このような悩みをお持ちなら、「世帯分離」を知っておくと便利です。世帯分離とは、同じ家に住みながら住民上別世帯にすること。世帯分離をすることで、あなたの悩みを解決できるかもしれません。
そこで本記事では、世帯分離と生活保護の関係について分かりやすく解説していきます。
目次
生活保護は申請をした個人ではなく、世帯単位で認定されます。世帯とは「同じ家に住み、生計を共にしている人たち」のことです。
たとえばあなたが両親、あなたの子供と住んでいたとしましょう。もし両親が生活保護の申請をした場合、あなたと子供も保護の対象となります。
厳密には一緒に暮らしていなくても同一世帯として認定される場合もありますが、原則として生活保護は生計を共にする人たちをまとめて認定する制度です。
では、一緒に生活する両親が生活保護を必要としても、あなたと子供が必要としない場合はどうでしょうか?そもそも生活保護は生活に苦しむ人たちを救済する制度なので、不要な人が受給するのは望ましくありません。そのようなときに活用されるのが「世帯分離」です。
世帯分離とは、同じ家に住む同居者を住民票上2つの世帯に分けること。世帯分離をすることで、同じ家に住みながら「両親」と「あなたと子供」を別々の世帯にでき、両親だけが生活保護を受給できるのです。
世帯分離は便利な制度ですが、どのようなときに世帯分離が認められるのでしょうか?その具体例は下記のとおりです。
もしあなたが同じような状況にいるなら、役所に相談してみてくださいね。
大学に進学するとなると、高額なお金が必要になります。子供も18歳になっているのでアルバイトをしながら勉学に励もうと思うことでしょう。しかしながら、それでは世帯収入が上がり生活保護が打ち切られることになります。
そこで、子供が大学を卒業するまでの間、世帯分離の認定を受けられるのが一般的です。国民健康保険料を子供が支払わなければならないデメリットが生じますが、勉学に励みたい学生には心強い制度と言えるでしょう。
もし、親の介護費で家計が圧迫されるときには、親とあなたを別世帯にし親だけが生活保護を受給することも可能です。申請が通れば生活保護費を介護費にあてられ、家計の負担を軽減できるでしょう。
このように、介護負担や入院費用により生活が厳しくなった場合、世帯分離を通じて支援を受ける選択肢もあります。
本記事では、これまで世帯分離の概要について解説してきました。「役立ちそうな制度だな」と前向きに検討してみたくなった人もきっと多いことでしょう。
しかしながら世帯分離を検討する前にデメリットを理解し、本当にあなたの生活に必要なのかを判断することが大切です。
それぞれ解説します。
世帯分離の手続きは、お住まいの役所で行います。必要なものには下記があります。
あとは必要事項を記入、捺印して提出すれば審査結果を待つのみ。ちなみに申請できる人は本人あるいは世帯主が原則。もし本人あるいは世帯主が手続きできないときは、親族であっても委任状が必要になります。
自治体ごとに手続き内容が異なることがあるため、事前に問い合わせをしてみましょう。
2つ目のデメリットは、「納付する国民健康保険料が増える可能性がある」です。
なぜなら、世帯を分けることで2世帯それぞれ支払わなければならず、合算すると負担割合が増えることがあるからです。
たとえば、子供の健康保険の扶養から世帯分離によって親が外れたとしましょう。この場合、親は新たに国民健康保険に加入しなければなりません。
このように世帯分離によって生活保護を受けられる一方で、負担額が増えるデメリットもあります。
親を世帯分離する場合、健康保険の扶養から外れる点に注意が必要です。
というのも、健康保険で親が扶養に入るには「被保険者に生計を維持されていること」という条件があるからです。そのため、親を世帯分離した場合この条件に当てはまらなくなります。
世帯分離を検討する際には、健康保険の影響もよく理解し適切な選択をすることが大切です。
世帯分離をすると、扶養手当が支給されなくなる可能性があるので注意してください。たとえば、よくある事例に下記のものがあります。
もし、会社の規定で手当対象が「同居者人」となっていたら、一度担当部署に確認してみましょう。たとえ同居していても、世帯分離をすると同居人として認められないことがあります。また児童扶養に関しては受給判断が自治体によって分かれているのが実情です。
本記事では生活保護と世帯分離について詳しく解説してきました。
とはいえ、世帯分離をした場合健康保険料の増額や扶養手当が受けられなくデメリットも考えられます。
ぜひ本記事を参考にしながら、世帯分離すべきかどうかを考えてみてくださいね。