看取り介護期間とは?することや場所は?看取り介護加算についても

2023.10.19

この記事では

  • 看取り介護期間とは何か
  • 看取り介護の内容や場所はどのように決めるか
  • 看取り介護加算とは何か

などについて解説します。

看取り介護は、最期まで大切な人を見守るという意味で家族や本人にとっては重要な役割です。しかし、看取り介護には様々な課題や困難もあります。
この記事を読んで、看取り介護について理解を深めてみましょう。

看取り介護期間とは?

看取り介護期間とは、回復の見込みがないと医師に診断された方に対して、最期まで看取りを行う期間のことです。

看取り介護期間は疾患や状態によって平均が異なりますが、一般的には4年9カ月と言われており、医師が「終末期」と判断した時点から始まります。

看取り介護期間は、本人や家族にとって大切な時間です。看取り介護期間中には、本人の意思や希望を尊重し、医療関係者と協力して本人に安らかな最期を迎えさせることが重要です。また、家族自身も自分の感情や体調を大切にし、必要ならば支援を受けることも忘れないでください。

看取り介護期間は疾患や状態により平均が異なる

看取り介護期間の平均は一般的には4年9カ月と言われていますが、これはあくまで全体の平均であり、個人差や病気の種類によって大きく変わります。

例えばがんの場合、看取り介護期間の平均は1年6カ月と言われています。しかし、がんの種類や進行度によっても違います。肺がんや膵臓がんなどの予後が悪いがんでは、看取り介護期間は数ヶ月から数週間と短くなることがあります。一方、乳がんや前立腺がんなどの予後が良いがんでは、看取り介護期間は数年と長くなることがあります。また、

認知症の場合、看取り介護期間の平均は8年と言われていますが、認知症の進行速度や合併症の有無によっても違います。認知症の進行速度は個人差が大きく、早い人では数年で重度になることもあります。また、認知症の人は肺炎や脳卒中などの合併症にかかりやすく、それらが死因となることも多いです。

看取り介護の内容

看取り介護の内容は、身体的ケアと精神的サポートの2つに分けられます。

身体的ケアでは、食事や排泄などの日常生活の援助、痛みや苦痛を和らげる緩和ケアを行います。精神的サポートでは、本人や家族の不安や恐怖を聞き、思い出の品や会いたい人との時間を大切にします。

看取り介護の内容は、本人の意思や希望に応じて変えることができます。詳しく見ていきましょう。

身体的ケア

身体的ケアとは、本人の身体的な状態を改善したり痛みや苦痛を和らげたりするために行うケアのことです。身体的ケアには、以下のようなものがあります。

  • 食事や水分の摂取の援助
  • 排泄や衛生の管理
  • 体位や姿勢の変換
  • マッサージやリンパドレナージュ

食事や水分摂取の援助では、本人の食欲や嚥下能力に応じて食事の量や種類を調整します。排泄や衛生の管理では、本人の排泄パターンや頻度に応じて、トイレやオムツの使用を決めます。

体位や姿勢の転換では、本人が寝たきりにならないように定期的に体位を変えたり、車椅子やなどで姿勢を変えたりします。マッサージやリンパドレナージュでは、筋肉や皮膚を優しく刺激しリンパ液の流れを改善したりします。

心理的サポート

看取り介護の心理的サポートでは、本人や家族の心の状態を支えたり、安心や安らぎを与えたりすることが目的です。心理的サポートには

  • 感情や思いを聞くこと
  • 意思や希望を尊重すること
  • コミュニケーションを促進すること
  • 思い出の品や会いたい人との時間を提供すること
  • 必要な情報やアドバイスを提供すること

などがあります。これらのサポートは、本人や家族にとって生きてきた意味や価値を見つめ直すこと、看取り介護に納得感や満足感を持つことなどにつながります。

看取り介護の場所

看取り介護の場所とは、最期を迎えるまでの期間においてどこでケアを受けるかということです。看取り介護の場所は、大きく分けて病院、自宅、介護施設の3種類があります。看取り介護の場所は、最期の生活の質や満足度に大きく影響します。

在宅ケア

在宅ケアとは、住み慣れた自宅で必要な医療や介護を受けることです。在宅ケアには、以下のようなメリットやデメリットがあります。

メリット

  • 自宅で自分らしい生活を続けられます。
  • 家族や友人との時間を大切にできます。
  • 病院や施設に比べて費用が安く済むことがあります。

デメリット

  • 家族や医療関係者との連携や事務手続きが必要になります。
  • 緊急時や夜間などに対応できる医療機関が限られることがあります。
  • 家族に負担がかかることがあります。

施設での看取り介護

施設での看取り介護とは、介護老人福祉施設や有料老人ホームなどの高齢者施設で必要な医療や介護を受けながら最期を迎えることです。施設での看取り介護には、以下のようなメリットやデメリットがあります。

メリット

  • 専門的な医療や介護を常に受けられます。
  • 家族に負担をかけずに済みます。
  • 住み慣れた施設で自分らしい生活を送ることができます。

デメリット

  • 自宅ではないということで不安や寂しさを感じることがあります。
  • 施設によっては看取り介護に対応できない場合があります。
  • 費用が高くなる場合があります。

看取り介護加算とは?

看取り介護加算とは、介護施設で最期まで看取りを行った場合に、介護報酬に加算される制度のことです。

看取り介護加算の目的は、本人や家族の意思を尊重し医療関係者や介護職員が連携して、本人の心身の苦痛を和らげながら生活支援を行うことです。

看取り介護加算の対象事業者は、以下の3種類です。

  • 介護老人福祉施設(特養)
  • グループホーム
  • 特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホーム・ケアハウス・養護老人ホーム)

看取り介護加算にはⅠとⅡの2種類があります。Ⅰは死亡日から30日前まで、Ⅱは死亡日から31日前から45日前までの期間に算定できます。また、Ⅱには夜間に看護職員を配置した場合に上乗せされる区分があります。

看取り介護加算の単位数は、対象事業者や期間によって異なります。

看取り介護のための支援と情報

看取り介護には、医療や介護の専門知識や技術だけでなく、コミュニケーションや感情のケアなども必要です。そこで、看取り介護に関する支援や情報を得ることで、看取り介護の質を向上できます。

看取り介護のための支援と情報について、以下で紹介していきます。

ホスピスと緩和ケア

ホスピスと緩和ケアは、ともに病気や治療に伴う苦痛を和らげることを目的としたケアですが、対象者やタイミングに違いがあります。

ホスピスとは、がんやエイズなどで余命宣告されており、治癒が望めない方が受けるケアです。ホスピスでは治療を中止し、痛みなどの症状を鎮痛剤でコントロールしながら穏やかな最期を迎えることを支援します。

緩和ケアとは、がんなどの状態に関わらず、治療に伴う苦痛を和らげたい方が受けるケアです。緩和ケアでは、治療を続けながら痛みやその他の苦痛な症状を薬物療法や非薬物療法で対処します。

早期から終末期までのあらゆる段階で受けることができます。

医療機関への相談

医療機関への相談とは、自分や家族の健康状態や病気について、医師や看護師などの専門家にアドバイスや診断を求めることです。医療機関への相談を行うには、以下のような方法があります。

  • かかりつけ医や主治医に電話やメールで相談する
  • 医療安全支援センターや保健所などの公的な相談窓口に電話やメールで相談する
  • オンライン診療や電話診療などの遠隔診療サービスを利用する

医療機関への相談は、自分や家族の健康を守るために重要なことです。

専門団体やNPO

専門団体やNPOとは、看取り介護に関する知識や経験を持つ人々が集まって作った団体や組織のことです。専門団体やNPOには、以下のような役割や活動があります。

  • 本人や家族に対して、看取り介護に関する相談や支援を行います。
  • 医療関係者や介護職員に対して、看取り介護に関する研修や教育を行います。
  • 社会に対して、看取り介護に関する啓発や提言を行います。

まとめ

この記事では、看取り介護期間とは何か、看取り介護の内容や場所はどのように決めるか、看取り介護加算とは何かなどについて解説しました。

看取り介護は、最期まで大切な人を見守るという意味で家族や本人にとって重要な役割です。しかし、看取り介護には様々な課題や困難もあります。この記事を読んで、看取り介護について理解を深めてみましょう。

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