本記事では、要介護5とは具体的にどんな状態なのかについて解説していきます。
「家族が要介護5と認定されたけど、どのような状態なのかわからない」
「要介護5ではどのようなサービスが受けられるの?」
このような疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。
そうした方のために、どのようなサービスを受けられるのかをはじめとして詳しくご紹介
していきます。
目次
要介護5は、7段階に分かれている要介護度のなかで最も重度(常時介護が必要な状態)と
される区分です。
しかし「要介護5」が一体どのような状態なのか、具体的なイメージを持てない方も多いのでは
ないでしょうか。
生労働省による「要介護状態」の定義は、わかりやすく説明すると「人の手を借りずに自分だけで
日常生活を送ることが難しい状態」と言えます。
そのなかで「要介護5」とは介助なしに日常生活を送れず、コミュニケーションをとることも
困難です。
要介護度の判定は、厚生労働省が基準を定める「要介護認定基準時間(介護にかかる時間)」を
ベースに7段階で区分しています。
要介護5は、要介護認定等基準時間が110分以上と認められた場合に判定されます。
要介護5の前には、要介護4が存在しています。
先ほどの要介護認定等基準時間で言えば、90分以上110分未満の場合は要介護4と認定されます。
更に、自力での移動ができないなど、介助がなければ日常生活を送れない、排泄、食事、入浴、
着替えなどすべてにおいて介助が必要などの場合は要介護4です。
これに対して、介助なしに日常生活を送れず、コミュニケーションをとることが困難で
寝たきりの状態が要介護5となります。
更に、日常生活全般が自分で行えないため、寝返りやおむつの交換、食事などすべてで
介助が必要なども要介護5と認定される具体例となっています。
この様に、要介護5とは最大の認定基準となるために、受けるサービスについても手厚いものと
なります。
ここからは、要介護5で利用できるサービスをご紹介していきますので、どんなサービスによって
サポートが受けられるのかの参考にしてみてください。
まずは訪問型の介護になります。
受けられるサービスの内容については、訪問介護、訪問入浴、訪問リハビリテーション
といったようなものが代表的です。
訪問型サービスとは、自宅で受けられるサービスのことです。
一般的には、ホームヘルパーや看護師などが自宅を訪問して、身体介護や家事援助、看護、
リハビリテーションなどのサービスを提供します。
在宅で行われるサービスなので、食事・入浴・排泄といった身体介助のサービスと、食事の準備、
自宅の掃除、ゴミ出し、衣類の洗濯など、身の回りの支援を行うサービスがあります。
続いては、通所介護です。
一般的な通所介護は、自宅に住むご利用者が通所介護事業所などを訪れ、日帰りで食事、入浴、
排泄の介助、レクリエーションなどの介護サービスを受けられるサービスです。
通所介護(デイサービス)事業所への送迎は原則として事業者が準備した車で行われます。
更に介護老人保健施設や病院に併設されている通所リハビリテーション施設(デイケア)に通い、
必要なリハビリテーションを医師の指示に基づいてリハビリ専門職から受けられる
デイケアサービスなどもあります。
短期入所型は、ショートステイとも呼ばれます。
ショートステイは、要介護認定を受けている方であれば要支援1~要介護5まで、
要介護度を問わず利用できます。
利用条件は施設によって異なるため、利用したい施設に問い合わせてみましょう。
自宅に住んでいる高齢者が1~30日(29泊)ほどの短い期間で施設に入居できるサービスで、
最大利用日数は目安として27日程度です。
入居した施設では入浴、排泄、食事などの介護サービスが受けられ、期間が終わったら
自宅へ戻ります。
要介護5と認定されると、利用者が日常生活を便利にする目的で、福祉用具をレンタルすることが
できます。
判定された要介護区分によってレンタルできるアイテムが異なっており、要介護5の方は
次の福祉用具をレンタルできます。
また、福祉用具のなかには、衛生的な理由で貸与に適していないものがあります。
これらのアイテムは、ご利用者が介護保険サービスを使って購入することができます。
高齢になって介護が必要になっても、手すりを取り付けたり、段差を解消したりすることで
住み慣れた家に暮らし続けることができます。
バリアフリー化にあたって大きなポイントとなるのが費用の問題ですが、介護保険を利用すれば
費用の約9割が支給されます。
住宅改修費の支給の対象になるのは介護保険の要介護・要支援認定を受けた人で、
支給限度基準額は20万円までです。
手すりの取付け、段差の解消、床または通路面の材料の変更などが工事の対象となります。
要介護5の方が利用できる地域密着型サービスには、次のようなものがあります。
要介護5の方が利用できるサービスの一つに、訪問・通い・宿泊サービスを組み合わせて
利用する方法があります。
この方法は、利用者の状態や家族の状況に応じて柔軟に対応できるため、多くの方にとって非常に
便利です。
訪問サービスは、介護スタッフが自宅に訪問して日常生活の支援や介護を行うものです。
例えば、食事の準備や掃除、入浴介助など、日常生活の様々な場面でサポートを受けることが
できます。
訪問サービスを利用することで、自宅での生活を維持しながら必要な介護を受けることが可能です。
護度別に決められた「区分支給限度基準額」の範囲内であれば、利用したサービスの費用のうち
1割から3割の負担での利用が可能です。
要介護5の区分支給限度額は、1か月あたり362,170円です。
当然ながら、要介護5段階の中で最も高い額です。
この限度額のうち、利用者が自己負担する額は、原則として所得に応じて1~3割となります。
たとえば、自己負担が1割の場合であれば、36,217円が自己負担の限度額です。
区分支給限度額の上限を超える介護サービスを利用した場合、超過分の全額は利用者自身が
負担することになります。
要介護5の方が利用できる助成制度には、介護保険制度に基づいた給付金や、
高額介護サービス費制度、紙おむつ給付、おむつ代助成制度、障害者控除、住宅改修補助制度など
があります。
今回は主な助成制度についてご紹介します。
医療費控除とは、該当する年の1月1日から12月31日までの1年間で、自分や家族が一定以上の
医療費を払った際に、所得の控除が受けられることです。
医療費控除は、所得税や住民税が課税される所得がある場合に恩恵を受けることができます。
特別養護老人ホームや、介護老人保健施設などではこの控除を受けることが可能です。
ただし、医療費として申告可能なのは、日常生活費や特別なサービス費など除く月額利用料と
なります。
その際介護老人保健施設と介護療養型医療施設、介護医療院は月額利用料の全額、
特別養護老人ホームは月額利用料の2分の1を申告できます。
高額介護サービス費とは、自己負担割合に応じた利用料の合計が負担限度額を超えたとき、
申請すれば超過分が支給される制度です。
なお、負担上限額は所得状況によって区分が定められているため、利用者によって異なります。
高額介護サービス費を利用するにあたり、書類を取り寄せたりする必要はありません。
負担限度額が超えたら自治体から「高額介護サービス費の支給申請書」が送付されてくるからです。
例えば、年収約770万円~1,160万円未満の場合は、世帯で9万3千円の上限額となります。
高額介護合算療養費制度とは、医療保険と介護保険における1年間の医療保険と
介護保険の自己負担の合算額が著しく高額であった場合に、自己負担額を軽減する制度のことを
いいます。
申請をすることによって負担額の一部が払い戻されます。
実際には、2008年4月1日から利用できるようになった、比較的新しい制度です。
尚、自己負担分ではなく、保険制度が負担する部分の費用負担は、医療保険者・介護保険者双方が、
自己負担額の比率に応じて負担します。
本記事では、要介護5で受けられるサービスや認定のされ方などについて詳しく解説しました。
要介護5の方は常時介護が必要な状態であるため、支えるご家族の身体的・精神的負担が大きくなる
可能性が高いです。
特に現代の介護は期間が長期化する傾向にあり、それに伴って介護の負担も長期化します。
サービスや制度は色々ありますので、是非とも検討してみてください。