親の介護をしたくない!放棄できない理由と対処法を紹介

2023.10.17

親の介護は誰にとっても大変なことです。特に、親との関係が良くなかったり、自分の生活に支障が出たりする場合は、親の介護をしたくないという気持ちが強くなるでしょう。

しかし、親の介護をしたくないからといって、放棄することはできないのです。なぜなら、親の介護には法的な義務があるからです。

親の介護を放棄するとどんなリスクがあるのか?また、親の介護をしたくないときには、どう対処すればいいのか?この記事では、親の介護に関する悩みに答えます。

親の介護をしたくないけど放棄できない!その理由は?

親の介護をしたくないと思う人は少なくありません。しかし、親の介護を放棄することは法律上も道徳上も許されません。

親の介護には、子供に対して義務が課せられているからです。では、具体的にどんな義務があるのでしょうか?

子供は民法で介護義務の対象となっている

日本では、民法第877条により、「直系尊属(親や祖父母)」と「直系卑属(子や孫)」は、「扶養義務」を負っています。つまり、子供は親や祖父母が生活困窮や病気に陥った場合は、経済的に援助する義務があるということです。

また、民法第877条第2項では、「扶養義務者(子供)」は、「扶養される者(親や祖父母)」が「老衰その他これに類する事由」で「身体上又は精神上自立困難」に陥った場合は、「その者(親や祖父母)」を「自己又は配偶者その他同居する者(妻や夫)」と「同居させて扶養しなければならない」と定めています。

つまり、子供は親や祖父母が高齢や病気で自立できなくなった場合は、自分や配偶者と一緒に住まわせて世話する義務があるということです。

介護義務の内容

子供が親や祖父母に対して負う介護義務は、大きく分けて以下の3つです。

  • 経済的援助:生活費や医療費などを支払うこと
  • 生活援助:食事や入浴、排泄などの日常生活を支えること
  • 精神的援助:会話や相談、レクリエーションなどで心理的な安定を図ること

これらの介護義務は、子供が親や祖父母と同居している場合はもちろん、別居している場合でも発生します。また、子供が親や祖父母に対して負う介護義務は、親や祖父母の財産や収入に関係なく発生します。つまり、親や祖父母が裕福であっても、子供は介護義務を果たさなければなりません。

親の介護を放棄するとどうなる?

親の介護をしたくないと思う気持ちはわかりますが、親の介護を放棄することはできません。親の介護を放棄すると、以下のようなリスクがあります。

  • 法的なリスク:親や祖父母が生活困窮や自立困難に陥った場合、行政機関が子供に対して扶養費の支払いを求めることがあります。また、親や祖父母が虐待や遺棄などの被害に遭った場合、子供は刑事責任を問われることがあります。
  • 道徳的なリスク:親の介護を放棄することは、社会的にも倫理的にも非難される行為です。
    親の介護を放棄すると、周囲からの信頼や評価を失うことがあります。また、自分自身の良心や罪悪感に苦しむことがあります。
  • 精神的なリスク:親の介護を放棄することは、自分の人生にも影響を与えることがあります。
    親の介護を放棄すると、自分の将来に不安や恐怖を感じることがあります。また、自分の子供や孫に対しても同じように放棄されるかもしれないという不信感や孤独感を抱くことがあります。

親の介護をしたくないときの対処法

親の介護をしたくないけど、放棄できないというジレンマに陥っている人は多いでしょう。しかし、親の介護をしたくないからといって諦めてしまうことはありません。

親の介護をしたくないときには、以下のような対処法があります。

兄弟で分担できるか話し合う

親の介護は一人で背負う必要はありません。兄弟がいる場合は、兄弟で話し合って親の介護を分担できます。

例えば、経済的援助は長男が担当し、生活援助は次男が担当し、精神的援助は三男が担当するというように役割分担できます。また、兄弟で交代しながら親の家に泊まったり、週末に集まって一緒に過ごしたりもできます。

兄弟で協力して親の介護をすることで、負担を軽減できるのです。兄弟で話し合うときには、親の状態や希望、兄弟の事情や意見などを尊重しながら、平等で公平な方法を探すことが大切です。

一人っ子の場合は親戚に相談

親の介護は一人っ子でも無理をしないでください。親戚がいる場合は、親戚に相談して親の介護に協力してもらいましょう。例えば、親戚が近くに住んでいる場合は、定期的に親の様子を見に行ってもらったり、買い物や病院に連れて行ってもらったりできます。

また、親戚が遠くに住んでいる場合は、電話やメールで親の状況を伝えたり、気持ちを聞いてもらったりできます。親戚に相談するときには、親の状態や希望、自分の事情や感情などを正直に伝えることが大切です。

行政機関に相談する

親の介護は自分や家族だけで抱え込まないでください。行政機関に相談することで、親の介護に関するさまざまな支援を受けられます。例えば、以下のような支援があります。

  • 介護保険制度:介護が必要な人に対して、自宅や施設での介護サービスや福祉用具の貸与などを提供する制度です。介護保険料は全国一律で、40歳以上の人が支払います。
  • 介護休業制度:介護が必要な家族を介護するために、一定期間休業できる制度です。休業中は給与の一部が支給されます。
  • 介護離職防止助成金:介護が必要な家族を介護するために、勤務時間や勤務場所を変更したり、在宅勤務やテレワークができる制度です。その際に発生する費用の一部が助成されます。
  • 介護相談支援センター:介護に関する相談や情報提供、ケアプラン作成などを行う窓口です。市区町村や社会福祉協議会などが運営しています。

行政機関に相談するときには、親の状態や希望、自分の事情や困りごとなどを具体的に伝えることが大切です。

介護施設の入居を検討する

親の介護は自分や家族だけでは限界があることも。そのような場合は親の安全や快適さを考えて、介護施設の入居を検討することも一つの選択肢です。例えば、以下のような種類の施設があります。

  • 特別養護老人ホーム:介護が必要な高齢者に対して、生活や医療の面で24時間体制で支援する施設です。入居には介護保険の認定が必要です。
  • 有料老人ホーム:介護が必要な高齢者に対して、生活や医療の面で一定の支援をする施設です。入居には介護保険の認定は必要ありませんが、自己負担が高くなります。
  • グループホーム:認知症の高齢者に対して、家庭的な環境で生活や介護の支援をする施設です。入居には介護保険の認定が必要です。

介護施設の入居を検討するときには、親の状態や希望、自分の事情や予算などを考慮しながら、複数の施設を見学して比較することが大切です。

介護費用がなくて介護できない場合

親の介護はお金もかかることです。特に、自分や家族の収入が少なかったり、親や祖父母の財産や収入がなかったりする場合は、介護費用に困ることがあります。

しかし、介護費用がなくても親の介護をあきらめることはありません。以下のような方法で親の介護ができます。

介護保険について勉強する

親の介護には、介護保険制度が利用できます。介護保険制度は、介護が必要な人に対して自宅や施設での介護サービスや福祉用具の貸与などを提供する制度です。介護保険制度を利用するには、以下の手順が必要です。

  • 申請:市区町村に申請書を提出します。
  • 認定:市区町村から派遣された調査員が親の状態を調査し、認定結果通知書を送付します。
  • 利用:親の状態に応じて決められたサービスや用具を利用します。

介護保険制度を利用するときには、自己負担分として一部の費用を支払う必要があります。自己負担分は、親の所得や資産に応じて決まります。また、利用できるサービスや用具は、親の状態に応じて決められた範囲内で選ぶことができます。

介護費用軽減制度を活用する

親の介護には、介護費用軽減制度を活用できます。介護費用軽減制度は、自分や家族の収入が低い場合や、親や祖父母の所得や資産が少ない場合に自己負担分を減額したり免除したりする制度です。介護費用軽減制度を利用するには、以下の手順が必要です。

・申請:市区町村に申請書を提出します。
・審査:市区町村が自分や家族の収入や親や祖父母の所得や資産などを審査し、減額や免除の結果を通知します。
・利用:減額や免除された自己負担分を支払って、介護サービスや用具を利用します。

介護費用軽減制度を利用するときには、自分や家族の収入や親、祖父母の所得や資産などの変更があった場合は、速やかに市区町村に届け出る必要があります。また、減額や免除の対象となるサービスや用具は、介護保険制度で決められた範囲内で選ぶことができます。

まとめ

親の介護は誰にとっても大変なことです。親の介護をしたくないという気持ちは理解できますが、親の介護を放棄することはできません。なぜなら法的な義務があるからです。親の介護を放棄すると、法的なリスクや道徳的なリスク、精神的なリスクがあります。

親の介護をしたくないときには、兄弟や親戚、行政機関に相談したり、介護施設の入居を検討ましょう。また、介護費用がなくても、介護保険制度や介護費用軽減制度が利用ができます。

親の介護は大変ですが、自分だけで抱え込まずにさまざまな支援を受けて乗り切りましょう。

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