介護における接遇とはなに?マナーの5原則と重要性を解説

2023.10.20

接遇とは、相手の気持ちに寄り添いもてなす、ワンランク上のサービスを意味します。近年、介護や医療の現場でも重要視されている技術です。

この記事では、接遇と接客の違いや、介護の接遇マナー5原則を紹介。接遇の重要性についても解説します。利用者様やご家族が安心・満足できるサービスを提供するのに、接遇は欠かせません。接遇マナーを習得し、介護職員としてレベルアップを図りましょう。

なぜ接遇とは?

接遇とは、相手の気持ちに寄り添い、思いやりを持って+αのサービスを提供するという意味を持つ技術です。「おもてなし」の考え方とよく似ています。

接遇は、百貨店やホテル、レストランなどのサービス業や飲食店で必要とされてきました。しかし、最近では企業や医療・介護の現場でも重要視されています。接遇マナーが出来ていないと、相手(お客様)に不信感や不快感を与えかねないためです。相手が何を求めているのかを読み取った、満足度の高い対応が求められています。

接遇は、人と直接接する職業では必要不可欠と言えるでしょう。

接遇と接客の違い

接遇と接客は混同されがちですが、接遇は接客の一歩先を行くサービスと言えます。接客は、相手に失礼のないよう対応する必要最低限のサービスで、マニュアル通りの基本的な対応です。接遇は、相手の気持ちや状況に寄り添い、もてなすことを意味します。接客よりワンランク上のサービスと言えるでしょう。

飲食業で例えると、「いらっしゃいませ」と店内に迎え、注文を取るのが接客。接遇は、さらに料理の説明をしたり笑顔で目線を合わせるなど、相手を気遣う言動をプラスします。

介護現場においても機械的に業務をこなすのではなく、おもてなしの気持ちを持って利用者様に接すると良いでしょう。

介護の接遇マナー5原則

介護の接遇マナー5原則は

  • 挨拶・声掛け
  • 言葉遣い表情
  • 笑顔
  • 態度
  • 身だしなみ

の5つです。それぞれの接遇マナーについて、詳しく紹介いたします。

医療や介護の現場において、接遇マナーができないと利用者様やご家族に不信感を与えかねません。より良い介護ができるよう、5原則を覚えましょう。

挨拶・声掛け

コミュニケーションの基本である挨拶や声掛けも、接遇マナーの一つです。まず、明るく気持ちよい挨拶を心がけましょう。にこやかな笑顔で行えば、利用者様やご家族、同僚職員に明るい印象を与えます。

目を合わせるのも重要。作業中の手を止めたり、歩いている時は一旦立ち止まったりして、相手と向き合って挨拶すると好印象です。また、挨拶に声掛けを添えると、より親しみやすい印象を相手に与えます。「今日は気持ちの良いお天気ですね」「お洋服よくお似合いですね」など、一言でも添えてください。印象が大きく変わります。

挨拶や声掛けの際は、ただ大きな声を出せば良いわけではありません。大声が苦手な方もいます。相手が聞きとりやすい声量を意識しましょう。

言葉遣い

利用者様は目上の方ですので、基本は敬語です。接遇マナーにおいて、言葉遣いには十分注意しましょう。馴れ馴れしいタメ口や、子どもに対するような話し方は要注意。利用者様だけでなく、ご家族にも不快感を与えます。

しかし、難しい言い回しや、過剰にへりくだる言葉遣いは必要ありません。「相手に不快感を与えないか」を意識し、丁寧な言葉遣いを心がけてください。

また、利用者様のお名前を呼ぶ際は、会社のガイドラインにおけるルールに則ってください。独断でニックネームや呼び捨てで呼ばないようにしましょう。

表情・笑顔

表情・笑顔も接遇マナーの一つです。

人の第一印象は3秒で決まると言われています。疲れたり怒ったりした表情は、相手に悪い印象を与える要因です。また、利用者様やご家族から「あの人には話しかけづらいな」と思われてしまうかもしれません。

医療や介護の現場は忙しい時間も多いでしょうが、常に明るい笑顔を心がけましょう。相手に安心感を与えます。会話の内容によっては、相手に共感する表情も大事。悲しみや苦しみ、喜びなど、共有できる豊かな感情表現が大事です。

態度

接遇マナーの原則4つ目は、態度です。立ち居振る舞いに問題があると利用者様やご家族に悪い印象を与え、信頼関係を作れません。また、施設全体の評価も下がってしまいます。基本的な姿勢のポイントは、以下の通りです。

  • 人の話を聞くとき:顔だけでなく上半身を相手に向けて聞きましょう。相手は「話を真面目に聞いてくれている」と感じます。また、腕や足を組むと高圧的な印象を与えるので、要注意です。
  • 座り方:背筋が伸びるよう、浅く座り背中をまっすぐにします。足を投げ出すと行儀が悪く見えるので注意。
  • 立ち方:背中が丸まらないよう、背筋をまっすぐ伸ばしましょう。頼りがいのある印象を与えます。

おもてなしの心を持ち、丁寧に対応する態度を心がけましょう。

身だしなみ

接遇マナーにおいて、清潔感のある身だしなみはとても重要です。介護現場では直接利用者様の体に触れる機会が多いため、動きやすさや安全性も考慮しましょう。身だしなみのチェックポイントは、以下の通りです。

  • 服装:しわや汚れのない、体のサイズに合った服だと清潔感があります。相手の髪や皮膚にひっかからないよう、装飾の少ないシンプルな服にしましょう。
  • 爪:利用者様に怪我をさせないよう、短く切ります。
  • 顔:男性は髭をしっかり剃る、女性はメイクが濃くなりすぎないよう注意。
  • 靴やアクセサリー…靴は歩きやすいものを選びましょう。利用者様に怪我をさせないよう、アクセサリーは外します。
  • 香り:タバコや汗の匂い、口臭に要注意。また、香りの強い柔軟剤や香水の匂いも不快感を与える場合があるため、避けましょう。
  • 髪:明るすぎない色にし、長い髪はゴムでくくります。

なぜ接遇が重要なのか?

介護現場で接遇が重要視される理由は、利用者様の尊厳を守り、安全安心な介護を行うためです。詳しく紹介いたします。

  • 利用者様の尊厳を守る:人生の先輩である利用者様に対し、常に尊敬の気持ちを持って接する必要があります。利用者様の尊厳を守り、自分らしく生きられるようケアするためには、接遇が重要。誠意ある対応は、ご家族にも安心感を与えます。
  • 安心安全な介護:介護の現場では、直接体に触れて介助する場面が多くあります。しかし信頼関係が無ければ、拒否や抵抗に繋がり安全に介護できません。正しい接遇マナーは、相手に安心感を与え信頼関係の構築に繋がります。

接遇が身に着けば、利用者様やご家族だけでなく職員間にも信頼関係が生まれます。結果コミュニケーションが円滑になり、仕事の効率や施設の雰囲気が良好になります。

接遇は、安心安全で満足度の高いサービスの提供に欠かせないのです。

まとめ

接遇とは、相手の気持ちに寄り添い、思いやりを持ってもてなすという意味を持つ言葉です。医療や介護の現場でも重要視されています。

接遇マナー5原則を意識し明るく笑顔で挨拶したり、清潔感のある身だしなみをしたりすると、相手に好印象を与えます。これらが、利用者様の尊厳を守り、安心安全な介護を行う上で重要なのです。

利用者様やご家族、同僚との信頼関係の構築に接遇マナーは欠かせません。接遇は、自身のスキルアップにも繋がります。接遇マナーを習得し、利用者様やご家族から頼りにされる職員を目指しましょう。

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