老老介護とは?現状の割合や原因、問題点や解決策なども詳しく解説!

2023.06.15
  • 介護の豆知識

近年、高齢の夫婦だけで生活する世帯が増えています。 高齢夫婦の一方、または両方に介護が必要になると、「老々介護」とよばれる状態になり、日本では増加傾向にあります。

老々介護になると、若い人による介護以上に心身への負担が大きく、共倒れのリスクも高いため問題になっています。 本記事では、以下についてご説明します。

・老々介護の現状
・老々介護の問題点
・老々介護の負担を減らすための解決策

老々介護をしている方、ご家族が今後、老々介護になりそうだという方の参考になりますと幸いです。

 老老介護とは?

老々介護とは、介護する人、介護される人どちらも65歳以上の高齢者である状態を指す言葉です。

夫婦や兄弟間での介護となると、老々介護になる割合は増えていきます。 また、平均寿命が伸びたことにより、親子であっても、介護をしている子どもが65歳に到達し、老々介護に突入するケースは増えています。

75歳を越える方同士の介護は、「超老々介護」と呼ばれることもあります。

 老老介護の現状

家庭で介護を行うなかで、一般的になりつつある老々介護。 どれくらいの方が老々介護の状態になっているのか、現状を詳しく見てみましょう。

・介護者、被介護者ともに65歳以上:59.7%
・65歳以上同士のうち、介護者、被介護者ともに75歳以上:33.1%

このように、老々介護の割合が半数以上を占めています。 団塊の世代が後期高齢者に突入し、高齢者数は増えていますので、今後も、老々介護、超老々介護の割合は増えていくと予想されています。

 老老介護の割合は増え続けている

厚生労働省が2019年に行った調査によると、介護者と被介護者の年齢構成は以下の通りです。

・介護者が49~64歳、被介護者が65歳以上:5.1% 
・介護者、被介護者ともに65歳以上:59.7%
・65歳以上同士のうち、介護者、被介護者ともに75歳以上:33.1%

このように、老々介護の割合が半数以上を占めています。
また、超老々介護の割合も見過ごせない結果となっています。

団塊の世代が後期高齢者に突入し、高齢者数は増えていますので、今後も、老々介護、超老々介護の割合は増えていくと予想されています。

 介護期間の長期化も問題になっている

老々介護が増えている理由として、介護が必要な期間の長期化もあげられます。 介護を必要とせず、元気に過ごすことが出来る「健康寿命」は、男性が72.14歳、女性が74.79歳です。 対して、平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳。

その差は男性は8.84歳、女性は12.35歳も開きがあります。

これだけの長い期間に介護を行うため、当初は老々介護でなかった世帯も、老々介護や超老々介護に突入していきます。 介護しているうちに、介護者自身も健康寿命を過ぎて何らかの支援が必要になってしまうことも、問題になっており、 近年では、介護者、被介護者ともに認知症の「認認介護」も増えています。

認認介護になると、お互いの体調の変化に対応できなかったり、食事や薬の管理が上手くできなくなったりするため、急激に状況が悪化することもあります。

 老老介護の原因とは?

老々介護の大変さは周知されてきていますが、それでも増え続けています。 老々介護の原因は、大きく分けて3つあります。

それぞれの原因について、詳しく見てみましょう。

 少子高齢化

医療や介護サービスが進歩し、長寿化が進む一方で、ライフスタイルの変化などが影響し、子どもの数は減り続けています。

また、仕事などの都合で出身地を離れて生活したり、共働きをしたりする若い世代も多く、親世代の介護まで手が回らない、ということも増えています。 以前であれば、複数の兄弟が役割分担することもできました。

しかし、少子化にともない、子ども世代の手を借りることができず、高齢者が介護者となり、老々介護になるケースが増えているのです。

 核家族化

2つ目は、核家族化が進んだことです。 核家族とは、「夫婦と未婚の子どもだけの世帯、夫婦のみの世帯や父親または母親と未婚の子どもだけの世帯」を指します。

従来の家庭は、3世代が同居し、子どもや孫の世代が協力して祖父母の世話をしてきました。 しかし、昨今では、核家族世帯が当たり前になり、子ども世代は進学や結婚をきっかけに家を離れることが多くなりました。

すると、面倒を見る若い世代がいなくなるため、高齢の夫婦のみで介護をする、老々介護に繋がるのです。 親と未婚の子どもの世帯の場合も、親世代に介護が必要になるころには子どもは60歳前後、ということが多いため、介護が長期化すると、老々介護に移行していきます。

 他人に介護される抵抗感

これまでは、要介護になっても、家族が面倒を見ることが一般的でした。 元気なうちも、今の高齢者世代にとっては、「妻が夫の世話をする」ということは日常的に行われてきました。 「他人の世話にはならない」と頑張ってきた方にとっては、第三者に介護されることは、自分の老いを認めることにもつながります。

そのため、第三者が家庭に入り、介護をするということに抵抗を感じる高齢者は少なくありません。 また、排泄や入浴に関することは、プライバシーにも関わることです。 まだ心を許していない他人に委ねるのは受け入れられない、という気持ちを持つこともあります。

 老老介護の問題点とは?

老々介護が続くと、どのような問題が生じるのでしょうか。

老々介護により起こる、3つの問題点について解説します。

 介護者のストレスや負担が大きい

高齢になると、たとえ持病がなくても、少しずつ体力が落ちていきます。 体力が落ちた状態での介護は、身体的な負担が大きくなります。

特に、排泄や入浴、車いすへの移乗などの身体に直接触れる介護は、プロでも腰や膝を痛めやすいもの。 高齢者が行うことで、介護者も身体状況を悪化させてしまう場合があります。 また、介護にかかる時間が増えることで、介護者、要介護者ともに、外出したり他者と関わる時間が減っていきます。

自分の時間を持てず、リフレッシュできない生活を送ることは、大きなストレスに繋がります。 要介護者の状態によっては、24時間目を離せないような場合もあり、1人で介護をする事は、想像を絶する負担になります。 過度なストレスは、介護うつや高齢者虐待に繋がる恐れもあります。

 介護に時間がかかる

高齢の介護者は、介護者自身もからだの不調を抱えていることが少なくありません。 痛みや脳の機能の変化にともなって、一つ一つの動作が遅くなる傾向もあります。

理解力が低下しているため、要介護者の状況や医師が言っていることを理解するのも、若い人よりは時間がかかるようになります。 そのため、若い人と比べて、介護に必要な時間が増える傾向があります。

介護に時間がかかることで、周囲との関わりが減ったり、自分自身の健康管理やリフレッシュが難しくなり、介護うつや、介護者の病気の悪化に繋がることが心配されます。

 事故が起きやすい

高齢になると、足腰の筋力やバランス感覚が落ちるため、介護者も転倒しやすくなります。 その状態で身体的な介護を行うことで、腰を痛めたり、要介護者と一緒に転倒してしまうリスクは高くなります。

また、加齢にともない、注意力や判断力などの認知機能も低下していくものです。 認知機能が低下すると、要介護者の体調の変化に気づかない、適切に対応できないということも出てきます。

生活面でも、火の不始末や戸締まりを忘れるなどのトラブルが増える可能性があります。 介護が必要な方は、そのようなトラブルの際に素早く逃げることが難しい場合が多いため、大きな事故に繋がりかねません。

 老老介護の具体的な解決策とは?

長期化しやすく、様々な問題が起きやすい老々介護ですが、家庭の事情により、老々介護を続けるしかないという場合もあると思います。

老々介護の負担やリスクを減らすための解決策についても考えていきましょう。

 社会的支援サービスを活用する

配偶者や子どもなど、特定の人だけで介護を続けるのは、心身への負担がとても大きいです。 無理をせず、早めに介護サービスの利用を検討しましょう。

介護保険では、身体的なお世話だけでなく、通院や生活面のサポートもしてもらえます。 デイサービスを利用することで、介護者、要介護者ともにリフレッシュすることが出来ますし、介護のアドバイスをもらえる場合もあります。

また、最近では自治体独自の見守りサービスや、雪国なら除雪の支援などもしてくれる場合があります。 地域包括支援センターに相談すると、どのような支援をうけるのがよいか、相談にのってくれます。

要介護者が利用を拒否している場合も、良いアドバイスを貰えるかもしれません。早めに相談することをおすすめします。

 介護施設を活用する

日常的に介護が必要な状態になると、介護サービスを利用したとても、介護者の負担は大きくなっていきます。 そのようなときは、介護施設への入居も検討しましょう。

介護施設には、

・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・介護老人保健施設
・グループホーム
・民間の有料老人ホーム

など、要介護者の状態や経済状況により、様々な施設があります。 介護施設に入居すれば、夜間やこまめなお世話などの、在宅サービスでは難しい支援をうけることが出来ます。 通院の付き添いや洗濯など、家族が手伝わなければいけないことはありますが、介護負担は大きく軽減します。

また、施設ではレクリエーションやリハビリなどの提供もあるため、要介護者自身にとっても刺激があり、良い環境です。 介護施設を選択肢に入れておくことは、お互いの安心のためになりますよ。

 身内や知り合いに頼む

核家族化やご近所付き合いの減少が進む昨今ですが、老々介護においては、身内や近所の知り合いの協力を得ることも大切です。 ちょっとした買い物やゴミ出し、介護者自身の困り事に関しては、介護サービスでは全て解決出来ないことも多いです。

日頃から良好な関係を築いていれば、ご近所や親戚同士で助け合えるかもしれません。 介護の悩みや愚痴を効いて貰うだけでも、ストレスの解消に繋がります。 また、お互いの安否確認にもなるため、何かあったときには迅速な対応に繋がるでしょう。

 まとめ

ここまで、老々介護についてご説明してきました。 老々介護について、以下にまとめます。

・老々介護は、少子高齢化や核家族化といった、社会環境の変化により増加している。
・介護者の負担が大きく、事故や共倒れなどの問題が起きやすい。
・家庭内で抱え込まずに、介護サービスや介護施設を活用したり、周囲の協力を得ることが大切。

この記事が皆様のお役に立ちますと幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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