80代の方は、血圧が高すぎると心臓や脳に負担がかかり、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気になるリスクが高まります。逆に、血圧が低すぎるとめまいや立ちくらみなどの不快な症状が出たり、転倒や骨折などの事故につながる可能性があります。
では、80代の方の血圧正常値はいくつなのでしょうか?また、高血圧や低血圧を正常に保つためにはどうすればよいのでしょうか?
この記事では、80代の方の血圧正常値や診断基準、症状、対策などを詳しく解説します。血圧管理に役立つ情報をお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
血圧とは、心臓が収縮して血液を送り出すときに生じる動脈壁への圧力のことです。血圧は、収縮期(最高)血圧と拡張期(最低)血圧の2種類に分けられます。
収縮期血圧は、心臓が収縮して血液を送り出すときに最も高くなる血圧で、拡張期血圧は心臓が拡張して、次の収縮に備えるときに最も低くなる血圧です。
一般的には、収縮期血圧を上の数値、拡張期血圧を下の数値として表記します。例えば、「120/80」という場合は、収縮期血圧が120mmHg(ミリメートル水銀柱)、拡張期血圧が80mmHgであることを意味します。
80代の方の血圧正常値は、収縮期血圧が130mmHg以下、拡張期血圧が80mmHg以下であることが望ましいとされています。これは、日本高血圧学会が2020年に発表した「高血圧治療ガイドライン2020」で示された数値です。
ただし、この数値はあくまで目安であり、個人差や基礎疾患などによって変わる場合もあります。そのため、自分の降圧目標や適切な治療法は必ず医師や薬剤師などの専門家に相談するようにしましょう。
高血圧とは、血圧が正常値よりも高い状態のことです。高血圧は、心臓や脳などの臓器に負担をかけ、動脈硬化や心不全などの重大な合併症を引き起こす可能性があります。
高血圧は、自覚症状がほとんどないため「無症候性殺人者」とも呼ばれます。定期的に血圧を測定し、早期発見・早期治療を心がけることが重要です。
高血圧の診断基準は、収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上であることです。ただし、これはあくまで一般的な基準であり、年齢や基礎疾患などによって変わる場合もあります。
例えば、80歳以上の後期高齢者患者では、収縮期血圧が150mmHg以上であれば高血圧と診断されます。また、糖尿病患者や脳血管障害・冠動脈疾患患者では、収縮期血圧が130mmHg以上であれば高血圧と診断されます。
高血圧の症状は自覚しにくいものが多いです。しかし、以下のような症状がある場合は高血圧の可能性があります。
これらの症状がある場合は、すぐに医師に相談するようにしましょう。また、これらの症状がなくても、定期的に血圧を測定することをおすすめします。
降圧目標とは、高血圧治療において目指すべき理想的な血圧のことです。降圧目標は、一般的には収縮期血圧が130mmHg以下、拡張期血圧が80mmHg以下であることが望ましいとされています。しかし、基礎疾患や年齢などによって変わる場合もあります。
以下では、主な基礎疾患や年齢別の降圧目標を紹介します。
後期高齢者とは、75歳以上の方を指します。
後期高齢者は、血圧が低すぎると脳への血流が減少し、認知機能の低下や脳卒中などのリスクが高まります。そのため、降圧目標は収縮期血圧が140mmHg以下、拡張期血圧が90mmHg以下であることが望ましいとされています。
ただし、個人差や体調などによって変わる場合もありますので、医師と相談して決めるようにしましょう。
糖尿病は、血糖値が高い状態のことです。
糖尿病患者では、血糖値が高いことで動脈硬化が進みやすくなり、高血圧や心臓病などの合併症を引き起こす可能性があります。そのため、降圧目標は収縮期血圧が130mmHg以下、拡張期血圧が80mmHg以下であることが望ましいとされています。
ただし、低血糖や腎障害などの合併症がある場合は、降圧目標を緩和することもありますので、医師と相談して決めるようにしましょう。
脳血管障害とは、脳の血管に異常が起きることで脳に障害が生じることです。代表的なものに脳卒中やくも膜下出血などがあります。
冠動脈疾患とは、心臓に血液を送る冠動脈に異常が起きることで心臓に障害が生じるものです。代表的なものに心筋梗塞や狭心症などがあります。
これらの患者では、高血圧は再発や予後の悪化につながる可能性があります。そのため、降圧目標は収縮期血圧が130mmHg以下、拡張期血圧が80mmHg以下であることが望ましいとされています。
ただし、体調や合併症などによって変わる場合もありますので、医師と相談して決めるようにしましょう。
低血圧とは、血圧が正常値よりも低い状態のことです。低血圧は、高齢者や女性に多く見られます。
一般的には健康上の問題にはなりませんが、不快な症状を引き起こしたり、生活の質を低下させたりする場合もあります。また、低血圧は他の病気の原因や結果の場合もありますので、注意が必要です。
低血圧の診断基準は、収縮期血圧が100mmHg以下、拡張期血圧が60mmHg以下であることです。ただし、これはあくまで一般的な基準であり、個人差や体調などによって変わる場合もあります。
例えば、元々血圧が低い人や運動に慣れている人では、この基準よりも低い血圧でも問題ない場合があります。また、症状が出るかどうかは、血圧の絶対値よりも血圧の変動によって決まる場合もあります。そのため、自分の血圧の傾向や症状を把握し、必要に応じて医師に相談するようにしましょう。
低血圧の症状は、血圧が低いことで体に十分な酸素や栄養が届かないことによって引き起こされます。
低血圧の症状は、人によって異なりますが、以下のようなものがあります。
血圧を正常に保つためには、どのような対策を行うべきでしょうか?血圧は、生活習慣や食事などによって大きく変動します。そのため、日常生活で注意すべきポイントがいくつかあります。
血圧を正常に保つための対策について、運動や食事のバランスなどの観点から以下で詳しく解説します。
適度な運動をすることは、血圧を正常に保つために有効な方法の一つです。
運動は、血管を柔らかくして血流を改善し、高血圧や低血圧を予防・改善する効果があります。自分の体力や健康状態に合わせて無理のない範囲で行いましょう。一般的には、週に3回以上、1回に20分以上の有酸素運動(歩く・走る・自転車など)がおすすめです。
運動することによって心拍数や血圧を上げることで、心臓や脳に酸素や栄養を送ります。また、運動は、筋肉や骨の強化や代謝の向上など、他の健康効果もあります。
運動は、楽しく続けることが大切です。自分の好きなスポーツや趣味を見つけて、友人や家族と一緒に行うとより効果的です。運動前後に水分補給をすることも忘れずに行いましょう。
食べ過ぎ飲み過ぎに気を付けることも、血圧を正常に保つために重要な方法の一つです。
食べ過ぎ飲み過ぎは、体重増加や内臓脂肪の増加につながり、高血圧や動脈硬化の原因となります。また、塩分やアルコールの摂り過ぎは、水分の留まりやすさを高めて血液量を増やし、高血圧を引き起こす可能性があります。そのため、食事はバランスよく摂りましょう。
一般的には、塩分摂取量は1日6g以下(男性)、5g以下(女性)、アルコール摂取量は1日20g以下(男性)、10g以下(女性)が目安です。塩分やアルコールは、味付けや調味料に注意して摂取しましょう。
また、食事はゆっくり噛んで食べることで満腹感が得られやすくなります。食事は、自分のエネルギー消費量に合わせて摂取しましょう。
食事のバランスを考えることも、血圧を正常に保つために重要です。食事には、血圧を下げる効果がある食品や栄養素がたくさんあります。例えば、以下のようなものがあります。
この記事では、80代の方の血圧正常値や高血圧・低血圧の診断基準・症状・対策などを詳しく解説しました。
血圧は、心臓や脳などの臓器の健康に大きく影響します。そのため、定期的に血圧を測定し自分の血圧の傾向や状態を把握することが重要です。
また、日常生活で適度な運動や食事のバランスなどを心がけることで、血圧を正常に保つことができます。80代の方は、自分の降圧目標や適切な治療法は必ず医師や薬剤師などの専門家に相談するようにしましょう。
血圧管理に役立つ情報をお伝えしましたが、いかがでしたか?この記事があなたの健康にお役立ていただければ幸いです。