小規模多機能型居宅介護のデメリットとは?注意点なども詳しく解説!

2023.08.26

小規模多機能型居宅介護とは、『地域密着型サービス』の一つです。登録者数が29名以下の小規模な事業所で、『通所』『泊り』『訪問』3つのサービスを提供します。

この記事では、小規模多機能型居宅介護のメリット・デメリットを詳しく紹介します。小規模多機能型居宅介護の利用を考える際の注意点も解説します。住み慣れた地域で生活を続けたい方に、おすすめの内容です。ぜひ参考にしてください。

小規模多機能型居宅介護とは?

小規模多機能型居宅介護とは、2006年に創設された『地域密着型サービス』の一つ。利用者が出来る限り住み慣れた地域で、自立した生活を送れるよう、支援するのが目的です。

『デイサービス(通所)』を中心に、『ショートステイ(泊り)』、『ヘルパー(訪問)』が利用できます。一事業所当たりの登録者数は29名以下で、1日あたりの利用者数はデイサービスが概ね15名以下(条件を満たせば18名以下)、宿泊は概ね9名以下と定められています。

利用対象者は、要支援1と2、要介護15と判定された65歳以上の方。特定疾病による介護認定を受けた40~64歳の方も対象です。要支援の方は、介護予防を目的とした『介護予防小規模多機能型居宅介護』のサービスを利用できます。

また、地域密着型サービスである小規模多機能型居宅介護は、原則として事業所と同じ市区町村に住民票を持つ方が利用対象。申し込みを検討される際はご注意ください。

小規模多機能型居宅介護のメリット

小規模多機能型居宅介護には、月額料金が定額制、24時間365日利用可能などのメリットがあります。この章では、小規模多機能型居宅介護のメリット3つを紹介します。

「名前は聞いたことがあるけれど、メリットがよく分からない」という方は、ぜひご覧ください。

3つのサービスが1つの契約で受けられる

小規模多機能型居宅介護は、『通所』『泊り』『訪問』という3つのサービスが1つの契約で受けられます。3つのサービスをそれぞれ違う事業所で利用する場合、3回契約する必要があります。

しかし、小規模多機能型居宅介護は同一事業所内で3つのサービスを提供するため、1つの契約で全ての利用が可能です。

契約にかかる手間や時間を減らせるメリットがあります。利用者本人だけでなく、契約に同席する家族にとっても大きいメリットです。

月額料金が定額制なので安心

小規模多機能型居宅介護は、月額料金が定額制なので安心です。介護保険サービスは、介護度に応じて介護保険支給限度基準額が決まります。月の限度額を超えた利用金額は全額自己負担となるため、注意が必要です。

また、利用サービスの回数や時間に制限がありません。柔軟にサービスを利用でき、かつ定額制で利用料が介護保険支給限度額基準額を超える心配がありません。これらが大きなメリットと言えるでしょう。

24時間365日利用可能

小規模多機能型居宅介護には、24時間365日利用可能というメリットがあります。

介護サービスをそれぞれ単体で利用している場合、利用回数などに制限があります。例えば、訪問や通所は、ケアプランで利用する曜日や時間を事前に設定。泊りは2~3か月前から予約が開始され、急な利用は難しい場合があります。

小規模多機能型居宅介護は24時間365日利用でき、利用回数や時間などに制限がありません。利用定員数に達してさえいなければ、急な利用も可能です。

例えば、通所の利用からそのまま泊りを利用したり、緊急時の訪問を依頼できます。また、通所を『午前中だけ』『昼食を食べるだけ』など、短時間での利用も可能です。

利用者の生活や家族の用事に合わせて、柔軟にサービスを利用できるのは大きなメリットと言えるでしょう。

小規模多機能型居宅介護のデメリット

小規模多機能型居宅介護は、メリットが多数あります。しかし、専属のケアマネージャーに変更しないといけない、定員数に限りがあるなどのデメリットもあります。

この章では、小規模多機能型居宅介護のデメリット3つを紹介。デメリットから、小規模多機能型居宅介護の入所を考える際の注意点が見えてきます。ぜひ参考にしてください。

専属のケアマネージャーに変更しないといけない

小規模多機能型居宅介護のデメリットとして、ケアマネージャーの変更があります。

小規模多機能型居宅介護には、専属のケアマネージャーがいます。そのため、以前からの担当ケアマネージャーがいる場合は変更しなくてはいけません。信頼関係を築いてきた担当ケアマネージャーを契約解除することに抵抗がある方は、注意が必要です。

ただし、利用するサービスと同じ施設のケアマネージャーが窓口となるため、連携が取りやすくなるメリットも。また、複数の事業所を利用するのに比べ、介護方法も統一されやすくなり安心です。

サービスの併用や部分的に他の事業者を利用できない

小規模多機能型居宅介護は、『通所』『泊り』『訪問』という3種類のサービスを同一事業所で提供します。そのため、サービスの併用や部分的に他の事業所の利用ができないというデメリットがあります。以下のサービスの併用は不可です。

  • 居宅介護支援
  • 訪問入浴介護
  • 訪問介護
  • ショートステイ
  • デイサービス
  • デイケア

併用できるサービスは、訪問看護・訪問リハビリテーション・住宅改修・福祉用具貸与・居宅療養管理指導です。そのため、例えば「通所だけ他の事業所を利用したい」と考えても、部分的に他の事業所を利用することはできません。

今まで利用していたサービスも併用不可の場合は、新たに小規模多機能型居宅介護で契約し直しとなります。

定員数に限りがある

小規模多機能型居宅介護のデメリットの一つは、定員数に限りがある点です。利用定員は29名以下と少人数なため、希望してもすぐに契約できない可能性があります。

また、『通所』と『泊り』は定員数が決まっているため、注意が必要。1日当たりの定員数は、『通所』が15名以下(条件を満たせば18名以下)、『泊り』が9名以下です。そのため、利用を希望しても希望日の定員数がすでに上限に達している場合は利用できません。

小規模多機能型居宅介護は、各サービスに利用回数の制限はありません。しかし、希望日が他の利用者の方と重なり利用できない可能性がある点に、注意が必要です。

小規模多機能型居宅介護はこんな人におすすめ!

小規模多機能型居宅介護は、毎回顔見知りのスタッフに介護を受けたい方や、費用面を安く抑えたい方などにおすすめです。もしかしたら、あなたやご家族も、おすすめの人物像にあてはまるかもしれません。

小規模多機能型居宅介護がどのような方におすすめなのか、詳しくご紹介いたします。

介護してくれる家族が忙しい方

小規模多機能型居宅介護は、介護してくれる家族が忙しい方におすすめです。同居の家族が仕事などで忙しい場合、介護との両立は大変なもの。介護者の負担が大きい場合もあります。

小規模多機能型居宅介護は、『通所』『泊り』『訪問』3つのサービスを一つの契約で利用可能。忙しい家族にとって、1回の契約手続きで済むのは手間が省けます。

また、利用定員数に空きがあれば、急なサービス利用もできます。家族の急な用事などの都合に合わせて、柔軟な対応が可能です。

毎回顔見知りのスタッフに介護を受けたい方

小規模多機能型居宅介護は、毎回顔見知りのスタッフに介護を受けたい方におすすめです。小規模多機能型居宅介護は、3つのサービスを同じスタッフで対応します。また、定員数も少人数に設定されているため、スタッフとの信頼関係も築きやすいのが特徴。

認知症の方は、環境の変化や新しい人との関わりが苦手な傾向にあります。通所や泊り、訪問と、各サービスを別々の事業所で利用すると、混乱し利用を拒否する場合もあります。顔見知りのスタッフによって3つのサービスを受けられる小規模多機能型居宅介護なら、安心して利用できるでしょう。

費用面をできるだけ安く抑えたい方

費用面をできるだけ安く抑えたい方にも、小規模多機能型居宅介護はおすすめ。小規模多機能型居宅介護は、基本的なサービス費の月額利用料が定額です。利用回数や時間に関わらず、介護度に応じて定額に設定されているため、料金が分かりやすいのが特徴です。

柔軟にサービスを利用でき、かつサービス費の超過を気にせずに済むため、費用面が気になる方におすすめと言えるでしょう。ただし、サービスの利用回数や時間が少ない方は、場合によっては費用面が高く感じる可能性があります。ご注意ください。

まとめ

小規模多機能型居宅介護とは、利用者が出来る限り住み慣れた地域で自立した生活を送れるよう、支援するのが目的の施設。『デイサービス(通所)』を中心に、『ショートステイ(泊り)』、『ヘルパー(訪問)』を利用できるのが特徴です。

小規模多機能型居宅介護は、専用のケアマネージャーに変更しなくてはいけなかったり、定員数に限りがあったりするなどのデメリットがあります。しかし、月額料金が定額制で安心、24時間365日利用可能な点などのメリットもあります。

また、介護してくれる家族などが忙しい方や、費用面をできるだけ安く抑えたい方などにおすすめの事業所です。小規模多機能型居宅介護はデメリットがありますが、メリットも多い事業所です。

あなたやご家族が、住み慣れた地域での生活を続ける際の手助けになるかもしれません。

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