嚥下食とは?ピラミッドでの分類方法と簡単レシピ掲載サイトを紹介!

2023.09.15

嚥下食(えんげしょく)とは、噛む力や飲み込む力が弱くなった人の嚥下機能に合わせた食事です。

この記事では、嚥下食とはどのような食事かを紹介。嚥下食ピラミッドでの分類方法や、簡単な嚥下食レシピの掲載サイトなどをまとめました。

自宅で介護される方は、本人に合う食事の用意をほぼ毎日しなくてはいけません。安全な食事を、より簡単に美味しく用意できる情報を紹介いたします。

嚥下食とは?

嚥下食(えんげしょく)とは、噛む力(咀嚼)や飲み込む力(嚥下)が弱くなった人が食べやすい食事のこと。精神的・身体的な障害や、老化などにより低下した嚥下機能に合わせて作ります。

高齢になると、歯が抜けたり筋肉が衰えたりして、嚥下や咀嚼の機能が低下します。今までと同じ食事が摂れなかったり、誤嚥し窒息や肺炎を引き起こす恐れがあります。安心して食事を摂るために、嚥下食が必要です。

また、口から食べることで食事に楽しみを持てます。生きることへの意欲にも繋がるのです。嚥下食は、噛みやすく飲み込みやすいよう以下のような工夫をしましょう。

  • 一口大など、食べやすい大きさに切る
  • とろみを付ける
  • ミキサーにかけたり、ムース状にする

嚥下食ピラミッドで分類を確認しよう

嚥下食ピラミッドとは、食事を普通食から嚥下食までの6段階に分類するもの。対象者の噛んだり飲み込んだりする能力に応じて、食事の形態を分かりやすく示します。

この章では、嚥下食ピラミッドのレベル0から4までを詳しく紹介いたします。(レベル5は普通食)
自宅で介護食を作る際、どのような形態にするべきかの目安になるので、知っておくと便利です。

「嚥下訓練食」レベル0

嚥下食ピラミッドのレベル0は、嚥下訓練の開始食に該当します。治療などが理由でしばらく口から食事を摂らなかった場合、症状が安定後レベル0の食事から摂取訓練を行います。

均質性(食品の固さや形状にムラが無い状態)を持ち、重力だけでスムーズに咽頭内を通る物性を有する食品です。具体的には、以下のような食品が該当します。

  • りんごゼリー
  • お茶ゼリー
  • グレープゼラチンゼリー

1食あたりの栄養量は、100ml、100キロカロリーが基準。タンパク質は2g以下です。15度ほどの温度で提供しましょう。

「嚥下調整食」レベル1

レベル0から嚥下食を開始した後は、レベル1、レベル2…と嚥下が難しい食事に移行していきます。レベル1の嚥下食は、均質性を持ち、べたつきやざらつきの少ないゼラチン寄せなどの食事です。具体的には、以下のような食事が該当します。

  • 絹ごし豆腐入りの味噌汁ゼリー
  • 具の入っていない茶わん蒸し
  • ねぎとろ
  • 重湯ゼリー

1食あたりの栄養量は、300ml、150キロカロリーが基準です。
レベル0~2はペースト状の食事なため、食品ごとの見た目があまり変わらず食欲がわきにくくなります。器の柄や色で変化をつけましょう。

「嚥下調整食」レベル2

レベル2は、レベル1よりさらに嚥下が難しくなります。訓練食としてはレベル0から1、2…と移行しますが、高齢者で嚥下や咀嚼の能力が低下した場合は逆です。レベル5から4、3…と移行していきます。
レベル2は、均質性をもつものの、レベル1に比べて付着性や粘性が高い、ゼラチン寄せなどの食品です。具体的には、以下のような食品が該当します。

  • 絹ごし豆腐
  • ヨーグルトにんじんゼリー

1食あたりの栄養量は、500ml、300キロカロリーが基準です。食事の見た目に華やかさを添えたい時は、型抜きがおすすめ。元の食事の見た目に近づけることができます。

「嚥下調整食」レベル3

レベル3は、レベル2より不均質性で、ピューレを中心とした食品になります。具体的には、以下のような食品が該当します。

  • スクランブルエッグ
  • 水ようかん
  • 嚥下寿司

レベル3からは、生クリームや油脂などを取り入れれば、肉や魚、食物繊維の多い野菜類なども調理可能です。レベル2に比べてメニューの幅が広がります。嚥下寿司のように、見た目も普通の食事に近くなります。

また、不均一な食感の場合は、ゲル化剤などでゼリー状に固めて提供しましょう。口の中でまとまりやすくなります。

「嚥下移行食」レベル4

レベル4は、咀嚼・嚥下の過程の「3.口腔期」に障がいのある方に対応して作る食事です。介護食(移行食)となります。パサつきが無く、むせこみにくいよう滑らかにします。食品の大きさは一口大が目安です。具体的には、以下のような食品が該当します。

  • かぼちゃの柔らか煮
  • こしあん
  • パサつきのない魚のほぐした身
  • 一口大にした魚の照り焼き

箸やスプーンで切れる柔らかさを目安に調理しましょう。嚥下よりも、咀嚼(噛む力)を重視した食事です。

分かりやすい!嚥下食レシピサイト3選

嚥下食の献立を考えるのに便利なのが、レシピサイトです。

この章では、嚥下食レシピのサイト3つを紹介します。普段の食事からお祝い用まで、幅広いレシピを見ることができます。どのサイトも、簡単で分かりやすい嚥下食レシピを取り揃えていておすすめです。

嚥下食ドットコム

「嚥下食ドットコム」とは、嚥下食に関する情報を紹介するサイト。嚥下食の基礎知識やコラムなどを閲覧できます。嚥下食のレシピも豊富で、嚥下食ピラミッドのレベルごとに探すこともでき、分かりやすくなっています。

また、和食や中華、洋食、デザートに行事食まで、幅広いレシピを紹介しています。料理人が考えたレシピもあり、見た目も華やかです。普段の食事だけでなく、お誕生日などお祝い事でも活躍するレシピサイトです。

無料会員登録をすれば、コラムやレシピの詳細ページまで見られます。

食べるを支える

「食べるを支える」は、嚥下障害を持った人が地域で安心して食事を楽しめるよう、支援するサイト。管理栄養士が監修した嚥下食レシピを紹介しています。

レシピは、嚥下調整食分類コードにを基準に作成。コード5は「容易にかめる」、4は「歯茎でつぶせる」など、写真つきで詳しく紹介されています。作りたいコードを選べば、適したレシピをみられるのが便利です。

嚥下食の作り方が分かりやすいのはもちろん、アレンジ方法などの「ワンポイント」もあります。また、焼き鳥の缶詰やインスタントのお吸い物など、市販品のアレンジレシピも紹介。手軽に作れるレシピは、忙しい介護者におすすめです。

味の素

「味の素」のサイトは、嚥下食レシピの検索が分かりやすく便利です。「素材」別や「味の素の製品を使用するレシピ」「調理時間」など、細かく目的が分類されていて探しやすいのが特徴です。

「焼き鳥串」や「肉まん」など、市販品をアレンジしたレシピも豊富です。噛む力ごとにレシピが分けられており、検索が分かりやすくなっています。

また、栄養管理の専門家である、管理栄養士が監修したレシピも紹介。自宅での嚥下食作りが続けられるよう、簡単で栄養がしっかりと取れるレシピが多数あります。調理時間が5分や10分、15分など、短時間で作れるレシピもあり便利です。限られた時間で嚥下食を作る在宅介護では、重宝するサイトです。

嚥下食が買える通販サイト3選

嚥下食を毎日手作りするのは、なかなか大変。時には市販の嚥下食を利用し、負担を軽減してはいかがでしょうか。

この章では、嚥下食が買える通販サイトを3つ紹介いたします。在宅介護は、食事作り以外にもすることが多くあります。介護者が疲弊しないためにも、市販品を上手に活用しましょう。

あいーと

あいーと」は、噛む力が弱くなった方向けの食事を販売している通販サイト。介護食としてはもちろん、胃や口腔内などの術後の食事としても活用されています。

あいーとが販売する食事の柔らかさは2種類。一つは、食材の形や彩など見た目はそのままで、とても柔らかい「かむ力が弱くなった方向けの食事あいーと」。もう一つは、食材の彩や味わいをそのままに、さらに柔らかく仕上げた「かまなくてもよい食事あいーと」。どちらも独自の技術で作られていて、食べやすく美味しい食事となっています。

冷凍食品のため長期保存が可能で、電子レンジなどで温めるだけで食べられ便利です。通販サイトでは、肉や魚・野菜ごとの単品メニューや、お弁当、うどんなどラインナップが豊富で、定期便購入やお得なセット商品もあります。

また、初めての方向けのセットもあり、お試しで購入される方におすすめです。

口福膳

口福膳」は、愛知県の日本料理レストラン「関西」の板前が作る嚥下食を販売する通販サイト。読み方は「こうふくぜん」です。

仕出し弁当を思わせる美しい見た目で、一見嚥下食とは思えません。お祝いの席にもぴったり。うな丼や、とろみの付いた出汁も販売されています。国産のうなぎや牛肉など、食材は通常の懐石料理と同じものを使用しています。味や風味も本格的です。

また、幅広い年齢層に対応しており、お子様専用の嚥下食「もぐもぐBOX」も販売。健常者の方も嚥下食が必要な方も、同じ食事で楽しくお祝いできます。冷凍で届きますので、好きな時に食べたい分だけ食べることも可能です。

ももとせ

ももとせ」は、介護用品と介護食品の通販サイト。取り扱う嚥下食が種類豊富なのが特徴です。「キユーピー」や「ハウス食品」など、多数のメーカー商品を取り揃えています。パウチや冷凍など、長期保存が可能な食品も多く販売されていて便利です。

また、「容易に噛める」「歯茎でつぶせる」「舌でつぶせる」「嚙まないで良い」という4つの区分の嚥下食を販売。サイトでは区分ごとに商品を探せます。デザートや飲料商品など、様々な食品がラインナップ。定期購入制度もあります。

そしてももとせは食品以外にも、衛生日用品や靴など、介護用品を多数扱っています。介護食以外にも必要なものをまとめて購入できますので、忙しい介護者の方におすすめです。

まとめ

嚥下食とは、噛む力や飲み込む力が弱くなった人が食べやすい食事のこと。安全に楽しく食事を続けられるよう、老化などにより低下した咀嚼・嚥下機能に合わせて作ります。

嚥下食ピラミッドは、食事の形態を6段階に分類し、分かりやすく示します。レベル5が普通食、レベル0がりんごゼリーやお茶ゼリーなどの嚥下訓練開始食です。

口から食事を摂ることは、生活への意欲にも繋がります。安心して美味しく食事を続けるために、嚥下食は欠かせません。嚥下食作りを無理なく続けるために、ぜひ記事を参考にしてください。

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