後期高齢者の世帯分離は扶養から外れる?手続き方法についても解説

2023.11.07

入所で介護サービスを利用したりデイサービスの利用が多い場合、介護保険の自己負担額の費用が多くなります。同居している家族がいる高齢者が負担を軽減するためには、世帯分離をする方法があります。介護保険の費用は1世帯の所得によって決まるので、所得が少なくなることで自己負担の上限金額が軽減される可能性があります

この記事では、「世帯分離をすることで扶養から外れるの?」「手続きはどこで行って必要書類はあるの?」などの疑問にお答えします。

世帯分離とは?

同居している状態から、親と子で住民票を別々にすることです。

介護保険の費用は、1世帯の所得によって決まるので世帯分離をすることで、負担額が軽減されることがあります。所得が少ない家庭の所得税を抑えて負担を軽減させることが目的です。

後期高齢者が世帯分離をする理由

高齢者が世帯分離をする理由は、世帯分離をすることで介護保険の自己負担額を下げることができるからです。これにより、高額な介護費用が請求されることが少なくなります。

特養に入所するときなどには、月々多額の利用料がかかるので、世帯分離をすることで介護費用の自己負担を減らせたり、介護費用の自己負担上限額を下げたりできる可能性があります。

介護費用以外にも、国民保険料や後期高齢者医療制度の費用を抑えることもできます。このような理由から、後期高齢者で世帯分離をする方が増えています。

後期高齢者の親は世帯分離をしても扶養から外れない

子供の会社の保険などに加入している場合、「世帯分離をしたら扶養から外れてしまうのではないか?」と思う方も多いと思います。この章では、世帯分離をして扶養から外れる条件について解説します。

扶養から外れてしまう条件

世帯分離をしても扶養から外れることはありません。しかし、これは世帯分離をしても同居していることが大前提です。また、世帯分離をしたのが会社勤めをしている両親か配偶者の両親になります。

健康保険の場合、扶養の範囲は以下のようになります。

  1. 被保険者の直系尊属、配偶者(事実婚を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている方(この場合、必ずしも同居している必要はありません。)
  2. 被保険者と同一の世帯で、主として被保険者の収入により生計を維持されている方
  • 被保険者の3親等以内の親族
  • 被保険者の事実婚の配偶者の父母・子

配偶者の親と世帯分離した場合は扶養から外れる

健康保険の扶養範囲は「同一世帯」で被保険者の収入により生計を維持している人です。配偶者の親の場合は同一世帯でないため、世帯分離をした場合は不要から外れます。
現在扶養として入っている健康保険組合の扶養手当や、そのほかの福利に関しても確認しておきましょう。

扶養から外れたときに軽減額が大きければ、世帯分離をするメリットになります。少しでも安く介護サービスを利用できる方法を選びましょう。

世帯分離の手続き方法

世帯分離は全て市役所で手続きができます。世帯分離には【世帯主変更届】を提出する必要がありますが、それ以外にも必要な書類があります。

この章では、世帯分離に必要な書類や注意点について解説します。

必要書類を揃える

世帯分離をするときに必要な書類は

  • 身分証明(マイナンバーカード・運転免許証・パスポート)※1枚の提出
  • 国民健康保険証
  • 世帯分離変更届
  • 印鑑

介護保険証・健康保険証・年金手帳を身分証明書として提出する場合は2枚以上の提出が必要です。市町村によって必要書類は異なる場合がありますので事前に確認してください。

また、親の手続きを代理で行う場合委任状が必要になりますので注意しましょう。

市町村の窓口へ提出

市町村の役所へ必要書類と世帯変更届を提出します。届け出の記述に間違いがある場合、訂正印が必要になりますので必ず用意しましょう。また、世帯分離を行う前に費用負担が増えないかを確認しましょう。

国民保険に加入することで保険料が上がる可能性があり、扶養手当・家族手当も抜けることになります。手続き前に世帯分離後の料金を確認しましょう。

まとめ

世帯分離は、住民税や介護保険自己負担額を軽減するために行います。親の所得が低い時には、世帯分離を行うことで世帯の所得によって金額が決まる住民税や介護保険の自己負担額を軽減することができます。

市町村の役所で世帯分離をして、住民税や介護保険自己負担額が安くなるのか確認しましょう。世帯分離には、役所窓口でマイナンバーカードなどの身分証明証と印鑑・世帯変更届の提出が必要になります。必要書類を揃えて提出しましょう。

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