BA(バルーンカテーテル)とは? 必要なケースと起こりやすいトラブル

2023.09.20

BAカテーテルは、尿の排出を支援するための医療機器であり、特定の状況や病状に対処するために利用されます。

この記事では、BAカテーテルの基本的な仕組みや使用ケース、メリット・デメリット、さらには起こりやすいトラブルについても詳しく解説していきます。BAカテーテルの理解を深め、適切なケースでの使用とトラブルの予防につなげることを目指します。

BA(バルーンカテーテル)とは?

BA(バルーンカテーテル)は、尿の排出を支援するために使用される医療機器のひとつです。

尿路に問題を抱えた患者や排尿に困難を抱える患者に対して、尿の管理や体外への排出を可能にするために利用されます。

このカテーテルは、細いチューブのような形状をしており、尿道を通って膀胱に挿入されます。膀胱内に挿入された後、カテーテルの先端にあるバルーンを膨らませて膀胱内に固定します。バルーンが膀胱内で膨らんだ状態でカテーテルが留置されることで尿の漏れを防止し、安定した尿の排出を実現します。

BA(バルーンカテーテル)が必要なケース

特定の状況や病状によって、尿の管理や排尿のサポートが必要とされる場合があります。

  • 寝たきりの患者
  • 自力での排尿が困難な患者
  • 神経障害による排尿障害のある患者
  • 尿量を管理する必要がある患者

など、様々なケースでBAカテーテルの使用が考慮されます。患者の尿路の問題を解決し、快適な排尿をサポートするために欠かせないBAカテーテル。

以下で、寝たきりの場合にBAカテーテルが必要とされる理由を見ていきましょう。

寝たきりの場合

寝たきりの状態では、患者が長時間同じ体勢で過ごすことが多く、排尿に困難を抱えることがあります。このような場合、BA(バルーンカテーテル)が必要とされることがあります。以下は、寝たきりの患者にBAカテーテルが必要とされる理由です

  •  尿道が閉塞しないようにするため:寝たきりの患者は、体の位置変化や運動不足により尿道が閉塞する可能性が高まります。
  • 残尿がある場合:寝たきりの患者は、自力で十分な尿を排出することが難しい場合があります。
  • 尿路感染症の予防:寝たきりの患者は、体位の変化や適切な排尿が難しいため、尿路感染症のリスクが高まります。

寝たきりの患者においては、尿路感染症の症状が現れにくいため、定期的なチェックと適切なケアが重要です。また、BAカテーテルの挿入や管理は医療従事者によって行われるべきであり、専門的な知識と技術が必要です。

適切なケースでBAカテーテルが使用されることで、患者の尿路の管理と快適な排尿がサポートされます。

自力での排尿が困難な場合

自力での排尿が困難な状況では、尿路の閉塞や神経因性の尿閉が原因となっている可能性があります。これにより、尿の排出が困難となり、膀胱に尿が滞留してしまうことがあります。

以下は、自力での排尿が困難な場合にBAカテーテルが必要とされる理由です。

  1. 尿路の閉塞や神経因性の尿閉がある場合
    自力での排尿が困難な場合、尿路の閉塞や神経因性の尿閉が原因となっている可能性があります。これらの状態では、カテーテルを膀胱内に挿入し、持続的に尿を排出させるための方法としてBAカテーテルが使用されます。
  2. 全身状態が悪く排尿が困難な場合
    全身状態が悪化し、体力や筋力が低下している場合、自力での排尿が困難になることがあります。このような状況でもBAカテーテルは、尿の排出をサポートするために使用されます。

神経障害による排尿障害の場合

神経因性膀胱と呼ばれる状態は、脳や脊髄、末梢神経などの障害によって引き起こされる排尿障害の一種です。この状態では、膀胱の制御や拡張を調節する神経系の働きがうまく機能しなくなり、尿の貯留や尿失禁などの症状が現れます。

以下は、神経障害による排尿障害の場合にBAカテーテルが使用される場合と治療方法の一例です。

  1. 薬物療法:膀胱排尿筋の働きを強化する目的で副交感刺劇薬を使用したり、尿の出口の尿道括約筋を拡張するためにα遮断薬と呼ばれる薬を使用することがあります。
  2. 間欠自己導尿:患者自身が尿道に細い管を挿入し、定期的に尿を排出する方法です。BAカテーテルの使用とは異なり、患者が自ら導尿することで膀胱の健康を維持します。
  3. 尿道留置カテーテル留置:カテーテルを尿道から膀胱に挿入し、尿を排出する方法です。BAカテーテルの使用と同様に、膀胱内に留置されるカテーテルが尿の流れを確保します。
  4. 手術:神経ブロックや手術などの方法があります。神経障害の程度によっては、手術によって膀胱の制御を改善することが考えられる場合があります。

尿量を管理する場合

尿量を管理する場合、患者の状態やニーズに応じていくつかの方法があります。BA(バルーンカテーテル)は、尿量を管理するための方法の一つとして使用されることがあります。

以下は、尿量を管理するための一般的な方法とBAカテーテルの役割について説明します。

  1. 尿道留置カテーテル留置:尿道から膀胱にカテーテルを挿入し、尿を排出する方法です。カテーテルは膀胱内でバルーンを膨張させて留置され、持続的に尿を排出できます。尿量を管理する際には、定期的なカテーテルの交換やケアが必要です。
  2. 間欠自己導尿:患者自身が尿道に細い管を挿入し、定期的に尿を排出する方法です。この方法は、カテーテル留置に比べて尿路感染症のリスクが低いとされています。患者の状態や能力に応じて、医師が適切な導尿方法を指示します。
  3. 薬物療法:薬物によって膀胱の排尿筋の働きを調整し、尿量を管理することがあります。薬物療法は神経因性膀胱や尿失禁の治療にも使用されることがあります。

BA(バルーンカテーテル)のメリット・デメリット

バルーンカテーテルは、尿量を管理するための方法の一つとして広く使用されています。尿道から膀胱内に挿入され、膀胱内でバルーンを膨張させて留置されることで、尿を体外に確実に排出できます。

尿量を正確に管理し、失禁や尿の貯留を解消する上で有用な手段となりますが、BAカテーテルの使用にはメリットだけでなくデメリットも存在します。以下では、BAカテーテルのメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

BA(バルーンカテーテル)のメリット

以下は、BAカテーテルの主なメリットです。

  • 体内に尿を確実に排出できる:BAカテーテルは、膀胱内でバルーンを膨張させて留置されることで、尿を体外に確実に排出することができます。これにより、尿の貯留や尿失禁を解消することができます。
  • 失禁がなくなる:カテーテルを膀胱内に留置することで、失禁や尿漏れがなくなります。
    これにより、患者は快適な排尿を維持することができます。
  • 介護者の負担が軽減される:BAカテーテルの使用により、排尿の管理やカテーテルの交換などの介護の負担が軽減されます。患者が自力で排尿することが難しい場合でも、介護者が専門的なケアを提供できるようになります。
  • 尿量を正確に管理できる:BAカテーテルは、尿量を正確に管理することができます。尿の排出量を計測し、必要に応じて医療スタッフが適切な対応を取ることができます。

BA(バルーンカテーテル)のデメリット

BA(バルーンカテーテル)は、尿量の管理や失禁の解消に役立つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。患者や介護者がBAカテーテルの使用を検討する際には、以下のデメリットに留意する必要があります。

  • 感染や皮膚トラブルのリスク:カテーテルが膀胱内に留置されるため、感染や皮膚トラブルのリスクが増加します。尿道や膀胱への細菌感染が起こる可能性があるため、適切なケアと衛生管理が重要です。
  • 膀胱の硬化:BAカテーテルが長期間留置されると、膀胱が硬くなる可能性があります。これは膀胱の健康に悪影響を及ぼすことがあります。
  • 尿の感覚が鈍くなる:カテーテルが膀胱内に留置されると、膀胱の感覚が鈍くなることがあります。このため、正確な排尿のタイミングを把握することが難しくなる場合があります。
  • 尿路結石のリスク:BAカテーテルの使用により、尿路結石が形成されるリスクが増加することがあります。

定期的なチェックと適切なケアが必要です。

起こりやすいトラブル

BA(バルーンカテーテル)の使用には、いくつかのトラブルが起こりやすい可能性があります。患者や介護者がBAカテーテルを使用する際には、以下のトラブルに留意する必要があります。

  • 感染や皮膚トラブル:カテーテルが膀胱内に留置されることで、尿路感染症や皮膚トラブルが起こるリスクがあります。尿路や膀胱への細菌の侵入が原因で感染が発生することがあります。定期的なカテーテルの清掃や適切な衛生管理が重要です。
  • 膀胱の硬化:BAカテーテルが長期間留置されると、膀胱が硬くなる可能性があります。硬化した膀胱は正常な膀胱の機能を妨げる場合があります。
  • 尿の感覚が鈍くなる:カテーテルが膀胱内に留置されると、膀胱の感覚が鈍くなることがあります。このため、正確な排尿のタイミングを把握することが難しくなる場合があります。
  • 尿路結石のリスク:BAカテーテルの使用により、尿路結石が形成されるリスクが増加することがあります。

定期的な検査や適切なケアが必要です。

BAバルーンカテーテル)を使用できるのは?

BA(バルーンカテーテル)は、特定のケースで使用される医療機器です。以下のような状況や疾患のある患者に対して、BAカテーテルの使用が検討される場合があります。

  • 尿道が閉塞していない場合: BAカテーテルは、尿道から膀胱内に挿入されるため、尿道が閉塞していない患者に対して使用されます。
    尿路の通路が確保されていることが前提となります。
  •  自力での排尿が困難な場合:自力で十分な尿を排出することが難しい場合に、BAカテーテルの使用が検討されます。
    排尿が困難な状態による尿滞留を解消するために活用されます。
  • 神経障害による排尿障害の場合:神経因性膀胱と呼ばれる状態が起こることがあります。
    脳や脊髄、末梢神経などの障害により、膀胱の制御機能が正常に機能せず、尿の貯留や尿失禁などの症状が現れます。神経因性膀胱の治療において、BAカテーテルが一時的な対処法として使用されることがあります。
  • 尿量を管理する場合:尿量を正確に管理する必要がある場合に、BAカテーテルが使用されることがあります。

尿量の管理は、特定の疾患や治療法による医療上の必要性がある場合に行われます。

まとめ

BA(バルーンカテーテル)は、尿路の管理や排尿に困難がある患者に使用される医療機器です。寝たきり、自力での排尿困難、神経障害、尿量管理のケースで必要とされます。

メリットは、尿の確実な排出、失禁解消、介護負担軽減ですが、感染や皮膚トラブルが起こりやすく、膀胱の感覚が鈍くなる可能性もあります。適切な判断とケアが必要で、医師と相談し患者に合った治療法を選択しましょう。

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