30代の血圧正常値はいくつ?高血圧と低血圧を改善する方法も解説

2023.10.20

30代の血圧正常値は、診察室で測った場合の正常値で120/80mmHg未満、自宅で測る際は115/75mmHg未満です。30代は男性・女性ともに血圧正常値を保っている方が多いですが、若くても高血圧や低血圧になるかもしれません。

この記事では、30代の血圧正常値について詳しく紹介します。また、高血圧や低血圧の場合に注意することや、改善するための方法もまとめました。記事を参考に生活習慣を見直しましょう。

血圧とは?

血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管の内壁を押す圧力を指します。主に上腕動脈の圧力のことで、血圧を決める要因は以下の通りです。

  • 心臓が一回の拍動で血液を押し出す力(心拍出量)
  • 血管の拡張
  • 血管の弾力性
  • 末梢血管の流れにくさ(抵抗性)

他にも、食塩摂取量・腎臓や神経系の働きなども、血圧の変動に関わります。また、よく言われる「上の血圧」は最高血圧、「下の血圧」は最低血圧を指します。

血液を送り出す際の心臓の収縮により、血圧が最も高まった状態が最高血圧、心臓が拡張し、血流が緩やかになり血圧が最も低くなった状態が最低血圧です。

30代の血圧正常値はいくつ?

30代の血圧正常値は、診察室で測った場合の正常値が120/80mmHg未満で、自宅で測る際115/75mmHg未満となります。

30代の血圧平均値は、男性が117.2/73.8mmHg、女性が108/66.4mmHgといわれています。(※厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」より)

男性が女性に比べ高めの平均値となっていますが、30代は男女ともに正常値に近い値です。しかし、30代でも塩分やアルコールの過剰摂取、運動不足などで血圧が上昇する恐れがあり、注意が必要です。

また、年齢が上がると血圧は上昇する傾向にあります。加齢とともに、血管の弾力性が失われるのが原因と考えられます。30代のうちから生活習慣に注意し、血圧を正常に保ちましょう。

高血圧の場合注意すること

30代で血圧が140/90mmHg以上は高血圧です。また、130~139/80~89mmHgは高血圧予備軍となります。
高血圧の場合、若年性高血圧や動脈硬化に注意が必要です。それぞれの症状について詳しくまとめました。男性・女性ともに高血圧は、大きな病気に繋がる恐れがあります。リスクを知り、血圧正常値を保ちましょう。

若年性高血圧

20~30代で血圧正常値より血圧が高い状態を、若年性高血圧と言います。特に30代の男性が多い傾向です。

高血圧には、生活習慣が原因の「本態性高血圧」と、病気やホルモン異常が原因の「二次性高血圧」があります。若年性高血圧は、二次性高血圧の場合が多いです。二次性高血圧の原因とされる病気には、以下のような病気があります。

  • 腎実質性高血圧…腎機能が低下し、ナトリウムが体内に蓄積し高血圧を引き起こします。
  • 原発性アルドステロン症…副腎から分泌されるホルモン「アルドステロン」の過剰分泌が原因。アルドステロンは、血圧を上昇させる働きがあります。
  • 腎血管性高血圧…腎臓に血液を送る血管が狭くなったり詰まったりすると、血液が不足。それを補うために腎臓が分泌するホルモン「レニン」の影響で、高血圧になります。
  • 睡眠時無呼吸症候群…睡眠中に気道が狭まり、息が繰り返し止まる病気。交感神経が活性化してしまい、血圧を上昇させます。

二次性高血圧は重症化しやすいため、早期の治療が大切です。若年性高血圧の場合は、二次性を疑い早めに受診しましょう。

動脈硬化

高血圧の場合、動脈硬化にも注意が必要です。動脈硬化とは、動脈の内壁にコレステロールが溜まり、血管が狭くなったり固くなったりした状態です。血流が悪くなり、心臓に大きな負担がかかります。高血圧は、動脈硬化を進行させる要因の一つです。血圧が高いと血管が傷つき、動脈硬化に繋がります。

血管は老化により弾力性を失うため、加齢とともに高血圧や動脈硬化の発症率は上がります。しかし、食事の欧米化やストレスなどが理由で、30代の動脈硬化のリスクも上昇しています。

動脈硬化は自覚症状がありません。進行すると、心臓病や脳卒中を引き起こす恐れがあります。予防するためには、塩分の過剰摂取や運動不足などの生活習慣を見直しましょう。

低血圧の場合注意すること

低血圧に明確な定義はありません。一般的には最高血圧が100mmHg以下とされており、若い女性に特に多い傾向があります。

低血圧の場合、高血圧に比べて生命に関わる病気のリスクは低いですが、めまいやふらつきなどに注意が必要です。朝に症状が強く現れやすいので気を付けましょう。また、狭心症にも注意が必要です。

低血圧の症状は、悪化すれば日常生活に支障をきたす恐れがあります。つらい場合は、無理をせず医療機関を受診しましょう。注意すべき低血圧の症状について、紹介いたします。

めまい・ふらつき

低血圧だと、めまいやふらつきを起こす場合があります。低血圧には主に3つの原因が考えられ、全てに見られる症状がめまいとふらつきです。

  • 起立性低血圧…急に座ったり立ち上がった際にめまいやふらつきが起きます。血液が手足から心臓や脳に戻りにくい状態に陥るためです。立ち上がりなどの動作はゆっくり行うよう心がけましょう。頻繁に起きる場合は、自律神経系の病気などが潜んでいる可能性あり。
  • 二次性低血圧…心臓や腎臓、脳神経などの病気が原因とはっきり分かっている低血圧を指します。慢性の心臓病などは、めまいやふらつきを伴い注意が必要です。
  • 本態性低血圧…原因がはっきりとは分からない低血圧症。生活習慣などが原因と考えられ、瘦せ型の若い女性が多い傾向にあります。自覚症状の無い人もいますが、めまいや立ち眩み、冷え性などが起きる場合もあります。食事や睡眠など、生活習慣の改善が必要です。

だるさ・食欲不振

低血圧の場合、だるさや食欲不振が起こる場合があります。

低血圧の原因は、血液の循環が悪いためと考えられます。心臓から血液を送り出す力や、手足の先から心臓へ血液を戻す力が低下すると、血液循環が悪化し、体内に酸素や栄養がうまく行きわたらなくなります。筋肉や臓器の酸素や栄養が不足し、だるさや食欲不振を起こすのです。

また、食後にめまいやだるさ、胃もたれや吐き気を起こす「食後低血圧」もあります。食後はゆっくりと動くようにしましょう。

何かしらの病気が原因で、低血圧を起こす場合もあります。血圧が低くだるさや食欲不振が辛い場合は、受診を検討してください。

狭心症

低血圧の場合、狭心症を発症している恐れがあります。

低血圧を起こしている時は血液循環が悪化し、心臓へ酸素が十分に供給されなくなります。心筋に血液が行き届かないと、狭心症を発症する可能性があるのです。強い胸痛を感じる、傷みが安静にしてもおさまらないなどの症状があれば受診しましょう。

また、多量の出血などが原因で急激に血圧が低下した場合も、注意が必要です。全身に血液が循環できなくなると、脳や心臓などの臓器が機能不全に陥り、ショック状態を起こし、狭心症が起きる可能性もあります。

狭心症は、進行すると心筋梗塞を発症し生命に関わる可能性があり危険です。喫煙者は特に注意が必要です。低血圧なだけでなく、狭心症の症状が見られれば早期に受診してください。

血圧を正常値に保つためにできること

血圧を正常値に保つためには、食生活の見直しや適度な運動を心がけることなどが大切です。生活習慣は、血圧の変動に影響を与えます。

血圧正常値を保つためにできることを4つ紹介します。すぐに始められる方法ばかりです。30代で高血圧や低血圧にならないよう、生活習慣の改善に取り組みましょう。

食生活の見直し

血圧正常値を保つためには、食生活の見直しが重要です。食習慣の乱れや偏った食事は血圧の変動に繋がります。また、肥満も高血圧を引き起こす要因の一つでもあります。体重も正常値を保つよう心がけましょう。食生活の見直しは、以下を意識して行います。

  • 減塩…30代を含む成人男女の一日における塩分摂取量は、男性で7.5g未満、女性で6.5g未満です。だしで風味を出し、醤油などの調味料は使用を控える、加工食品の摂取は控えるなど、減塩を心がけましょう。
  • カリウムを摂取する…カリウムは、体内のナトリウムを排出しやすくする働きがあります。野菜料理は小鉢で一日5~6皿、果物は1~2個の摂取が目安。小松菜やほうれん草、かぼちゃ、バナナやキウイフルーツなどがカリウムを多く含みます。
  • 腹八分目を心がける…肥満体型を予防するために、腹八分目を心がけ、食べ過ぎに注意しましょう。また、体重を定期的に計測すると体重増加の予防に繋がります。低血圧の場合も大食いをすると、消化管に血液が集まり食後低血圧を起こします。適量をゆっくり食べましょう。
  • 炭水化物や糖質を摂る時間や回数に注意…低血圧の場合は、炭水化物や糖質を摂りすぎると食後に血圧が低下します。特に食後低血圧を起こしやすい朝食は、炭水化物や糖質を控えましょう。代わりに間食を設け、そこで摂取します。

適度な運動

血圧正常値を保つためには、適度な運動が重要です。高血圧(140/90mmHg以上)の方は有酸素運動、高血圧予備軍(130~139/85~89mmHg)の方は筋力トレーニングがおすすめです。

有酸素運動は、ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリングなどです。1日30分以上の運動を毎日行うとより効果的です。運動習慣を身につけましょう。筋力トレーニングは、腕立て伏せやスクワット、ダンベルフライなどで、筋肉に軽い負荷をかけながら行います。有酸素運動と合わせて1回10分以上を一日4セット以上行うと効果的です。

低血圧の方も、有酸素運動や筋力トレーニングをすれば血液の循環が良くなり、症状の改善が期待できます。

適度な飲酒・禁煙

飲酒や喫煙の習慣は、血圧を上昇させます。適度な飲酒や禁煙を行いましょう。適度な飲酒量は、男性なら1日あたり日本酒一合、ビールなら中瓶1本程度、焼酎なら半合弱、ワインなら2杯弱です。女性はその約半量が目安。また、週に1回は休肝日を設けましょう。

低血圧の人は、飲酒をするとさらに血圧が低下しやすくなります。ノンアルコール飲料に置き換えるなど、禁酒を心がけましょう。

タバコのニコチンは交感神経を刺激し、一時的に血圧を上昇させます。1本吸うと最高血圧、最低血圧共に10~20mmHgほど上昇します。タバコを吸う本数が多いほど、一日のうちに何度も血圧の変動が起きます。血管に負担がかかり、動脈硬化を引き起こすため危険です。血圧正常値を保つためには、禁煙を心がけてください。

十分な睡眠

血圧を正常値に保つためには、十分に睡眠を取りましょう。睡眠不足は、自律神経の乱れに繋がります。自律神経とは、交感神経と副交感神経で成り立っています。活動している時に働くのが交感神経、夜間やリラックスしている時に働くのが副交感神経です。

睡眠が不足すると、交感神経が活発なままになり自律神経が乱れます。交感神経は血圧を上昇させる働きがあるので、高血圧に繋がり危険です。また、自律神経の乱れは血液の循環を悪くするため、低血圧になる可能性もあります。

理想的な睡眠時間は、6~8時間といわれています。十分な睡眠を確保しましょう。

まとめ

30代の血圧正常値は、診察室で測る場合は120/80mmHg未満、自宅で測る場合は115/75mmHg未満です。

高血圧の場合は若年性高血圧や動脈硬化、低血圧はめまいやふらつき、狭心症に注意が必要です。血圧を正常値に保つためには、食生活の見直しや適度な運動などを心がけましょう。

血圧は加齢とともに上昇する傾向にあります。男性女性ともに若いうちから血圧正常値を保つと安心です。ぜひ生活習慣の改善を心がけてください。

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