特別養護老人ホームとは?費用や養護老人ホームとの違いなども解説!

2023.07.13
  • 介護の豆知識

高齢化が進む現代社会において、「特別養護老人ホーム」という言葉をよく耳にするようになりました。 しかし「どんな場所なのか」「費用はどのくらいかかるのか」といった疑問をお持ちの方も多いと思います。

本記事では、特別養護老人ホームについて、初めての方でもわかりやすく解説していきます。 入居条件から費用と減免制度、メリットやデメリットについて詳しく説明していくので、特別養護老人ホームに入居を考えている方は必見です。

特別養護老人ホームとは?

特別養護老人ホームとは、社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な介護施設のことです。

民間の老人ホームとは違い、社会福祉を目的として運営しているため、利用者の費用負担が少ないのが特徴です。

通称「特養」と呼ばれていますが、介護保険制度上は「介護老人福祉施設」と称されます。 自宅での生活が困難な高齢者を対象とした施設で、入浴や食事、排泄などの日常生活のお世話や、健康管理やリハビリなどの介護を受けられます。

要介護3以上を対象とした介護老人福祉施設

要介護度とは、介護の必要度を表した区分で、日常生活に支障が見込まれる状態の要支援から段階として定められており、要支援1〜要介護5の計7段階で定められています。

入居条件の要介護3という段階の状態として、トイレや入浴で手助けが必要、着替えが一人で出来ない、足腰が不安定で歩行が困難など、生活全般での介護が必要になる状態です。

特別養護老人ホームと養護老人ホームの違い

特別養護老人ホームは、比較的重度の要介護が必要な高齢者を対象とする介護を目的とした施設です。

一方で養護老人ホームは身体的には自立しているが、環境や経済的に在宅での生活が困難な高齢者を支援し、社会復帰を促すことを目的とした施設になります。そのため、介護という分類ではなく食事や健康管理、社会復帰支援などのサービスが受けられます。 また、この2つの施設で大きな違いは入所基準にあります。

特別養護老人ホームは、原則として要介護3以上の健康状態が入居条件になりますが、養護老人ホームでは自立した高齢者を対象とし、一定の窮困した経済状況であることが条件になります。

特別養護老人ホームの費用とは?減免制度についても解説

特別養護老人ホームの入居には、初期費用や一時金は必要ありませんが、月額の利用料金として居住費や食費の他、介護サービスの自己負担費や日常生活費が必要になります。

また、この費用負担を軽くするための公的な減免制度があります。 減免制度は、居住費および食費を減免できる制度から、介護サービス費を含めたすべての費用を減免できるものまで様々な制度があります。

また、この減免制度は要件や自己負担額等により軽減のされる金額も変わってきますので、費用と併せたシミュレーションをする必要があります

特別養護老人ホームの費用はどのくらい?

特別養護老人ホームでは、月額の利用料が、厚生労働省の定める基準費用額に基づいて設定されます。 居室タイプや要介護度、所得等によって異なりますが、一般的に負担する費用相場として、月額9万円〜15万円程度になります。 この中でも、主に居室タイプによって費用は大きく変わります。

サービス費の相場の例として、相部屋の「多床室」の場合は、毎月8.6万円〜9.4万円ほどになり、リビングなどの共同スペースもあります。グループとして生活する「ユニット型」の場合は、毎月11.3万円〜13.1万円ほどになります。 また、月額費用の内訳として、主に以下の4つの費用があります。

  1. 居住費:個室、相部屋や共同スペースの有無などの居室タイプ、所得等によって変わる費用。
  2. 食費:1日あたり3食分の食事費用。
  3. 日常生活費:理美容代や医療費、薬代の他、レクリエーションの参加費。
  4. 介護サービス費:要介護度や居室タイプによって変わる費用。

その他に医療や介護サービスに応じて基本料金に加算されていく加算費用もあります。

費用減免制度の対象条件や手続き方法

特別養護老人ホームの費用減免制度には、費用負担を軽くするための公的な4つの減免制度がありますのでご紹介します。

  1. 特定入所者介護サービス費:食費や居住費などの費用を減免する制度です。所得によって対象者を4段階に分け、それぞれの段階ごとに負担限度額が設けられます。対象者の費用が負担限度額を超えた場合、費用が支給される仕組みになっています。
  2. 高額介護サービス費:介護サービス費の費用を減免する制度です。対象者を4段階に分け、それぞれの段階ごとに負担限度額が設けられます。対象者の費用が負担限度額を超えた場合、費用が支給される仕組みになっています。
  3. 高額医療・高額介護合算療養費制度:一年間の医療保険と介護保険の自己負担の金額が高額な場合に、費用を軽減する制度です。所得によって限度額を設定し、医療保険と介護保険の自己負担の合計金額が限度額を超えた場合支給されます。
  4. 社会福祉法人などの利用者負担減免制度:低所得で生計が困難な方が、社会福祉法人等が運営する事業所(施設)が提供する介護保険のサービスを利用する場合に、申請により事業者に支払う利用者負担や、食費、居住費(滞在費)または宿泊費が軽減される制度です。

特定の条件を満たす生計が困難な方が対象です。 各種の手続き方法はお住まいの各自治体にて申し込みが可能です。

特別養護老人ホームのメリット・デメリット

特別養護老人ホームは費用が比較的安く、終身で入れる点やスタッフが常駐していることから、安心して生活できるなどのメリットもあります。一方で、入居希望者が多い場合には待機期間が発生する可能性などのデメリットもあります。

入居を考える際には、メリットとデメリットを十分理解した上で、適切な施設を選ぶことが重要です。

特別養護老人ホームのメリット

  1. 費用が安い:公的施設なので入居金がなく、他の老人ホームと比べ安価です。
  2. 倒産の心配がない:公的施設なので民間経営と違い、倒産することはありません。
  3. 終身利用ができる:看取り介護を実施している施設も多く、最期まで同じ施設で暮らせます。
  4. 24時間介護を受けられる:介護スタッフが常駐しており、日常生活や健康管理などのサポートを受けられます。

特別養護老人ホームのデメリット

  1. 入居条件がある:特例を除き、要介護3以上の高齢者しか入居できない。
  2. 入居までに時間がかかる場合がある:地域によっては入居待ち人数が多く、審査や空き状況によっては数か月から数年かかる場合があります。
  3. 受けられる医療には限界がある:看護師は24時間常駐していないのと、医師も連携先の医師や施設に務めている医師です。また、感染症や医療的ケアが必要な方は入居できない場合があります。

特別養護老人ホームは医療費控除の対象?

特別養護老人ホームでのサービス費は、医療費控除の対象となります。

医療控除とは、医療費が一定額を超えた場合に申請をすれば翌年の税金を抑えられる制度で、特定の条件下ですが支払った費用のうち、介護サービス費、食費、居住費の3つが対象となり、半分に相当する額が控除対象になります。 医療費控除の申し込み手続きは税務署にて可能です。

まとめ

この記事では、特別養護老人ホームの入居条件や費用、入居前に気になるメリットやデメリットを解説しました。 今回の要点は以下になります。

  • 入居には、年齢や要介護3以上の条件がある。
  • 月額の費用相場は居室タイプにより異なり、9万円から15万円かかる。
  • 特養は費用負担を軽減する制度があり、他の老人ホームと比べ費用が安い。
  • 入居までに時間がかかる場合がある。

これらは、特別養護老人ホームへの入居前に知っておくべき内容となります。 ぜひ、老人ホーム選びの知識として役立てて頂きたいです。

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