介護保険制度はいつから始まった?仕組みをわかりやすく解説

2023.11.07

昨今、少子高齢化社会といわれる中で、介護保険制度は知らない人がいないほどの制度となりました。しかし、介護保険制度についていつから始まったのか。また、仕組みなどを知らない人は多いと思います。

今回は、介護保険制度について分かりやすく解説していきます。

介護保険とは?

介護保険は、高齢者や身体障害者などの介護が必要な人々を対象とした日本の社会保障制度です。

高齢化社会において在宅での介護をサポートし、利用者の自立と生活の質を向上させるための重要な制度です。

介護保険制度が生まれた背景

介護保険制度の背後には、日本の急速な高齢化があります。高齢者の増加に伴い、高齢者や要介護者の介護ニーズが増大し、これに対応するための新しい社会保障制度が求められました。

平成9年に「介護保険法」が制定され、平成12年年4月から施行されました。この法律によって、高齢者や要介護者に対する介護サービスの提供が法的に保証され、介護保険制度が導入されたのです。

介護保険制度の目的

介護保険制度の主な目的は、高齢者や要介護者が適切な介護を受け、自宅で生活を継続できるようにすることです。

介護保険制度は、高齢化社会において在宅介護を支援し、家族や個人の負担を軽減し、高齢者の自立と生活の質を向上させるために導入されました。

被保険者とは?

介護保険制度においての被保険者とは、この制度の対象となる高齢者や身体障害者、要介護者のことを指します。

被保険者は「第1号被保険者」と「第2号被保険者」に分類されます。
「第1号被保険者」は、65歳以上の高齢者で、介護保険制度の対象となる最も一般的な被保険者です。
「第2号被保険者」は、40歳以上〜65歳未満で特定疾患により介護が必要な状態の被保険者です。

介護保険制度の利用手順

介護保険制度の利用手順は、まず、要介護申請を行ったあと市町村による要介護認定を受けます。ケアプランの作成、介護サービスの提供者と契約し自己負担を支払い、サービスを受ける流れです。

要介護認定の申請

  1. 要介護認定の申請:市区町村に要介護認定の申請をします。
  2. 申請書の提出:要介護認定申請書を記入し、必要な書類とともに提出します。

市町村による要介護認定

調査員が申請者の状態を評価します。評価には身体状態、日常生活の自立度、認知症の程度などが考慮されます。その結果、要介護度の等級が付与され、通知が利用者に送られます。

ケアプランの作成

ケアプランは、ケアマネジャーによって作成されます。

1.要介護者の現在の状態やニーズを詳細に評価します。身体的・精神的健康、日常生活の自立度、住居環境などが含まれます。
2.要介護者や家族と協力して、具体的な介護の目標を設定します。
3.評価、目標を元に必要な介護サービスや支援の回数を計画します。
4.ケアプランは一時的なものでなく、定期的に見直され必要に応じて調整されます。

サービス開始

ケアプランの作成後は、介護サービス提供者との契約にうつります。

1.必要書類の準備:診療情報提供書や健康診断書の準備をします。
2.面談:施設側の職員と面談をします。
3.入居審査:面談の内容から入居の審査がされます。検討される内容は、要介護度や健康状態、経済状況の3つです。
4.契約: 施設側との契約を行います。

介護保険で対象となる疾病

65歳以上の第1号被保険者は、要介護度に基づく評価に従って、疾病や障害に関係なく高齢者や要介護者に対するサービスが提供されます。

しかし、40歳~64歳の第2号被保険者でも、特定の疾病にかかり要介護状態になった場合は介護保険が適用されます。

特定疾病とは、認知症、統合失調症、神経疾患、心疾患、がん、糖尿病、脳血管障害(脳卒中)、
肺疾患(慢性閉塞性肺疾患など)など、一部の慢性的で進行性の疾患を指します。

利用できるサービス

介護保険サービスの内容として大きく3つに分けられます。

居宅サービス:訪問介護、訪問入浴サービス、訪問看護、訪問リハビリテーションなど
施設サービス:特別養護老人ホーム、老人保健施設など
地域密着サービス:通所介護、ショートステイなど

居宅介護支援

居宅介護支援は、高齢者や身体障害者が自宅で生活を維持し、安心して暮らすためのサポート体制です。この支援は、専門の介護職やケアマネージャーによって提供され、要介護者の日常生活に合わせたケアプランを策定します。

居宅介護支援は、要介護者が安心して自宅で生活できるようにし、家族の負担を軽減する役割を果たします。基本的に利用に際し、利用者に金銭的な負担は発生しません。

訪問型サービス

訪問型サービスは、高齢者や要支援者が自宅で生活し続けるために提供されるサポートの一環です。

訪問介護:食事の準備、入浴の援助、身体介助、掃除、買い物などの日常生活のサポートを提供します。
訪問看護:看護師が自宅を訪れ、医療的なケアを提供します。薬の管理、傷の処理、健康状態のモニタリングなどのサポートがあります。
訪問リハビリテーション:リハビリ専門職が自宅を訪れ、リハビリテーションを提供します。

通所型サービス

通所型サービスは、高齢者や要支援者が自宅から外出し、施設で様々なサービスを受けるサポートの形態です。

通所介護(デイサービス):高齢者や身体障害者が施設を訪れ、日中の時間を有効に使います。レクリエーション、食事、入浴、ソーシャル活動などが提供されます。
通所リハビリテーション(デイケア):軽度要支援者から要介護者まで、異なるニーズに合わせてケアを提供します。デイサービスとは異なり、リハビリ専門職によるリハビリテーションの提供がされます。

短期滞在型サービス

短期滞在型サービスは、一時的に高齢者や要介護者が施設に滞在し、ケアやサポートを受けるサービスです。

このサービスの利用のポイントは、食事、入浴、リハビリテーションなどの一時的なサポートを受けることにより、介護者が一時的に休息を取り、自分の健康やリフレッシュに時間を割く機会が設けられる点です。

他にも、機能向上や自立をサポートするリハビリテーションサービスの提供や、他の入居者との交流が目的として挙げられます。

施設入居サービス

施設入所サービスは、高齢者や要介護者が自宅での生活が難しい場合に、施設に入所してケアとサポートを受けるサービスです。

このサービスのポイントは、要介護度に応じて食事、入浴、医療ケア、リハビリテーション、生活支援など、個々のニーズに合わせたサービスが提供される点です。

また、施設入所者は24時間体制でスタッフのケアを受けられ、緊急時でも安心です。身体機能の向上や、日常生活の自立を支援するリハビリテーションも提供されます。

福祉用具に関するサービス

福祉用具に関するサービスは、高齢者や要介護者が日常生活をより快適に、かつ安全に送るために必要な福祉用具の貸与とサポートを提供するサービスです。

規定された日常生活に役立つ福祉用具を一定期間貸し出します。福祉用具は利用者の身体状態やニーズに合わせて選定されます。

また、福祉用具の設置や正しい使い方に関する指導を行い、利用者とその家族が安全に使用できるようサポートします。

住宅改修

住宅改修サービスは、高齢者や要介護者が自宅で快適かつ安全に生活できるように、住宅環境を改修・整備するサービスです。

主に、階段の昇降をスロープの変更、手すりの設置、トイレや浴室のバリアフリー化などがあり、住宅内での移動や生活がしやすくなります。また、転倒予防のための床の段差解消、非常時の安全確保、火災予防など、住宅内の安全対策も行なわれます。

要介護者も介護者も生活しやすいよう、台所や洗面所、浴室の改修など、日常生活を支援するための設備改修が行われます。

まとめ

今回は、介護保険制度の成り立ちから利用する流れ、利用できるサービスについて解説しました。

介護保険制度の成り立ちを理解し、利用者にどのように提供・利用を促していくべきなのかの一助になれば幸いです。今回の学びが日々の仕事、介護に役立つことを願っています。

お役立ちコラム一覧へ戻る