50代の血圧正常値はいくつ?「更年期高血圧」にも注意!

2023.10.27

50代の血圧正常値は、診察室で測った場合が120/80mmHg未満、自宅で測った場合が115/75mmHg未満が目安です。50代は男性・女性ともに血圧が上昇傾向にあり、注意が必要です。

この記事では、50代の血圧正常値に関して詳しく紹介します。高血圧になる原因や、更年期高血圧についてもまとめました。

50代で高血圧にならないためには、早めの対策が重要です。高血圧の原因を理解し、予防に努めましょう。

50代の血圧正常値は?

50代の血圧正常値は、診察室で測った場合が120/80mmHg未満、自宅で測った場合が115/75mmHg未満が目安ですが、血圧正常値は年代ごとに違うわけではありません。30代でも50代でも同じ基準値となります。

高血圧とされる判断基準も、年代で差はありません。診察室で測った場合が140/90mmHg以上、自宅で測った場合が135/85mmHg以上です。50代の平均血圧は、男性で132.4/86.1mmHg、女性で123.6/78.3mmHgで、男性に関しては高血圧の予備軍に入る数値となっています。

女性も注意が必要です。50代は女性ホルモンが激減する傾向にあります。女性ホルモンの分泌量が減ると、血圧のコントロールが乱れ上昇しやすくなるのです。

男性・女性ともに日ごろから血圧を測定し、自身の数値に変化が無いかチェックしましょう。

高血圧になる原因とは?

高血圧になる原因は、塩分の摂り過ぎや肥満、遺伝などがあります。

この章では、原因を6つ紹介いたします。高血圧は、生活習慣に関わる原因が多いのが特徴です。当てはまる場合はすぐに生活習慣を見直し、高血圧を予防しましょう。

塩分の摂り過ぎ

塩分の摂り過ぎは、高血圧になる原因です。食塩を通じてナトリウムを摂り過ぎると、血中の塩分濃度が上昇し、低下させるために体が血液中の水分量を増やそうとします。その結果、血液量が増加し血圧が上昇してしまうのです。

日本人の食生活は、塩分の摂取量が多くなりやすいと言われています。一日の塩分摂取量の目安は、男性で7.5g未満、女性で6g未満です。日頃から減塩を心がけましょう。

  • 塩分を多く含む加工食品は控える
  • だしの風味を活かし、調味料を減らす

などの対策が有効です。また、カリウムを多く含む野菜や果物の摂取もおすすめです。カリウムは、ナトリウムを体外へ排出しやすくする働きがあります。

飲酒のし過ぎ

飲酒のし過ぎも、高血圧になる原因の一つです。少量の飲酒では、血圧は一時期的に低下します。しかし、長時間飲酒を続けると血圧は上昇していきます。理由は、アルコールによる利尿作用で体内の水分量が減り、血液濃度が濃くなるためです。

また、塩分の強いおつまみも血圧上昇の原因となります。お酒は、一日の適量を守って摂取しましょう。例えば、ビールなら中瓶1本、缶酎ハイ(アルコール度数5%)なら500ml缶1本です。

週に1日以上は休肝日を設けて、飲酒を控えてください。

肥満

肥満の人は正常体重の人と比べて、高血圧になる確率が2~3倍高まると言われています。理由は以下の通りです。

  • 肥満の人は過食気味の場合が多く、塩分も多量摂取しがち。
  • 肥満により、過剰にインスリンが分泌される。インスリンは交感神経系を刺激し、末梢神経を収縮させる働きがあるカテコールアミンを放出するため、血圧が上昇します。
  • 脂肪細胞から分泌されるアンギオテンシノーゲンには血管を収縮させる働きがあり、血圧が上昇する。

また、内臓に脂肪が溜まる「内臓脂肪型肥満」は、高血圧を発症しやすいと言われています。内臓脂肪が血液量を増加させ、血管に負担をかけるためです。内臓脂肪型肥満は男性に多い傾向にあります。

タバコの吸い過ぎ

タバコの吸い過ぎも、高血圧になる原因です。タバコに含まれるニコチンは、交感神経系を刺激し血圧を上昇させます。タバコを1本吸うと、最高血圧が3~12mmHg、最低血圧が5~10mmHg上昇し、20分間程続きます。

一日に吸う本数が多いほど、血圧が上昇している時間が長くなり、高血圧に繋がっていくのです。また、タバコに含まれる有害物質は、動脈硬化を悪化させます。動脈硬化は血管の内壁を厚くするため、血流により血管に負担がかかり、高血圧を引き起こします。

ストレス

高血圧になる原因に、ストレスがあります。過度のストレスは交感神経を活発化させます。交感神経は自律神経の一つで、心身が活発に動く際に働きます。

交感神経が活発になると、大量に分泌されるのが「アドレナリン」と「ノルアドレナリン」というホルモンです。アドレナリンは緊張や興奮状態を引き起こし、心拍数を上げます。ノルアドレナリンは、血管を収縮する作用があります。この二つのホルモンが原因で、血圧が上昇するのです。

高血圧を防ぐためには、日ごろからストレスを溜めないことが大事。適度な運動や十分な睡眠と休養は、ストレス解消に役立ちます。また、ゆっくりとお風呂に浸かったり、好きな音楽を聴いたりして、リラックスする時間を作りましょう。

遺伝

家族が高血圧の場合、血圧の上がりやすい体質は遺伝すると言われています。両親共に高血圧の場合は、子どもも高血圧を発症する確率が約50%。両親のうちどちらかが高血圧の場合は、約30%と言われています。しかし、必ずしも高血圧が遺伝するわけではありません。

また、高血圧を発症する家族は、似たような生活習慣を送っているのも原因と考えられます。下記のような生活習慣に、注意が必要です。

  • 塩分の高い食事が多い
  • 運動する習慣が無い
  • 喫煙・飲酒の習慣がある
  • 過食気味や肥満体型

家族に高血圧の人がいる場合は、たとえ体質が遺伝しても発症しないように、日ごろの生活習慣に気を付けましょう。

更年期高血圧に注意!

50代の女性は、更年期高血圧に注意が必要です。ホルモンバランスの変化による自律神経の乱れなどが起き、血圧が上昇します。

この章では、更年期に血圧が変動しやすい理由や、対策などをまとめました。20~30代の頃は、女性は男性に比べ低血圧な傾向にあり、高血圧を気にしない方も多いでしょう。しかし、50代で急に高血圧になる可能性があります。早めの対策をとることが重要です。

更年期は血圧が変動しやすい

女性の更年期は、ホルモンの減少や体調・生活面の変化により血圧が変動しやすくなります。更年期とは、男性女性共に性ホルモンの分泌が低下し始める、40~50代頃の時期です。また、女性の場合は閉経の5年前からと5年後の約10年間を更年期としています。

女性は「エストロゲン」、男性は「テストステロン」という性ホルモンが低下し、共に以下のような更年期障害が現れます。

  • 疲れやすい
  • イライラする
  • 気分が落ち込む
  • 不眠症
  • 発汗や火照り

女性は上記の症状に加え、血圧がコントロールできなくなり高血圧を引き起こします。エストロゲンの減少により自律神経に乱れが生じるためです。

また、更年期の時期は、高血圧の原因となるストレスを感じやすくなります。更年期の症状に不安やイライラが募ったり、子どもの独立や親の介護などで生活に不安やストレスを感じるためです。

更年期高血圧の対策

更年期高血圧の対策として、生活習慣の見直しや病院の受診があります。まずは食事や運動といった、生活習慣の見直しが大事です。下記の習慣を心がけましょう。

  • 食生活を見直す:塩分摂取量は、1日6g未満にします。また、カリウムやミネラル、ビタミン、食物繊維などの栄養を、バランスよく摂れる食事にしましょう。
  • 運動の習慣を作る:1日あたり30分程の適度な運動を続けましょう。おすすめは、水泳やウォーキングなどの有酸素運動。
  • 過度な飲酒は控える
  • 禁煙
  • 睡眠時間の確保:1日6~8時間程度の睡眠を取りましょう。
  • ストレスの緩和:ゆっくりお風呂に浸かったり、趣味の時間を持ったりするなど、ストレス発散の時間を作ってください。

もしも生活習慣の改善で血圧が下がらない場合は、病院を受診しましょう。婦人科や内科、更年期外来を受診します。受診する科が分からない場合は、かかりつけ医にご相談ください。

まとめ

50代は、男性女性共に血圧正常値を超え、高血圧と診断されやすい時期です。高血圧になる原因は、塩分の摂り過ぎや肥満、遺伝などがあります。

女性は更年期高血圧にも注意が必要になります。男性に比べ性ホルモンの減少が激しく、自律神経が乱れ血圧がコントロールできなくなるためです。更年期特有の体調や生活の変化による不安やストレスも、血圧を上昇させる原因となります。

高血圧を予防するには、生活習慣の見直しが重要です。記事を参考に、今すぐ生活習慣を見直して50代になっても健康な体を保ちましょう。

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