ショートステイの費用はいくら?基本料金や減免制度について解説

2023.10.09

介護保険サービスの一つとして、短期入所サービスがあります。自宅で過ごしている高齢者が、家族の外出や介護の休暇のために利用する方が多く、24時間介護サービスを受けられ急変時の対応もしてくれます。

この記事では、ショートステイを利用するときに「基本料金はいくら掛かるの?」「療養介護と生活介護で違いは?」などの疑問に答えます。

ショートステイとは?

在宅介護を受けている方で、家族の予定などで自宅で介護が受けられないときに利用できる入所サービスです。食事・排泄入浴の介助や機能訓練サービスを受けられます。

短期入所には【短期入所生活介護】と【短期入所療養介護】があります。この記事では、この2つの施設形態の違いについて解説します。

短期入所生活介護

一般的な食事・排泄入浴の介助を受けられます。特別養護老人ホームや老人保健施設に併設されていることも多いですが、ショートステイのみの事業所もあります。

ショートステイのフロアの場合、入所する方は1週間程度の方が多く、毎週利用の方などもいます。自宅で生活している利用者様なので「できるところは自分でやってもらう」ことや、機能訓練などで筋力の向上を目的としています。

短期入所療養介護

食事・排泄入浴の介助だけでなく、医療的ケアも受けられます。

短期入所生活介護の場合、要支援でも利用できますが、短期入所療養介護の場合は要介護1~5認定の方が入所の対象者となります。

要介護が高く、医療的ケアを必要としている方が入所していることが多く、経管栄養やたん吸引・胃ろうといった医療的ケアを受けられます。

また、【短期入所療養介護】は医師が常駐していて、看護師の配置が多くなります。ターミナルケアも実施しているので、家族の「介護の休息」を取るために大きな役割を果たしています。

ショートステイの部屋の種類

ショートステイは居室によって料金が異なります。連続して宿泊する日数は少ないのですが、プライバシーを守り、居室でゆっくりできる個室や4人で一つの部屋で過ごし、パーテーションで仕切りをつけられる多床室があります。

多床室

大部屋で2~6人の利用者が一つの部屋を一緒に利用するため、プライバシーの確保が難しいのが現状です。しかし、同部屋の入居者様同士で仲良くできたり、人間関係を築くことができます。

また、個室やユニット型と比較して居室の利用料金が安いので、月々の料金を抑えられるのが特徴です。

従来型個室

一部屋にベットが一つあり、一人で利用できる居室です。洗面台やトイレが設置されている部屋もあり、プライバシーが守られる空間になります。個室の場合、居室の料金は多床室より高くなります。

テレビなどの家具も設置できて、車椅子で移動ができる広さです。電気代などもかかりますので、個室を利用するときには料金も考えて検討しましょう。

ユニット型個室

ユニットケアを実施している施設です。少人数で食事やレクリエーションなどをするときにはホールにて行います。キッチンや食堂は利用者全員で共有スペースとなります。

個室なのでプライバシーが守られ、少人数で手厚いケアを受けられることが特徴です。

ユニットケアは、介護老人福祉施設や介護老人保健施設で行われています。

ユニット型個室的多床室

ユニット型個室的多床室は、2~4人で部屋を共有します。ベッドが4台あり。パーテーションやカーテンでスペースが仕切られています。

部屋以外にも食堂やお風呂、トイレも共有します。施設での生活で集団生活に慣れることができて、同じ部屋の利用者同士で仲良くなれるでしょう。

多床室ですがユニットケアなので、一人一人に合ったケアを提供できる体制が整っています。24時間ケアを受けられるので安心して利用できます。

介護度・部屋別基本料金

介護施設では、介護度や利用する部屋の種類によって料金が異なります。また、施設によっても料金は異なるので、事前に調べてから利用しましょう。

この章では、ショートステイを利用する介護度や居室によって異なる料金について解説します。

短期入所生活介護

要支援1~2、要介護1~5の方が利用できます。基本は65歳以上の方ですが、特定疾患を持った40~64歳の方も利用できます。

特別養護老人ホーム・一部の有料老人ホーム・ショートステイ専門施設にて短期入所生活介護を利用できますが、施設によって料金は異なります。介護加算以外に、食費・居住費がかかります。詳しい金額は施設にお問い合わせください。

短期入所療養介護

医療的ケアを受けられるので料金は高くなります。たん吸引や胃ろうの場合専門知識が必要で、インスリンや在宅酸素が必要な方でも利用ができるよう、看護師や医師を常駐させているからです。

療養型ショートステイを利用できるのは、介護療養型医療施設・診療所や療養病棟を持つ病院がありますが、多くは介護老人保健施設です。

料金は、連続30日まで介護保険適用になります。1割負担でサービスを受けられますが、利用者の所得によって料金負担は変動します。個室・多床室によっても料金が異なり、1日あたり700円~1,200円になります。
施設や要介護度によって料金設定が異なるので、詳しくは施設に問い合わせてください。

ショートステイで利用できる減免制度は?

ショートステイでは、食事・排泄入浴の介護サービスを受ける時に介護保険が適用され、費用負担を軽減すできます。

食費や居室の利用料金は、一日あたりの料金で請求されます。利用料金が高額になってしまったときに利用できる制度について解説します。

高額介護サービス費

1年間で、自己負担金額を超えて払いすぎてしまった金額を払い戻しすることができる制度です。超過分は申請することで払い戻しができます。

  • 課税所得690万円以上:14万100円
  • 課税所得380万円以上690万円以下:9万3,000円
  • 住民課税~課税所得380万円以下:4万4,400円
  • 世帯全体が住民税非課税の方:2万4600円
  • 上記のうち前年の課税年金収入額+そのほかの合計所得金額が80万円以下である:1万5000円
  • 生活保護受給者:1万5,000円

特定入所者介護サービス費

食費や居室の費用が所得に応じて軽減される制度です。預貯金や住民税非課税世帯であるかなどの項目によって制度を受けられるか可否が決定します。

所得によって区分が分かれていて、1日あたり1,000~2,500円の食費・居住費の負担を軽減できます。

低所得者に対する利用者負担軽減制度

低取得者の中でも、生活することが困難であると判断された方が受けられる軽減制度です。介護サービスを受けるときに適用される制度で、利用者の自己負担額が4分の1軽減され、1割負担で介護サービスを受けられます。軽減制度の対象者は以下の方です。

  • 年間収入が単身で150万円未満世帯員が一人加算することに50万円を加算した額以下であること
  • 年間収入が単身で350万円、世帯員が一人加算されることに100万円を加算した額以下であること
  • 日常生活をすること以外に資産がないこと
  • 負担能力がある親族がいない
  • 介護保険料を滞納していない
  • 市町村民税世帯非課税であって、以上の要件を全て満たす方のうち、その方の収入や世帯状況、利用者負担等を総合的に考えて、生計が困難なものとして市町村が認めた者。

まとめ

この記事の内容をまとめます。

短期入所生活介護では、食事・排泄入浴の生活介護を24時間受けられます。短期入所療養介護では、医療的ケア・ターミナルケアも対応しています。

ショートステイでは居室の種類や介護度によって料金が違います。介護度が高いと利用料金が高くなり、多床室のほうが個室よりも安い料金設定です。施設によって料金は異なりますので利用する施設に問い合わせてください。

また、高額介護サービス費や特定入所者介護サービス費といった減免制度もありますので、役所に問い合わせてみましょう。

お役立ちコラム一覧へ戻る