の決まった時間に血圧を測定することをおすすめします。

 高血圧の基準値

血圧の正常値に対して、どのくらい血圧が高いと「高血圧」となるのでしょう?
高血圧の基準は「収縮期血圧が140mmHg、拡張期血圧が90mmHgを超える状態」のことをいいます。

家庭で測定する場合は「収縮期血圧が135mmHg、拡張期血圧が85mmHgを超える状態」を
高血圧と考えましょう。

さらに、高血圧にはⅠ度〜Ⅲ度高血圧と段階があり、Ⅲ度高血圧となると
「すぐに治療が必要」となります。

  • Ⅰ度高血圧:収縮期血圧が140〜160mmHg、拡張期血圧が90〜100mmHg 
    生活習慣の見直しを6ヶ月して改善なければ降圧剤を開始。
  • Ⅱ度高血圧:収縮期血圧が160〜180mmHg、拡張期血圧が100〜110mmHg 
    生活習慣の見直しを3ヶ月して改善なければ降圧剤を開始。
  • Ⅲ度高血圧:収縮血圧が180mmHg以上、拡張期血圧が110mmHg以上 
    すぐに治療を開始する必要あり。

 低血圧の基準値

血圧の正常値に対して、どのくらい血圧が低いと「低血圧」となるのでしょう?
低血圧の基準は「収縮期血圧が100mmHg以下、拡張期血圧が60mmHg以下」となっています。

血圧が低いと、身体に血液を巡らせる力が弱くなるため、身体の一番上にある脳へ
最初の影響が現れます。

そのため、めまいや立ちくらみ、意識がもうろうとするなどの症状がでやすくなります。
ひどい方は失神したり、全身に血液が供給されないと臓器がダメージを受ける場合もあるため
注意が必要です。

80代の血圧正常値は?

ここまで、血圧の正常値、高血圧と低血圧についてご紹介しました!
80代の血圧正常値についてご紹介します。「高齢の家族がいるため気になる」という方や
「介護の仕事をするにあたり正常値を把握しておきたい」という方は、
ぜひ参考にしてください。

80代の血圧正常値は「収縮期血圧が130mmHg以下、拡張期血圧が80以下であることが望ましい」
とされています。
※日本高血圧学会 「高血圧治療ガイドライン2020」より

ただし、この数値はあくまでも目安であり、基礎疾患の有無や個人差によって
変動すると考えましょう。

そのため、自分の血圧を日頃から測定し、平均値などを把握した上で医師や薬剤師などの
専門家に相談をし、血圧コントロールに取り組むことが大切です。

正常値から外れた場合の体への影響

血圧が正常値から外れ、「高血圧や低血圧」の値となった場合、いったいどんな影響が身体に
現れるのでしょうか?

ここからは、高血圧の場合と低血圧の場合にわけて、血圧が正常値から外れた場合に
あらわれる症状やリスクなどについて見ていきましょう!

 高血圧の場合

高血圧の場合、自覚症状が少ないものが多い傾向にあります。
しかし、以下のような症状がある場合は高血圧の可能性を疑ってみましょう。

  • 頭が痛い めまいがする
  • 胸に圧迫感がある、動機がする
  • 耳鳴りや視力障害
  • 手足や顔がむくむ
  • 口腔内出血や鼻血
    これらの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診し相談をしましょう。
    また、これらの症状がなくても「定期的な血圧測定」をおすすめします。

    高血圧が続くと、動脈硬化をひきおこしたり、心不全や脳梗塞に至る場合もあり、
    大変危険です。
    高血圧である、血圧が高くなってきたなどあれば、はやめはやめに
    生活習慣を見直していきましょう。

 低血圧の場合

低血圧の症状は、血液が充分に身体に行き渡らないため、酸素や栄養が届かないことに
よって引き起こされます。
症状に個人差はありますが、以下のような症状があれば低血圧を疑いましょう。

  • 立ちくらみ、めまい
  • が重い、痛い
  • 身体がだるい
  • 集中力や記憶力の低下

    低血圧になると、脳に血液が充分にとどかず、めまいや立ちくらみ、
    頭が重く感じたり痛みがでます。
    また、全身の臓器や筋肉にも血液がいきとどかないため、身体がだるく感じるようになります。

    低血圧が重度になると、これらの症状が強くなり重度の場合、失神する可能性もあり、
    転倒や転落の事故につながる可能性もあります。

後期高齢者や基礎疾患の降圧目標

降圧目標とは「高血圧の治療において、目指すべき理想の血圧」のことをさします。
一般的な降圧目標は「収縮血圧が130mmHg以下、拡張期血圧が80mmHg以下」であることが
望ましいとされています。

しかし、これは基礎疾患や年齢などによって変わる場合があります。
そのため、ここからは後期高齢者や基礎疾患の降圧目標について紹介していきます!

 後期高齢者

後期高齢者とは「75歳以上の高齢者」をさします。

後期高齢者は、血圧が低すぎると脳への血流が減少するため、脳卒中など脳疾患のリスクが
高まったり、認知機能の低下を引き起こしやすくなります。

そのため、降圧目標は「収縮期血圧が140mmHg以下、拡張期血圧が90mmHg以下であることが
望ましい」とされています。
※体調や疾患により個人差が生じるため、医師と相談し目標を決めることが大切です。
※血圧は日によっても変動するため、起床時と就寝前の決まった時間に測定し自分の血圧を
理解しましょう。

 糖尿病患者

糖尿病は、血糖を分解するインスリンが上手く分泌できないようになり
「血糖値が高い状態」になる疾患です。

血糖値が高いと血管に負担がかかり血管が硬くなるため、動脈硬化が進みやすくなります。
この状態が続くと高血圧や心臓病などの合併症を引き起こす可能性があります。

降圧目標は「収縮期血圧が130mmHg以下、拡張期血圧が80mmHg以下であることが望ましい」とされています。
ただし、低血糖や腎障害などの合併症がある場合は、降圧目標を緩和する場合もあるため、
医師と相談して目標設定をしましょう。

 脳血管障害・冠動脈疾患患者

脳血管障害とは、脳の血管に異常が起き障害が生じることをいいます。
代表的なものにくも膜下出血や脳卒中などがあります。

冠動脈疾患とは、心臓に血液を送る冠動脈に異常が起きることで、心臓に障害が残るものをいいます。
代表的なものに、狭心症や心筋梗塞があります。
これらの疾患を持つ患者は、高血圧は再発や予後の悪化につながるリスクがあります。

そのため、降圧目標は「収縮期血圧が130mmHg以下、拡張期血圧が80mmHg以下であることが
望ましい」とされています。

体調や合併症によっては、目標設定を変更する必要がありますので、
医師に相談の上目標設定をしましょう。

血圧を正常に保つためのポイントを紹介

ここまで、血圧の正常値と高血圧や低血圧について説明し、降圧目標について紹介しました。
では、具体的に血圧を正常に保つためにはどんなポイントがあるのでしょうか?
ここから、4つのポイントにしぼり、ご紹介していきます!

 適度な運動

適度な運動は、血圧を正常に保つために効果的な手段のひとつです!

運動は、血管を柔らかくして血流を改善してくれるため、低血圧や高血圧を予防、
改善してくれる効果が期待できます。
適度な運動量の目安は「週に3回以上、1回に20分以上の有酸素運動(自転車・走る・歩く)が
おすすめ」です。
※自分の体力や健康状態に合わせて無理のない範囲で行いましょう!

運動は血圧への影響以外にも、筋肉の維持・増加、骨の強化、
代謝の向上など他の健康効果も期待できるため、血圧以外にも健康が気になるという方は、
ぜひ習慣に取り入れましょう。

 食生活の改善

栄養バランスの整った食事をとることも、低血圧や高血圧の予防、改善に期待できます。
食事には、血圧を下げる効果がある食品や栄養素がたくさんあります。

  • カリウム 体内の水分バランスを整える。バナナやじゃがいもなどに多く含まれる。
  • カルシウム 血管の収縮と拡張を助けてくれ 、血圧を下げる効果が期待できる。
    牛乳やチーズに多く含まれる。
  • マグネシウム 血管の拡張を促し血圧を下げる。
    ほうれん草やアーモンドに豊富に含まれる。
  • 食物繊維 塩分やコレステロールの吸収を抑え、血圧を下げる効果がある。
    野菜や玄米に多く含まれる。
  • ポリフェノール 血管保護作用や抗酸化作用があり、血圧を下げる効果がある。
    赤ワインや緑茶などに多く含まれる。

 節酒・禁煙

お酒を飲みすぎると、血液の濃度があがるため、血管が収縮し高血圧に繋がります。
たくさん飲酒をする習慣がある場合は、習慣を見直し節酒をしましょう。

また、お酒と一緒に塩分の高い食事やおつまみを食べると、これも脱水に繋がり血液が
濃くなるため、さらに高血圧のリスクを引き上げてしまいます。
さらに、アルコールで脳が酔うと満腹を感じづらくなり食べ過ぎや飲み過ぎに繋がり、
肥満や肝機能障害にも繋がります。

タバコに含まれる化学物質には、血管を傷つけ動脈硬化を引き起こす成分が
たくさん含まれています。

また、一酸化炭素などは脳卒中などの脳の障害のリスクも引き上げるため、とても危険です。

動脈硬化が進むと血管の柔軟性が失われ、より強い力で血液を送り出さないといけなくなり
高血圧となります。
健康のことを考えるのであれば禁煙をしましょう。
ひとりで禁煙出来ない場合は禁煙外来など専門の医師に相談してみましょう。

 十分な睡眠・休養

睡眠不足が続くと「交感神経が活発になり血圧を上げてしまいます」十分に睡眠をとり
交感神経と副交感神経を整えることも、血圧を正常値に保つポイントと言えます。

また、睡眠時間が短い人は「食欲を増進するホルモンが増加する」傾向にあり、
食べ過ぎを引き起こし肥満になる。

肥満になると血液を力強く送るためにさらに高血圧になる、という悪循環を引き起こす
可能性もあります。

ストレスに関しても同様のことがいえます。
ストレスがたまる、イライラした状態が続くとこれも、交感神経が活発になり
血圧上昇を引き起こします。

また、ストレスを解消のために「お酒をたくさん飲む、食べ過ぎる、甘いものをとりすぎる」
という解消方法をとってしまう方も少なくないのではないでしょうか?

適度な飲酒や好きなものを食べるなどは、ストレス解消に効果的ですが、
それだけでストレスを解消するのではなく、運動や休養も取り入れた、ストレス解消をしましょう。

まとめ

この記事では、「80代の方の血圧正常値」「高血圧・低血圧の基準」
「高血圧・低血圧の症状」「血圧を正常に保つポイント」などについて詳しく紹介しました!

血圧は、脳や心臓など各臓器に多大な影響を及ぼすものです。
そのため、「定期的に血圧を測定し、自分の血圧の特徴や状態を把握する」ことが大切です。

また、日常生活の中で「栄養バランスの整った食事、適度な運動、十分な睡眠や休養をとること」
などを意識し、血圧を正常に保ちましょう。

80代の方は、適切な治療方法や降圧目標について、しっかりと医師や薬剤師などに相談した上で
方針を決めていきましょう。
血圧をしっかりとコントロールし、正常な血圧を保つことで、
いくつになっても元気で健康な身体で人生を楽しましょう!

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