60代の平均心拍数はどのくらい?原因や代表的な疾患についても解説

2023.10.02

平均心拍数は、私たちの体の状態を把握する重要な健康指標の一つです。加齢とともに変動する心拍数は、様々な問題によって影響を受けることが知られています。

この記事では、60代の平均心拍数に関する基本や心拍数と年齢との関係、そして高齢者の心拍数が変動する原因について解説します。

この記事を読んで健康管理についての知識として役立てて下さい。

60代の平均心拍数

60代の平均心拍数は、男性で1分間に71回、女性で72回とされています。年齢とともに心拍数は低下する傾向があり、70代の平均心拍数は男性で72回、女性で77回となっています。

人の心拍数が変動する原因は、運動などによる体温の上昇、大量の出血、心臓機能の低下、心臓の電気信号の低下などがあります。また、糖尿病、高血圧、心疾患などの高齢者疾患が心拍数に影響を与える可能性があります。

定期的な健康診断や医師の観察を受けることで、健康状態や脈拍数の変化に気づくことが重要です。

心拍数は年齢とともに低下する

年齢とともに心拍数は低下する傾向があります。理由は以下の通りです。

  • 年齢が上がると共に身体の代謝や筋肉量が減少し、身体活動量も低下するため、心拍数はやや下がる傾向にあります。
  • 年齢によって心臓の機能が低下するため、心臓が同じ労働量で血液を送り出すために必要な心拍数が低下します。
  • 年齢によって自律神経のバランスが変化するため、心拍数が低下することがあります。

子供は基礎代謝が高く酸素消費量が多いため、心臓が活発に動きますが、高齢者は普段の活動量も酸素消費量も少なく、心臓が頑張って動く必要がないため、脈拍数も少なくなります。

高齢者の心拍数が変動する原因は?

高齢者の心拍数が変動する原因は以下のようなものがあります。

  • 運動などによる体温の上昇
  • 大量出血
  • 心臓機能の低下
  • 心臓の電気信号の低下
  • 代表的な高齢者疾患と心拍数への影響
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 心疾患

以下で詳しく解説します。

運動などによる体温の上昇

運動などによる体温の上昇が高齢者の心拍数変動の原因の一つです。運動によって体温が上昇すると、心拍数も一時的に上昇します。

また、高齢者は体温調節機能が低下しているため、暑い環境下での運動などによって体温が上昇しやすく、心拍数の変動が起こりやすくなることがあります。

運動による心拍数の変動には個人差があり、健康状態や持病の有無なども影響します。運動前には適切なウォーミングアップを行い、運動後にはクールダウンを行うことで、心拍数の変動を抑えられます。

大量出血

大量の出血がある場合、血液量が減少し心臓が同じ労働量を達成するために、より多くの血液を送り出す必要があります。それにより心拍数が上昇します。

大量の出血は、産科分野の危機的な出血や外傷による出血などが原因となることがあります。大量の出血によって血液量が減少すると、循環量を維持するために心臓が頑張って動く必要があるため、血液数値の変動がすぐに起こるのです。

大量出血による心拍数の変動には個人差があり、健康状態や持病の有無などにも影響します。大量出血が疑われる場合は、早期の医療機関が必要です。

心臓機能の低下

高齢者の心拍数変動の原因の一つに、心臓機能の低下があります。加齢によって心臓の機能が低下するため、同じ労働量をこなすために必要な心拍数が低下します。

また、高齢者の心臓は心臓筋細胞の減少や線維化などの変化が生じるため、心臓の収縮力が低下することがあります。これらの変化によって、心臓が同じ労働量をこなすためにより多くの血液を送り出す必要があり、心拍数が上昇します。

心臓機能の低下には、高血圧、動脈硬化、糖尿病、心臓病なども関連していることがあります。高齢者の心臓機能の低下による心拍数の変動には個人差があり、健康状態や持病の有無なども影響します。したがって、定期的な健康診断や医師の診察を受けることで、心臓機能の変化や異常を早期に察知することが重要です。

心臓の電気信号の低下

高齢になると、心臓の電気信号を伝える組織が衰え変質し、断線したりショートすることで心拍数が低下することがあります。心臓の電気信号の低下は、心臓の機能低下や心房細動などの病気と関連していることがあります。

心拍数の変動には個人差があり、健康状態や持病の有無なども影響します。したがって、定期的な健康診断や医師の診察を受けることで、心臓機能の変化や異常を早期に察知することが重要です。

代表的な高齢者疾患と心拍数への影響

代表的な高齢者疾患と心拍数への影響について、以下の疾患が挙げられます。

  • 糖尿病:糖尿病は高血糖状態を考慮する疾患であり、心拍数に影響を与える可能性があります。
  • 高血圧:高血圧は血圧が通常よりも高い状態を指し、心臓に負担がかかります。高血圧は血圧数値を上昇させる可能性があります。
  • 心疾患:心疾患は心臓の異常や病気を防ぎ、心拍数に影響を与える可能性があります。心臓の機能が低下すると、心拍数が低下する場合もあります。

これらの疾患は高齢者に特によく見られるものであり、心拍数に影響を与える可能性があります。
以下で詳しく解説します。

糖尿病

糖尿病の患者さんは、自律神経障害により安静時の心拍数の調節が障害されることがあります。そのため、心拍数が高めになることがあります。糖尿病患者の深呼吸時の心拍数の変動が調べられ、自律神経障害の指標として利用されることがあります。

運動量の目安として、最大心拍数の50〜60%が中等度の運動とされています。最大心拍数は簡易的に「220-年齢」で推定できます。

糖尿病患者も運動を行うことが推奨されていますが、運動強度によっては心拍数が上昇するため、注意が必要です。また、糖尿病において、血糖値の急上昇を防ぐことが重要です。血糖値が急上昇すると、コルチコイドが分泌され、心拍数が上昇することがあります。

高血圧

血圧と心拍数は別々のものであり、それぞれ異なる意味を持ちます。

心拍数が多くなると、心臓から流れ出る血液量が多くなり収縮期血圧(最大血圧)が上がることがあります。高血圧の患者さんを対象とした大規模な調査で、心拍数が多いほど死亡率が増加することが明らかになりました。心拍数は70拍/分前後に保つのが望ましいようです。

以上の情報から、高血圧と心拍数には関連があることがわかりました。心臓の心拍数が多くなると、収縮期血圧が上がることがあります。また、心拍数が多いほど死亡率が増加することが報告されています。

高血圧の患者さんは、適切な治療や生活習慣の改善によって、心拍数を70拍/分前後に保つように注意することが必要です。

心疾患

心疾患によって心拍数が影響を受けることがあります。

特定的な心疾患による影響は状態や病因によって異なりますが、心疾患によって心拍数が低下する場合もあります。例えば、心動過緩(徐脈)と呼ばれる状態では、心臓の電気信号が正しく伝わらず、心拍数が遅くなることがあります。

心疾患によって心拍数が増加する場合もあります。例えば、心房細動と呼ばれる状態では、心臓のリズムが乱れ、心拍数が高くなることがあります。

心疾患による心拍数の影響は病因や病状によって異なるため、具体的な心疾患については医師の指導のもとで適切な情報を得る必要があります。変動に注意を払いながら、正しい治療法や生活習慣の改善を行うことが重要です。

まとめ

60代の平均心拍数は、健康状態を理解する上で重要な情報です。年齢やさまざまな健康状態によって変動する心拍数の知識は、より健康的な生活のための一歩になります。

心拍数の数値の背後には、年齢や健康状態、心臓の働きといった複雑な要素が絡み合っています。その複雑さを理解し、自分の体と向き合いながら、医療の専門家と連携を図ることが、健康寿命を伸ばす一つの方法となるでしょう。

お役立ちコラム一覧へ戻る