血管の流れの滞りや、リンパの流れが悪いなどの原因で起きる足のむくみ。一過性の場合もありますが、重大な病気が潜んでいる可能性もあります。
足のむくみの原因とともに、何科を受診すれば良いのか症状別に詳しく紹介します。また、片足だけむくむ場合に考えられる病気と、受診すべき科もまとめました。
足のむくみは、病気の早期発見に繋がります。片足だけむくむなど、気になる症状がある方は記事を参考にしてください。
目次
足のむくみの原因には、血管の流れの滞りや、運動不足や神経の影響などがあります。むくみを解消するためには、まず原因をしっかりと知ることが大事です。
主な原因を3つ紹介いたします。足のむくみにお悩みなら、ご自分にも当てはまるかチェックしてみましょう。
血管の流れが滞っていると足がむくみやすくなります。足の静脈の血行不良が原因です。
足は心臓からもっとも遠いため、ふくらはぎの筋肉がポンプの役割をして血液を循環させています。また、静脈には弁があり、心臓へ血液を戻す際に逆流を防ぎます。
デスクワークなどで足を動かさなかったり、運動不足だったりするとふくらはぎの筋肉の働きが低下することで血管の流れが滞り、水分が血管から染み出しむくみの原因となります。
また、負担がかかるなどして弁が壊れると血液が逆流します。血液が戻らずうっ滞すると老廃物が溜まり足がむくみやすくなります。以下の生活習慣は血管の流れが滞る原因となりますので、改善が必要です。
足がむくむ原因の一つは、リンパの流れの悪化です。
リンパ管を流れるリンパ液は、たんぱく質や白血球を運ぶ役割があり全身を循環します。リンパの流れが悪くなると、リンパ管に回収されなかったリンパ液が溜まり、腕や足がむくみます。
リンパ浮腫の原因は、感染や生まれつきなどさまざまですが、多いのはがん治療後に起きるケースです。がんの治療で行うリンパ節の切除、また放射線治療や一部の薬物療法などが原因で、リンパ液の流れが悪くなるためです。
リンパ浮腫は自然には治りません。早めの受診・治療を行いましょう。
運動不足や神経の影響も、足のむくみの原因です。
ふくらはぎは「第2の心臓」とも呼ばれ、血液を心臓に戻すポンプのような役割を担っています。デスクワークなどであまり歩かなかったり、運動しなかったりするとふくらはぎの筋肉量が低下します。血流が悪くなり、下半身に老廃物が溜まって足のむくみを引き起こすのです。
また、自律神経の乱れも足のむくみが起きる原因の一つです。自律神経は体温調整に関係しています。冷房が効いた温度変化の少ない部屋で過ごしていると、自律神経の働きが低下します。汗をかく機能が鈍くなり、体内の水分がうまく排出できなくなるのです。余分な水分が体内に蓄積することで足のむくみに繋がります。
足のむくみが気になる際は、まず内科の受診が一般的です。しかし、症状によっては心臓内科や循環器科などの受診が望ましいでしょう。
この章では、症状別に何科を受診するべきなのか詳しく解説。早めの受診・治療は早期回復のために大切です。足のむくみを診てくれる科を知っておきましょう。
むくみが何週間も続いている場合は、まず内科を受診しましょう。
むくみには、長時間立ち仕事をした後に足がむくむ、お酒を摂取して顔がむくむなど一過性の場合もあります。しかし、何週間もむくみが続く場合は、内臓系の疾患の疑いがあります。
むくみの原因と考えられる病気の一例は、腎不全や肝不全、心不全などです。内臓疾患と一口に言っても、考えられる病気はさまざまなため、何科を受診すべきか迷ったら、まずは内科を受診します。むくみがいつから起きているか、むくみ以外にどのような症状があるかなどを医師に伝えてください。
原因を探り、適切な科を紹介してもらいましょう。
むくみ以外に動悸や息切れ、体重増加、食欲低下などがある場合は、循環器科を受診しましょう。心不全の可能性があります。
心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身にうまく血液を送り出せない状態です。高血圧や心筋症、不整脈などが原因と考えられ、悪化すれば生命に関わる病気です。心不全の症状の一例は、以下の通り。
上記の症状がある場合は、早めに循環器科を受診しましょう。心不全は早期に治療をすれば、進行を遅らせられる可能性があります。
むくみ以外に足にこぶがあるように見える場合は、内科や血管外科を受診しましょう。下肢静脈瘤の可能性があります。
下肢静脈瘤とは、静脈の逆流防止弁が機能せず、下肢に血液が溜まった状態です。血液が溜まった血管が拡張し、ボコボコと浮き出てこぶのように見えるのです。下肢静脈瘤は、病気や怪我、妊娠・出産などが原因です。また、親や兄弟に下肢静脈瘤になった方がいる場合、遺伝で起きる可能性もあります。
むくみ以外に、下記のような症状が現れます。
悪化すると皮膚に色素沈着が起き黒ずんだり、湿疹や炎症が起きたりします。元の皮膚状態に戻すのが困難な場合もあり、注意が必要です。早めに受診・治療をしましょう。
片足だけむくむ時に考えられる病気には、下肢静脈瘤やリンパ浮腫があります。それぞれの病気についてまとめました。
何科に受診すれば良いのかも紹介しますので、片足だけむくむのが気になる方は、記事を参考に早めの受診を検討してください。
片足だけむくむ場合、とても多い原因が下肢静脈瘤です。
静脈の血液逆流防止の弁が何らかの理由で機能せず、血液がうまく送り出せなくなり静脈がふくれる病気です。むくみの他に、静脈がボコボコと浮き出てこぶがあるように見えます。40代以上の女性に多い病気で、特に出産時のホルモン変化が大きく影響すると考えられています。
下肢静脈瘤は、内科や血管外科を受診しましょう。軽症の場合は、塩分摂取量を控える、運動するなどの生活習慣の見直しで改善する場合もあります。また、足に適度な圧をかけ血液の流れを促す、医療用弾性ストッキングを活用する治療法もあります。
悪化している場合は、手術や血管内レーザー治療を進められる場合も。早めに受診しましょう。
片足だけむくむ場合、リンパ浮腫の可能性があります。
リンパ浮腫とは、リンパの流れが悪くなり、リンパ管の中にリンパ液が溜まってしまい起きる浮腫です。両足がむくむ場合もありますが、片足だけにむくみが現れることもあります。肌が全体的にふくらんだようになり、皮膚は白っぽく見えるのが特徴です。
リンパ浮腫の原因で多いのが、がんの治療で行うリンパ節の切除、放射線治療や一部の薬物療法などです。これらの治療により、リンパの流れが悪くなるためと考えられます。治療直後にむくむ時もあれば、10年以上経過してからむくむ場合もあります。手術をした科や、リンパ浮腫専門外来を受診しましょう。
足のむくみは、早期治療のためにも早めの受診が重要であるとお伝えしてきました。
この章では、早めの受診の重要性と、むくみが出てから受診するまでの注意点を紹介。足のむくみに対して、自己判断は禁物です。記事を参考に、受診をご検討ください。
足のむくみは病気が原因で起きている場合もあるため、自己判断は避けましょう。
足のむくみには、立ち仕事が続いたり、お酒を飲んだりした後に起こる一過性のものもあります。他の症状が見られずすぐに改善する場合は、一過性の可能性が高いでしょう。しかし、何日もむくみが続いたり、他にも症状がみられる場合は大きな病気が潜んでいるかもしれません。
例えば、生理や妊娠・出産など、女性特有の理由でむくむ場合は、月経前症候群(PMS)や周産期心筋症の疑いがあります。また、むくみ以外に食欲低下など他の症状がある場合も、自己判断はせず早めに受診しましょう。
足のむくみ以外に他の症状もないか気を付けましょう。大きな病気のサインかもしれません。特に下記のような症状に注意が必要です。
上記の症状がある場合は、心不全や下肢静脈瘤などが起きている可能性があります。特に片足だけがむくむ場合は要注意。リンパ浮腫などの疑いがあります。
足のむくみで受診する際は、既往症を医師に伝えましょう。何かしらの病気が原因で足がむくむ場合、既往症から原因が特定できるかもしれません。
例えば、過去にがんの治療でリンパ節切除や治療を行っていた場合は、リンパ浮腫の可能性があります。心臓の病気を患っている場合は、心不全を起こし足がむくんでいるかもしれません。他にも、糖尿病や甲状腺機能低下症なども原因の一つです。
さまざまな病気が考えられますので、足のむくみで受診する際は既往症を必ず医師に伝えましょう。
血管の流れの滞りや運動不足などが原因で起こる、足のむくみ。むくみ以外に動悸や息切れなどの症状があれば循環器科、足にこぶのようなものが見えたら血管外科を受診します。もし何科に受診すれば良いか迷った場合は、内科を受診しましょう。
片足だけがむくむ場合は、下肢静脈瘤やリンパ浮腫が原因と考えられます。血管外科やリンパ浮腫専門外来などを受診しましょう。
足のむくみは、大きな病気のサインかもしれません。むくみ以外の症状が見られれば、早めの受診が必要。自己判断は避けてください。また、受診時は医師に既往症を伝えれば、原因となる病気の特定に繋がるかもしれません。
早期に治療をすれば、改善する場合も多いのが足のむくみです。早めに受診し、つらいむくみを解消しましょう。