高齢化が進む現代社会において、「特別養護老人ホーム」という言葉をよく耳にするようになりました。 しかし「どんな場所なのか」「費用はどのくらいかかるのか」といった疑問をお持ちの方も多いと思います。
本記事では、特別養護老人ホームについて、初めての方でもわかりやすく解説していきます。 入居条件から費用と減免制度、メリットやデメリットについて詳しく説明していくので、特別養護老人ホームに入居を考えている方は必見です。
目次
特別養護老人ホームとは、社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な介護施設のことです。
民間の老人ホームとは違い、社会福祉を目的として運営しているため、利用者の費用負担が少ないのが特徴です。
通称「特養」と呼ばれていますが、介護保険制度上は「介護老人福祉施設」と称されます。 自宅での生活が困難な高齢者を対象とした施設で、入浴や食事、排泄などの日常生活のお世話や、健康管理やリハビリなどの介護を受けられます。
要介護度とは、介護の必要度を表した区分で、日常生活に支障が見込まれる状態の要支援から段階として定められており、要支援1〜要介護5の計7段階で定められています。
入居条件の要介護3という段階の状態として、トイレや入浴で手助けが必要、着替えが一人で出来ない、足腰が不安定で歩行が困難など、生活全般での介護が必要になる状態です。
特別養護老人ホームは、比較的重度の要介護が必要な高齢者を対象とする介護を目的とした施設です。
一方で養護老人ホームは身体的には自立しているが、環境や経済的に在宅での生活が困難な高齢者を支援し、社会復帰を促すことを目的とした施設になります。そのため、介護という分類ではなく食事や健康管理、社会復帰支援などのサービスが受けられます。 また、この2つの施設で大きな違いは入所基準にあります。
特別養護老人ホームは、原則として要介護3以上の健康状態が入居条件になりますが、養護老人ホームでは自立した高齢者を対象とし、一定の窮困した経済状況であることが条件になります。
特別養護老人ホームの入居には、初期費用や一時金は必要ありませんが、月額の利用料金として居住費や食費の他、介護サービスの自己負担費や日常生活費が必要になります。
また、この費用負担を軽くするための公的な減免制度があります。 減免制度は、居住費および食費を減免できる制度から、介護サービス費を含めたすべての費用を減免できるものまで様々な制度があります。
また、この減免制度は要件や自己負担額等により軽減のされる金額も変わってきますので、費用と併せたシミュレーションをする必要があります
特別養護老人ホームでは、月額の利用料が、厚生労働省の定める基準費用額に基づいて設定されます。 居室タイプや要介護度、所得等によって異なりますが、一般的に負担する費用相場として、月額9万円〜15万円程度になります。 この中でも、主に居室タイプによって費用は大きく変わります。
サービス費の相場の例として、相部屋の「多床室」の場合は、毎月8.6万円〜9.4万円ほどになり、リビングなどの共同スペースもあります。グループとして生活する「ユニット型」の場合は、毎月11.3万円〜13.1万円ほどになります。 また、月額費用の内訳として、主に以下の4つの費用があります。
その他に医療や介護サービスに応じて基本料金に加算されていく加算費用もあります。
特別養護老人ホームの費用減免制度には、費用負担を軽くするための公的な4つの減免制度がありますのでご紹介します。
特定の条件を満たす生計が困難な方が対象です。 各種の手続き方法はお住まいの各自治体にて申し込みが可能です。
特別養護老人ホームは費用が比較的安く、終身で入れる点やスタッフが常駐していることから、安心して生活できるなどのメリットもあります。一方で、入居希望者が多い場合には待機期間が発生する可能性などのデメリットもあります。
入居を考える際には、メリットとデメリットを十分理解した上で、適切な施設を選ぶことが重要です。
特別養護老人ホームでのサービス費は、医療費控除の対象となります。
医療控除とは、医療費が一定額を超えた場合に申請をすれば翌年の税金を抑えられる制度で、特定の条件下ですが支払った費用のうち、介護サービス費、食費、居住費の3つが対象となり、半分に相当する額が控除対象になります。 医療費控除の申し込み手続きは税務署にて可能です。
この記事では、特別養護老人ホームの入居条件や費用、入居前に気になるメリットやデメリットを解説しました。 今回の要点は以下になります。
これらは、特別養護老人ホームへの入居前に知っておくべき内容となります。 ぜひ、老人ホーム選びの知識として役立てて頂きたいです。