介護における接遇とは?接遇マナー5原則や接遇力が必要な理由を紹介

2024.09.18

介護職で使われる「接遇」とは、おもてなしの心を持って利用者と接し、信頼関係を築くことです。
コミュニケーションは、言葉遣いや態度などと共に、利用者の尊厳を守り、
上質なケアを提供するための、介護職に必須のスキルと言えるでしょう。

介護の現場で「接遇」が必要な理由や「接遇マナー5原則」など、重要なことについて
解説していきます。

介護における接遇とは

「接遇」とは、相手が必要としていることを気遣い、思いやりの気持ちを持って応対することです。
接遇には、相手を尊重し笑顔で接すること、身だしなみや言葉遣いに気を配ること、
丁寧な対応をすることなど、多様な要素が含まれます。

これらを意識し、実践することで、私たちはより良い人間関係を築き、信頼と尊敬を得られます。
これらのスキルを身に付けることで、利用者に対して心地よいサービスを提供できます。

介護現場で大切な「接遇マナー5原則」

日々の業務における人との接し方において、基本となる「接遇マナーの5原則」を
詳しく解説しましょう。

  1. 挨拶
  2. 身だしなみ
  3. 言葉遣い
  4. 表情
  5. 態度
    これらを実践し、信頼と尊敬を得て、より良い人間関係を築くことができます。

 挨拶

介護の現場で、挨拶はコミュニケーションの基本です。
利用者やご家族に寄り添うために、相手の目を見て、笑顔で挨拶するように心がけましょう。
ですが、形式的な挨拶は近寄りがたい印象を与えてしまうこともありますし、目が合わない挨拶も、
相手に不快感を与えてしまうので、気を付けます。

利用者によっては大きな声が苦手な方もいますので、大きすぎず、小さすぎず、
相手が聞き取りやすい音量で話しかけると良いでしょう。

 身だしなみ

介護職では、利用者の体に触れることが多く、清潔感と安全を重視した身だしなみが要求されます。
第一印象を左右するポイントでもあります。
介護職における身だしなみは、接遇マナーだけでなく、事故を防ぐ役割もあります。

長い髪をまとめる、爪を短く切る、アクセサリーは外すなどは、事故のリスクにつながるため
配慮が必要です。
相手に不快感を与えない清潔な身だしなみを心がけ、メイクや服装、髪型にも気を配りましょう。

 言葉遣い

介護職における利用者に対する言葉遣いは、敬語が基本ですが、堅苦しくなりすぎるのも
良くありません。
なぜなら、介護の現場は利用者の生活の場となっているからです。
日常的で家庭的な安心感が得られる柔軟な対応が理想です。

また、失礼な態度や言葉遣い、幼児語で対応するなどは良くありません。
認知症の人にはジェスチャーなどを使い、わかりやすい言葉で表現します。
利用者の尊厳やプライドを傷つけないようにしましょう。

 表情

コミュニケーションは目に見える印象が大きな役割を持っています。
表情から感情を読み取るために、穏やかな笑顔で接しましょう。

疲れた表情や辛そうな表情、硬い表情をしていると、不安や不快感を持たれる原因になります。
話しやすい雰囲気を作るためにも、利用者に声かけをする際には注意が必要です。
特に介護職では利用者や家族との信頼関係は大切です。
誤解を与えないよう、自然な笑顔や穏やかな表情を心がけましょう。

 態度

態度は、相手への接し方の他にも、歩き方や立ち方、物の受け渡し方などの動作全般を言います。
利用者や家族への接し方に問題はなくても、立ち方や歩き方がだらしなかったり、
物の受け渡しが乱雑だと印象は悪くなります。
忙しいことが多い介護職ですが、物は両手で受け渡す、背筋を伸ばす、といった簡単なことだけでも
印象は良くなるものです。

利用者が声をかけたくなる、話をしたくなる態度を少し意識して心がけてみましょう。

介護に接遇力が必要な理由4選

介護職に接遇マナーが必要な理由をみていきましょう。

  1. 利用者の尊厳を守ってサービスを提供するため
  2. 利用者や家族と信頼関係を構築するため
  3. 利用者や家族に安心感を与えるため
  4. 利用者や家族とのコミュニケーションを円滑に図るため

 利用者の尊厳を守ってサービスを提供するため

介護の現場では、利用者の尊厳を守ってサービス提供することが要求されます。
介護職員は、家族にとって大切な利用者の尊厳を守り、自分らしく生きられるよう支援することが
役割になります。
日常生活を自力で送れなくなったとしても、他人に子供扱いされたり言動を強要されれば、
利用者も家族も辛く悲しい気持ちになります。

利用者をひとりの人間として尊敬し、行動に移すためにも、介護職員は正しい接遇マナーを
身につける必要があります。

 利用者や家族と信頼関係を構築するため

接遇マナーを守って利用者や家族と接することで、信頼関係を築きやすくなり、スムーズなケアを
行えるようになります。
介護の現場では、介助の際に介護職員と利用者が接触する場合が多くありますが、信頼関係がないと
利用者から拒否され、転倒や怪我につながる可能性もあり、思わぬ事故などのトラブルが
発生しやすくなります。
事故を予防し安全に介護をするためにも、接遇マナーによって利用者との信頼関係を築くことが
求められます。

 利用者や家族に安心感を与えるため

利用者やその家族の不安を取り除き、安心感を持って生活してもらうことが重要です。
介護スタッフが接遇マナーをおろそかにした場合、利用者が不信感を持ち、介護を拒否することも
あります。
利用者や家族は多少なりとも不安な気持ちを持っています。

特に利用者は、介護スタッフに自分の身体を任せる場合が多いですから、信頼できる相手なら
安心でしょう。
安心感を持って日々を過ごしていただくためにも、接遇マナーが重要です。

 利用者や家族とのコミュニケーションを円滑に図るため

接遇マナーによって利用者と家族とのコミュニケーションをスムーズにします。
介護士に必要なコミュニケーション能力で重視されるのは、傾聴の姿勢です。
利用者が伝えたいことを、その気持ちに共感しながら理解する、聞く力が求められます。
言葉以外に表れた表情や行動を観察し、真意を読み取った上での対応を心がけましょう。

安心で安全な介護を提供するためには、丁寧な接遇をもって利用者との間に信頼関係を築くことが
重要です。

まとめ

介護現場では利用者へ介護サービスの提供をおこないますが、スムーズにサービスを提供するには、
信頼関係の構築が必須です。
毎日の挨拶や態度、身だしなみなどの接遇マナーを守って対応していると、利用者や家族と
良いコミュニケーションができ、安心してケアを受けてもらうことができます。

ぜひ、接遇マナーの基本5原則を意識して活用しましょう。

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