本記事では、親子で同居している際の世帯分離について、メリットやデメリットを解説していきます。
2人以上の親族が1つの世帯で生活しているのに、行政上の世帯を分ける手続きです。
世帯分離には、介護費用の負担軽減や国民健康保険料の減額などのメリットがあります。
しかし、世帯分離にはデメリットもあります。
この記事では、世帯分離のメリット・デメリットを詳しく解説します。
目次
世帯分離とは、2人以上の親族が1つの世帯に属している場合でも、行政上の世帯を分ける手続きです。
世帯分離をすると、住民票が別になり、国民健康保険や後期高齢者医療保険の世帯主、
介護保険の被保険者も別になります。
世帯分離には、次のメリットがあります。
この様に、世帯分離には介護等の費用に関する様々なメリットがあるのです。
これらのメリットは、介護を必要とする親と同居している場合でも享受できます。
以下では、世帯分離のメリットについて、詳しく解説します。
国民健康保険料の減額は、世帯分離のメリットの1つです。
国民健康保険料は、世帯分離をすることで、世帯の所得水準が下がり、
国民健康保険料も軽減される可能性があります。
世帯分離をすると、世帯の所得水準が下がる理由は、次のとおりです。
介護サービス費用の負担軽減も、世帯分離のメリットの1つです。
世帯分離をすると、介護保険の利用者負担の上限が下がります。
また、介護サービス費の支払いを一時的に猶予したり、免除したりできる制度も
利用しやすくなります。
介護サービス費の負担軽減には、次の方法があります。
介護サービスを利用する際、費用の一部は利用者が自己負担することになります。
負担額は「高額介護サービス費制度」で上限が定められており、限度額を超えたときは
申請により払い戻しが可能です。
世帯分離をして親世帯の所得が下がると、それに応じて自己負担の上限額が下がり、
介護費用の節約につながります。
同じ世帯に介護サービス利用者が2人以上いる場合は、利用料を合算できます。
ただし、段階によって負担額の上限には大きな開きがあります。
介護サービスを利用している親が第1段階に該当する場合でも、所得のある子供と
世帯を同一にしているときの分類は、第4段階。第1段階なら上限額15,000円のところ、
第4段階では2017年8月以降、一律で44,000円です。
介護サービス費用の負担軽減も、世帯分離のメリットの1つです。
先述したように世帯分離をすると、介護保険の利用者負担の上限が下がります。
また、介護サービス費の支払いを一時的に猶予したり、免除したりできる制度も
利用しやすくなります。
介護サービス費の負担軽減には、次の方法があります。
後期高齢者医療保険料の減額も、世帯分離のメリットの1つです。
後期高齢者医療保険料は、世帯分離をすることで、世帯の所得水準が下がり、
後期高齢者医療保険料も軽減される可能性があります。
世帯分離をすると、世帯の所得水準が下がる理由は、次のとおりです。
世帯分離には、介護費用の負担軽減や国民健康保険料の減額などのメリットがある一方で、
デメリットもあります。
デメリットには、次のようなものがあります。
世帯分離をすると、世帯主が2人になるため、平等割額は2倍になります。
そのため、世帯分離によって国民健康保険料が増額される可能性があります。
ただし、世帯分離をすることで、世帯の所得水準が下がるため、国民健康保険料が
減額される場合もあります。
国民健康保険料の負担額が増額するかどうかは、次の2つの要因によって決まります。
世帯の所得水準が下がると、国民健康保険料は減額されます。
そのため、世帯分離によって世帯の所得水準が下がれば、国民健康保険料が減額される可能性が
あります。
世帯分離をすると、親は子供の健康保険の扶養から外れます。
そのため、子供は健康保険料を自分で負担することになります。
子供が正社員として働いている場合、健康保険料は給与から天引きされるため、
大きな負担にはなりません。
しかし、子供が自営業者やフリーランスとして働いている場合、健康保険料を自分で納付する
必要があります。
健康保険料の納付額は、収入や家族構成によって異なります。
そのため、子供が自営業者やフリーランスとして働いている場合、健康保険料の負担額は
大きくなります。
世帯分離の手続きは、住民登録をしている市区町村の役所で行います。
本人、世帯主、同世一帯の人、委任状を持った代理人が「世帯変更届」を提出します。
窓口では口頭で世帯の生計や生活について確認されることがあるため、
時間の余裕をもって手続きを行う必要があります。
手続き完了までには時間がかかるうえに、手続きそのものも煩雑です。
例えば、住民票を取得したり複数の書類に様々な事項を記入する必要があるので、
かなり面倒なのは事実です。
また、親が高齢で自力で手続きが難しい場合は代理で子が諸手続きをすることになりますが、
この場合「委任状」が必要となります。
親子であっても同居している場合でも世帯分離は可能です。
世帯分離の本来の目的は、保険料や自己負担額の軽減ではありません。
あくまで生計を別にすることで所得の少ないご家族の税負担を軽減することです。
また、ご両親の所得が低く世帯分離をすると生活が困難であると判断された場合も、
申し出が受理されないケースがあります。
世帯分離を申請した場合は重要事項が変更されるため、後々その他書類の申請や手続きが
スムーズに進まない場合があることも、想定しておきましょう。
本記事では、世帯分離のメリットやデメリットについて解説しました。
世帯分離が適しているご家庭の特徴として、親世代が現役を引退していて収入が少なく、
同居している方の収入が高い場合が挙げられます。
家族が施設で介護サービスを受けるケースなども、適しているといえるでしょう。
メリットとデメリットを照らし合わせて、家庭の状況に合わせて適した選択を
するようにしてください。