パタカラとは?どこに効果があるの?ポイントを知って誤嚥予防に!

2023.09.15

パタカラと聞くと、「パタカラ体操」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

パタカラ体操とは、口や舌の筋肉を鍛える体操。誤嚥予防に効果的です。また、「Patakara」という、口腔周囲の筋肉を鍛える器具も販売されています。

この記事では、パタカラについて詳しく紹介します。体操のやり方や器具の使用方法におけるポイントもまとめました。パタカラは、誤嚥予防以外にも嬉しい効果が多くあります。ぜひお読みください。

パタカラとは?

パタカラと言えば、「パタカラ体操」が代表的。口や舌の筋肉を鍛える体操です。また、「Patakara」という表情筋を鍛える器具もあります。

この章では、パタカラ体操とPatakaraについて、詳しくまとめました。どちらも誤嚥予防に効果がありますので、嚥下状態が気になる方におすすめです。

パタカラ体操

パタカラ体操は、口や舌の体操。「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音することで、口や舌の筋肉を鍛え、誤嚥を予防します。口や舌の筋肉は、食べ物を食べたり、飲み込んだりするのに必要。しかし、加齢と共に衰えていきます。

口や舌の筋肉が衰えると、嚥下機能(食べ物を飲み込む力)が低下し、誤嚥しやすくなります。誤嚥により食べ物が気管に入ると「誤嚥性肺炎」を引き起こす恐れがあるため、注意が必要です。

パタカラ体操のやり方は、以下の通り。

  1. 「パ・タ・カ・ラ」と一文字ずつハッキリ発音する。5~10回が目安。
  2. 「パパパパパ・タタタタタ・カカカカカ・ラララララ」と3回発声。
  3. 「パタカラ」を5回連続で発声。3セット行う。

他にも、「パンダのたからもの」などの文章で発声する、歌の歌詞を「パタカラ」に替えて歌うといった方法もあります。

パタカラ体操は、食事の前に行うと効果的です。唾液の分泌を促し、食べ物が飲み込みやすくなります。

Patakara(パタカラ)

Patakaraとは、医療器具から考えられた顔の表情筋を鍛えるマウスピースです。元々はリハビリを必要とする方向けに、歯科医院で開発されました。

現在は医療だけでなく、美容目的でも使用されています。ブログなどで、「顔のたるみやほうれい線に効く」と紹介しているのをご覧になった方もおられるでしょう。

Patakaraで表情筋を鍛えると、唾液が出やすくなり、食べ物を飲み込みやすくなります。また、口が開けやすくなり、咀嚼(そしゃく)もしやすくなります。しかし、正しく使用しないと効果はなし。使用方法は以下の通りです。

  1. 唇と歯の間に器具を装着。
  2. 歯茎にあたって痛みがある場合は、器具前方についているロープを引っ張りながら口を閉じます。
  3. 口を「うー」と突き出しながら、しっかりとくわえます。下あごに梅干しのようなしわができるまで、唇に力を入れるのがポイント。

1回3分、1日4回の使用が目安です。

パタカラの5つの効果

パタカラには、いびきや歯ぎしりの改善、小顔やほうれい線対策など様々な効果があります。パタカラ体操、Patakara器具の使用どちらでも効果が得られます。

この章では、パタカラの5つの効果を詳しく紹介。子供や若い方、高齢の方にまで役立つ内容となっています。あなたが得たい効果もあるかもしれません。ぜひ参考にしてください。

咀嚼、嚥下機能の向上

パタカラで得られる効果の一つが、咀嚼、嚥下機能の向上です。パタカラで口や舌の筋肉を鍛えると、口が大きく開くようになります。しっかりと口や舌を動かせると、咀嚼や嚥下がしやすくなります。
また、パタカラを行うと、唾液の分泌量が増加。唾液は、口腔内の乾燥を防ぐとともに、殺菌効果があります。

口腔内の乾燥は嚥下機能を低下させ、誤嚥を引き起こす恐れがあります。また、口腔内の細菌は誤嚥性肺炎の原因の一つです。

咀嚼や嚥下機能の向上は、誤嚥性肺炎の予防にも繋がるのです。

いびきや歯ぎしりの改善

パタカラは、いびきや歯ぎしりの改善にも効果があります。いびきや歯ぎしりは、高齢者だけでなく子供も悩む症状です。

いびきの原因の一つに、仰向けで寝ている時に舌が落ち込み、気道を狭めてしまう点があります。舌を支える筋肉が弱くなると、睡眠中に舌を支えきれずに落ち込んでしまうのです。

また、舌も鍛えなければ脂肪が付きます。肥大すると、ますます気道を狭め危険。ひどくなると、気道を完全に塞ぎ「睡眠時無呼吸症候群」となる恐れがあります。

睡眠時無呼吸症候群は、歯ぎしりの原因にもなります。就寝中に無呼吸になり、酸素を体内に取り込みにくくなるため、睡眠の質が低下します。体がストレスを感じ、歯ぎしりを引き起こすと考えられます。

パタカラで舌や喉の筋肉を鍛えれば、いびきや歯ぎしりの改善に繋がるでしょう。Patakara器具は、子供用のサイズも販売されています。

唾液の分泌促進

パタカラは、唾液の分泌促進に効果があります。パタカラで表情筋を刺激することで、唾液が出やすくなるためです。

唾液は食べ物の咀嚼、嚥下をスムーズにする働きがあります。多くの介護施設では、唾液の分泌促進の効果を得るため、食事前の口腔体操としてパタカラを取り入れています。唾液線である顎舌線(がっかせん)のマッサージを共に行うと、さらに効果的。下顎の骨の内側左右にあります。柔らかい部分を、親指で後ろから前に優しくマッサージしましょう。

また、唾液の分泌量が低下すると口腔内が乾燥し、細菌が繁殖。さらに、唾液に含まれる食べ物を分解する酵素も不足するため、食べカスが残り細菌の餌となります。

細菌は、口臭の主な原因の一つです。唾液の分泌促進は口臭の予防にも繋がります。

入れ歯の安定

パタカラの効果に、入れ歯の安定があります。高齢になると、筋肉が衰えハリが無くなります。口腔内も同じです。

パタカラで表情筋を鍛えると、痩せていた顔の筋肉がついていきます。筋肉がつくことで口腔内にハリが出て、入れ歯が装着しやすくなり安定するのです。また、入れ歯の装着には唾液も重要。唾液の分泌が低下すると、口腔内が乾燥します。口腔内粘膜の保湿度が低下すると入れ歯がつきにくくなり、脱落しやすくなります。

パタカラは唾液の分泌促進にも効果がありますので、入れ歯をされている方におすすめなのです。装着前に実施すると良いでしょう。

小顔やほうれい線対策

パタカラは、小顔やほうれい線対策にも効果があります。

パタカラで鍛えられる表情筋は、口元や目元、顎周りなど顔全体に広がっており、それぞれ繋がっています。口元を鍛えると、顔全体の表情筋に効果があるのです。パタカラで口元の筋肉を鍛えることで、顔全体にハリが出て引き締まり、リフトアップします。結果、小顔になったり、ほうれい線が改善したりします。

パタカラは、高齢の方だけでなく、美容に関心が高い若い女性にもおすすめと言えるでしょう。

パタカラ体操のやり方

パタカラ体操は、「パ」「タ」「カ」「ラ」を発音する際、それぞれ鍛える筋肉が違います。

この章では、パタカラ体操のやり方のポイントを、一文字ずつ詳しく紹介いたします。ポイントを意識して行えば、より効果を得られるでしょう。ぜひ参考にしてください。

「パ」のポイント

パタカラ体操の「パ」のポイントは、唇をしっかり閉じること。

食事の際、食べ物が口からこぼれないためには、唇を閉じなくてはいけません。唇には、食べ物を口の中に取り込み、こぼさないようにする働きがあるためです。

破裂音の「パ」は、口をあけたままではうまく発音できません。そのため、唇を閉じる筋肉を鍛える効果があります。「パ」の体操で唇をしっかりと閉じるよう意識して行えば、食べ物が口からこぼれにくくなるでしょう。

「タ」のポイント

パタカラ体操の「タ」は、舌を上あごにしっかりとつけるのがポイント。

食べ物を噛んだり飲み込んだりする時、舌は上あごにグッとついています。そうしないと、食べ物をおしつぶしたり、飲み込んだりできません。

「タ」の体操は、舌の筋力を鍛える効果があります。おおげさなくらい、舌や口を大きく動かしましょう。より効果を得られます。

「カ」のポイント

パタカラ体操の「カ」のポイントは、発音時に喉の奥をしめること。

食べ物を飲み込む時、人は一瞬呼吸を止めて喉の奥をしめます。食べ物が誤って気管に入るのを防ぐためです。喉の筋力が衰えてうまく閉じられなくなると、むせ込みや誤嚥を引き起こす恐れがあります。

「カ」の体操では、発音時に喉の奥にしっかりと力を入れるよう意識しましょう。喉の奥を閉じるための筋肉が鍛えられ、食べ物をスムーズに食道へ送るトレーニングとなります。

「ラ」のポイント

パタカラ体操の「ラ」は、舌を丸めるよう意識するのがポイント。

舌を丸める動きは、食べ物をまとめて、飲み込みやすいよう喉の奥まで運ぶ働きに繋がります。舌がよく動かないと、食べ物を上手に飲み込めません。

「ラ」の体操では、舌を丸め、舌の先を上あごの前歯の裏につけるよう意識しましょう。舌の筋肉が鍛えられ、食べ物を喉の奥まで運ぶ動きのトレーニングになります。

また、他の文字にも共通して言えますが、「大きな声でハッキリと、一文字一文字」発音しましょう。より効果を得やすくなります。

まとめ

パタカラとは、「パタカラ体操」や「Patakara器具」などのこと。口や舌の筋肉を鍛え、誤嚥予防になります。他にも、咀嚼・嚥下機能の向上や、唾液の分泌促進など、多数の効果があります。高齢の方だけでなく、子供や若い方にもおすすめです。

パタカラ体操は、「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音する際、それぞれ鍛える筋肉が違います。「パ」は唇を閉じる筋肉、「タ」は舌の筋肉など、違いを意識して行うのがポイント。より効果が得られます。
また、一文字一文字大きな声でハッキリと発音するようにしましょう。

パタカラは、子供から高齢の方まで様々な効果が得られます。まずは、気軽に始められる体操から取り入れてみてはいかがでしょうか。

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