同居の子供と世帯分離は可能?メリット・デメリットや手続き方法も紹介!

2024.09.19

本記事では、同居している子供との世帯分離は可能なのかについて解説します。
世帯分離は、保険料や税金などを今までよりも安くする事が可能になるなど様々なメリットが
あります。
同居している子供とも世帯を分離することができ、これにより国民健康保険料や住民税が軽減される
可能性があります。
そこで、同居の子供との世帯分離に関して詳しく解説します。

そもそも世帯分離とは

世帯分離とは、同居していながらも家族間(主に親と子)の世帯を分けることを指します。
世帯分離を行うと住民票の世帯を分けることになるため、役所の窓口で手続きをする必要が
出てきます。

しかし、介護が必要な家族がいる場合は様々なメリットがあるので「要介護の親と同居している」
「認知症の親との同居を検討中」のような方には検討する価値が大いにあります。
一方で、世帯分離することで生じるデメリットも存在するので、総合的に考えて実際に行うか
どうか判断しましょう。

同居の子供と世帯分離をすることは可能

親子間での世帯分離とは、現在同居している親子間で住民票の世帯を分けることを指します。
世帯分離は、親子で同居しているか、実家暮らしかということとは関係ありません。
よって、親と同居している場合にも、世帯分離を行うことはできます。

世帯分離の条件である「それぞれが独立した家計を営んでいること」を満たせば、世帯分離は
可能となります。
世帯分離をするための条件は「対象者がそれぞれの世帯で独立した家計を営んでいること」です。
したがって、子と親がそれぞれで生計を立てられているのであれば、世帯を分けることができます。

同居の子供と世帯分離をするメリット

同居する親と世帯分離をした場合のメリットとしては、主に以下の3つがあります。

  • 介護保険サービスの自己負担額の上限を下げられる
  • 介護保険料や後期高齢者医療保険料を下げられる
  • 介護保険施設の食費・居住費の軽減
  • 低所得者向け給付金の対象になる

 介護保険サービスの自己負担額の上限を下げられる

世帯分離のメリットとして最初に挙げられるのは、介護保険サービス費の自己負担割合を
下げられる可能性があることです。
介護保険サービスの自己負担割合は、「本人の所得」「世帯の所得」の2つに応じて決められています。
自己負担割合は所得が少ないほど軽くなる仕組みとなっており、最終的に1割~3割の負担の
いずれかが設定されます。

したがって世帯分離を行い世帯ごとの年収が少なくなることで、3割負担の場合であれば2割負担、
2割負担の場合は1割負担などに自己負担割合が下がる可能性があるのです。

 介護保険料や後期高齢者医療保険料を下げられる

世帯分離した場合、高額介護サービス費支給制度を利用しやすくなります。
高額介護サービス費支給制度は、公的介護保険の利用による自己負担の合計額が1ヵ月あたりの
上限額を超えた場合、市区町村に申請することで費用の一部が払い戻される制度です。

また、75歳以上の世代が加入している「後期高齢者医療保険」の保険料も、世帯全体の年収が
算定基準となっています。
そのため、現役世代である子と高齢の親が同一の住民票でいるよりも、世帯分離を行うことで、
後期高齢者医療保険料の納付額も下げることができるわけです。

 介護保険施設の食費・居住費の軽減

続いては、介護保険施設の居住費と食費が軽減できることです。 
というのも、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護保険サービスの一環として
運営されている施設の場合、世帯の所得ごとに居住費や食費が定められている
特定入所者介護サービス費という制度を利用することが出来ます。 

所得が低い方から順に多くの介護保険の給付がされていくので、自己負担額も所得の低いから方順に
少なくなっていきます。
言い換えれば、所得や預貯金による4段階ごとに居住費と食費が定められている制度ともいえます。

 低所得者向け給付金の対象になる

もう1つは、世帯分離によって住民税非課税などの世帯になった場合、市区町村から給付される
低所得者向けの補助金等を受給できることです。
名称は自治体によって異なることがありますが、給付対象となる例としては
「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」「コロナウイルス感染症の影響における
臨時特別給付金」などが挙げられます。

所得状況に応じて行政からさまざまな支援を受けられることは、大きなメリットと言えるでしょう。

同居の子供と世帯分離をするデメリット

ここまで、世帯分離のメリットについて解説してきました。
しかし世帯分離には以下のようなデメリットも存在するため、注意が必要です。

  • 国民健康保険料の負担額が増えることがある
  • 健康保険の扶養から外れる
  • 介護サービス費・医療費の合算が出来なくなる
  • 手続きが煩雑になる

主なデメリットについて見ていきましょう。

 家族手当や扶養手当などの扶養から外れる

1つは、世帯分離をしたことによって扶養家族から外れることによって新たに健康保険に
加入しなくてはならなくなったり、今まで受け取っていた扶養手当や家族手当を受け取ることが
出来なくなることです。
なぜなら、世帯分離をすると会社員の息子などの扶養に入っていた場合は扶養から抜けることに
なります。

その結果、扶養されていた方は自分で国民健康保険に加入し保険料を払わないといけなくなったり、
あるいは扶養していた息子は会社から扶養手当や家族手当などの支給が受け取れなくなるのです。

 医療保険料が高くなる可能性がある

続いては、医療保険料が高くなるケースがあることです。
世帯分離のデメリットの1つ目は国民健康保険料の負担額が増えることがあり、国民健康保険料の
徴収は世帯主に対して行われるため、世帯分離をするとそれぞれの世帯が保険料を
負担しなくてならないのです。

つまり世帯分離をした結果、それぞれの世帯から国民健康保険料を支払わなくてはならなく
なるため、
世帯分離をする前よりも保険料が高くなったということがあり得るのです。

 役所での手続きが煩雑になる

手続きが煩雑になる点もデメリットに数えられます。
というのも、今まで同一世帯で役所などの手続きがてきていたところを二つの世帯に
分けなくてはならないので手続きが煩雑になります。

例えば親の住民票が必要な場合、親が身体的な問題などで自ら役所に行けないとき、子が代理で
窓口に行くには委任状が必要となります。
必要な都度、親に「委任状」を書いてもらうことになるため、手続きの手間は増える
といえるでしょう。
以上より、世帯分離のデメリットとして手続きが煩雑になる点が挙げられます。

世帯分離の手続き方法

世帯分離の手続きには、市区町村の担当窓口に必要な書類を提出することが必要になります。

  1. 世帯分離の手続きに必要な書類をそろえる
  2. 市区町村の窓口に「世帯変更届」を提出する
    大まかな流れとしてはこのような形になっていますが、具体的な中身をここから
    見ていきましょう。

 必要書類の準備

世帯分離をするには、市区町村役場で「住民票記載事項訂正届」や「住民票記載事項変更届」などの
書類を提出するほか、国民健康保険や年金などの関係機関にも手続きが必要です。

世帯分離に必要な書類には、以下のものがあります。

  • マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど本人確認書類
  • 国民健康保険証
  • 介護保険証
  • 年金手帳、国民年金、厚生年金または船員保険の年金証書など
  • 世帯変更届
  • (委任状)
    本人確認書類を2枚以上提示する場合は、健康保険証や年金手帳(証書)、
    社員証など2種類以上提示します。

 市町村窓口への届け出

世帯分離の手続きは、居住している市区町村役場の窓口に出向いて行います。
上記の必要なもの(代理の場合は委任状)を用意して窓口に行き、必要書類を提出します。

提出できるのはご本人のほか、世帯主(世帯分離後の世帯主も可能)、代理人、同一世帯の方です。
市区町村によっては代理人だけでなく、同一世帯の方の場合もご本人以外は委任状が必要となります。
詳しくは各自治体のページで確認できるので、事前に調べておくと安心です。

まとめ

本記事では、世帯分離を同居している子供との間でもできるのかなどについて解説しました。
世帯分離にはメリットとデメリットが存在します。メリットをうまく活かすためには、
世帯分離を正しく理解しておかなければなりません。

世帯分離の目的は、所得の少ないご家族の税負担の軽減ということです。
これを念頭に置いたうえで、申請を検討しましょう。

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