本記事では、親の介護をしないとどうなるのかといった点について紹介していきます。
自分の親に対して介護をするのかしないのか、悩んでいる方や不安を覚えている方も多いのでは
ないでしょうか。
それぞれに理由などいろいろあるでしょうが、できない場合の対処法などもあります。
是非とも介護について考える際の参考にしてみてください。
目次
親が高齢になり年齢を重ねるとともに考えなくてはならないこととして、「介護」の問題があります。
一般的な家庭であればなんとかやりくりすることもできるでしょうが、場合によっては
したくない、できない理由もあります。
親の介護ができない理由でよく挙げられるのが、金銭的な余裕がないことです。
自分たちで介護をできない場合、施設で見てもらうこともできますが、多くの費用がかかります。
親の預金で賄えれば問題ありませんが、親の預金が多くなく自分の貯蓄でも介護費用を
賄えないかもしれません。
このように、金銭的な余裕がなく、介護ができない場合もあるでしょう。
金銭的に厳しくなれば仕事を増やさざるを得なくなり、その結果自身の体力や時間も削られる
という悪循環にもなりかねません。
2つ目の理由は、親との関係が良くないことです。
昔から虐待を受けていた、など介護が必要になる前から関係が良くない場合があるかもしれません。
もしくは、介護が必要になってから、必要以上に「親の介護は子どもがやってあたり前」などと
言われ続け、圧力をかけられると関係性が悪化することもあります。
関係が良くないと、介護をしていても精神的な負担が大きくなってしまうため、介護ができないと
考えるのも無理はありません。
そして、時間や心身の負担が大きいことも理由の1つです。
親の介護をするとなると、かなり多くの時間を費やすことになり、仕事などに影響が出てしまう
可能性があります。
場合によっては介護離職をしなければ対応できない場合もあります。経済的に余裕がない場合は、
介護をするのが難しいでしょう。
また、それだけ多くの時間を介護に割くと、自分のために使える時間がないため、精神的にも
つらくなってしまう可能性もあります。
精神状態が安定していない状態で介護を続けると、精神的な病を抱えてしまうことにも繋がるため、
無理に介護をしないほうが良いでしょう。
この様に、人によって親の介護をしたくない、と思うケースも考えられます。
では、親の介護をしないとどうなるのでしょうか。
そもそも介護をしなければいけないのか、介護をしなかった場合はどうなるのかなどについて、
以下で解説します。
民法877条第1項では「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められています。
直系血族とは祖父母や父母、子供や孫などを示すので、子供の配偶者である嫁・姑などの
関係性の場合は扶養義務はありません。
具体的な扶養義務とは、
の二つありますが、原則として②の経済的な支援をする扶養をすればよいということになっています。
程度としては、扶養義務を負っている子供などが社会的地位や収入などに応じた生活ができる範囲で、生活に困っている親族を支援すれば良いということになっています。
もしも扶養義務があるのにも関わらず、親の介護を放棄した場合は保護責任者遺棄罪に該当し
3カ月以上5年以下の懲役に科される可能性があります。
介護放棄をしたことによって親が死亡したりケガをした場合には保護責任者遺棄致死罪、
保護責任者遺棄致傷罪に該当。
保護責任者遺棄致死罪は3年以上20年以下、保護責任者遺棄致傷罪は3月以上15年以下の懲役が
科されることになるため、注意してください。
そのため、介護をしないという選択肢を取るのは、相当難しいものになっているといえます。
この様に、親や祖父母の介護は社会問題としての一面も大いにあります。
介護施設に入れるお金がない場合や、家の方針で「親を施設に入れるなど親不孝だ」という
考え方のもとどうしても在宅介護をしなくてはならない事例もあります。
もし親の介護ができないとなった時には、対処法を知っておくことが大切です。
まずは、兄弟姉妹や他の親族にお願いしてみてください。
親の介護をしなければいけないのは、子どもだけでなく兄弟姉妹や親の配偶者も含まれるため、
介護できる余裕がないか聞いてみてみると良いでしょう。
全てを兄弟姉妹や他の親族に任せるのではなく、できる範囲で協力すると兄弟姉妹や他の親族の
理解を得られやすくなります。
在宅介護を実施するか施設に入居させるか、施設に入居するなら何を判断基準にするか
といったような点は話合っておくことが重要です。
介護が必要になった際は地域包括支援センターなどに相談して入居できる施設などを紹介してもらう
ことも考えましょう。
特に親から虐待や差別を受けていた場合、完全に連絡を絶ち切ったりすることはできませんが、
施設の紹介など何かしらの案を提示してくれるはずです。
地域包括支援センターとは、介護・医療・保険・福祉などの側面から高齢者を支えるための
総合的な相談窓口です。
それぞれの領域の専門知識を持った職員が介護サービスや医療サービスについて相談に
乗ってくれます。
在宅介護をする場合、離職をしなければいけない場合もあるため、訪問サービスや施設に任せる
こともできます。
訪問サービスや施設に任せる場合、費用負担をする必要があります。
しかし、親の預貯金を利用したり健康保険、介護保険制度などを活用することにより、
費用負担を軽減することが可能です。
もし、お金が足りない場合、他の親族に協力をしてもらって費用を賄ってもらったり、
親に生活保護費を受給してもらうことで賄ったりすることもできます。
お金がなく介護ができない場合、金銭的余裕がないことを表明しましょう。
親の介護費用が無いという場合は公的な軽減制度を利用することができます。
それぞれの軽減制度の仕組みや軽減される費用についてはいったん割愛しますが、以下の5つが
代表的な軽減制度となります。
どうしても自分も親もお金がないという場合は生活保護の受給も検討しましょう。
生活保護を受給している場合は介護サービス費用の自己負担分は介護扶助が支給されるので
実質自己負担0円で介護サービスを利用できます。
施設への入居を検討するのも現実的な対策の1つです。
施設に入居するといっても、介護老人保健施設(老健)や特別養護老人ホーム(特養)、
有料老人ホームなど、希望するサービスの内容や入居条件などによって選択肢はいくつも
考えられます。
ただし、施設ごとに入居条件が決められているため、心身状態から施設を検索しましょう。
とくに要介護度や認知症の有無によって受け入れ対応が異なります。
また、本人や家族の希望、介護費用の予算などを含めた施設探しが大切です。
本記事では、親の介護をしない、できない場合にどうすればよいのかといった点について
解説しました。
「親の介護をしたくない」という理由だけで親の介護を放棄することはできません。
しかし、子どもだけに扶養義務があるわけではなく、兄弟姉妹や配偶者にも扶養義務があります。
地域包括支援センターなど頼れる場所を頼るのも対策ですので、是非とも参考にしてみてください。