地域密着型通所介護とはなに?通所介護との違いや単位について解説

2023.11.09

「最後まで住み慣れた町、住み慣れた家で過ごしたい。」と願う高齢者は多いでしょう。家族や友人と過ごせて一番安心して過ごせる場所だから、施設入所でなく最後まで自宅で過ごすことを望む方は多いです。

地域密着型サービスの一つとして、地域密着型通所介護があります。この記事では、地域密着型通所介護の役割やメリット、かかる費用について解説します。

地域密着型通所介護とは?

地域密着型通所介護とは、定員が18人以下の小規模デイサービスです。普通のデイサービスと同じように、食事や排泄・入浴の介助などの介護サービスを提供し、機能訓練やレクリエーションを行い、夕方送迎されて帰宅します。

小規模なのでスタッフや利用者同士が顔馴染みになり、認知症の方でも馴染みやすいのが特徴です。

地域密着型通所介護の役割

自宅から出て、利用者同士・スタッフとコミュニケーションを取り、体操やお出かけなどのイベントに参加して孤立感を解消し、社会に参加することが目的です。

高齢になると、家からでなくなってしまい引きこもってしまう方が多いのが現状です。地域密着型通所介護の施設でコミュニケーションを取り、日中楽しめる場として存在することが地域密着型通所介護の役割です。

地域密着型の場合、住み慣れた地域で介護サービスを受けることによって、利用者が安心してサービスを受けることができることが特徴です。また、「最後まで住み慣れた街で生活したい」という利用者の希望に応えることも重要な役割のひとつです。

地域密着型通所介護の利用対象者

地域密着型通所介護の利用条件として、施設のある地域に住民票があること、要介護の認定を受けている65歳以上の方が対象です。

利用するときには、ケアマネージャーや地域包括センターに相談しましょう。市町村間で利用者協議をして同意が得られた場合は、同意を得た地域の地域密着型通所介護のサービスを利用できます。

地域密着型通所介護の人員基準

地域密着型通所介護には、人員基準があります。

生活相談員:専従で1名以上、事業所ごとのサービス提供時間に応じて配置が必要。
介護職員:利用者が15人以下の場合2人配置が必要、16人以上の場合一人増すごとに0.2人配置が必要になりますので定員が18人で4人の介護スタッフが必要。
看護職員:サービス提供時間に応じて一人配置が必要。訪問看護ステーションとの連携も可能。
機能訓練士:1名以上配置が必要。
管理者:原則専従常勤で1名。

地域密着型通所介護と通所介護の違い

「通所介護事業所との違いは何?」と思われる方も多いと思います。同じ通所介護でも、人数や利用可能な地域や費用が違います。

人数:通所介護事業所では20人以上の利用者が利用可能です。地域密着型通所介護では、狭いスペースでも運営ができるので、民家を改装している事業所もあります。

利用可能な地域:通所介護事業所では、利用者の居宅地域に関係なく利用できますので、事業所から離れている地域の方でも介護サービスを受けられます。地域密着型介護事業所では、市町村が地域の実態を把握して、現状に合わせて介護事業所の整備が可能です。

費用:通所介護事業所は、地域密着型介護事業所の料金より少し安くなっています。

地域密着型通所介護で受けられるサービス

地域密着型通所介護では、朝から夕方まで食事・排泄入浴の介護を受けられます。他にも、機能訓練やリハビリ、レクリエーション活動ができます。

栄養バランスが整った食事を摂り、日常生活動作に合わせたリハビリを受けることで、機能向上や生活の質の向上を期待することができます。また、利用者の気分転換や家族の介護負担を軽減することも目的にあります。

地域密着型通所介護のメリット

住み慣れた地域で介護サービスを受けられるので「最後まで住み慣れた我が家で過ごしたい。」という希望にこたえられます。

利用する方は、同じ地域の方や決まっている利用者同士で関わることができるので、利用者同士が仲良くなり、顔なじみの方と過ごすことは認知症の進行を抑えることにもつながります。少人数利用なので、より一人一人に合わせたケアを提供できます。

かかる費用は要介護ごと

地域密着型通所介護では、介護度ごとに料金が変わり、介護保険によって自己負担金が1割負担になります。また、介護サービス提供加算や施設の種類・体制、利用者の家族の所得によって自己負担金額は変わりますので確認しましょう。

利用料金例(8時間利用の場合)
要介護1  768円
要介護2  908円
要介護3  1,055円
要介護4  1,197円
要介護5  1,339円

地域密着型通所介護の利用の流れ

地域密着型通所介護の施設を利用するには、施設との契約の前にケアマネージャーに相談する必要があります。また、見学や体験利用をしないと分からないことが多いので、すぐに利用することはできません。

この章では、地域密着型通所介護の利用開始までの流れについて解説します。

ケアマネージャーか、地域包括支援センターに相談

施設に連絡を取る前に必ずケアマネージャーに相談しましょう。介護施設では、ケアマネージャーが作成するケアプランによって個人に合わせたケアを提供しています。最初に担当のケアマネージャーに通所介護事業所を利用したいことを伝えましょう。その後ケアプランや介護保険についてケアマネージャーから説明があります。

ケアマネージャーから通所介護施設を紹介される場合もありますが、自分で探すこともできます。

空き状況の確認

続いては、地域密着型通所介護の空き状況を調べましょう。利用したい地域密着型通所介護の施設に電話をするのがおすすめです。平日であれば、生活相談員や施設長が出勤していることが多いので、見学・体験の申し込みをしやすいでしょう。

利用を決める前には見学・体験を行い、施設の雰囲気を知りましょう。その際、

  • 施設内の掃除は行き届いているか?
  • スタッフは明るく挨拶をしてくれるか?
  • 利用者様は楽しんでいるか?(レクリエーションや体操などの活動を行っている時間を前もって確認しましょう。)

これら3点を確認しておくことが重要です。

事業所に利用申し込み

見学・体験をして納得した場合は、いよいよ利用申し込みとなります。この時には、介護保険証や印鑑など準備すべきものがあります。なるべく早く利用開始したい場合には、必要な書類を揃えてから利用申し込みをしましょう。また、その地域に住んでいることが条件となっていますので住民票のコピーも忘れずに用意しましょう。

見学後、日にちを空けて家族で考えてから利用を決めるたり、一つだけでなく様々な通所介護事業所を見学したりすることをおすすめします。

事業所と契約

契約する前に利用料金の確認を行いましょう。利用日数によっても月額の料金が変わりますので、施設と契約する前に、ケアマネージャーと利用日数や月々の自己負担金額について説明を聞きましょう。

ケアプランの作成

ケアマネージャーがケアプランの作成をします。利用者本人の身体状況や生活に合わせて、施設の利用日数、提供する介護サービスについて考えたプランですので、一人一人支援は異なり本人に最適なものとなってます。このケアプランに合わせて地域密着型通所介護の施設ではケアが行われます。

本人の状態や日中の生活にあわせて、生活の質を向上することを目標に、ケアプランは随時変更されていきます。できることを増やすための計画というわけです。

まとめ

地域密着型通所介護は、介護事業所ののある地域住民を対象とした通所介護施設です。「住み慣れた街で最後まで生活したい」という利用者様本人の意見を尊重することができます。

利用する方は、同じ地域の方、決まっている利用者同士で関わることができるので、利用者同士が仲良くなり、顔なじみの方と過ごすことは認知症の進行を抑えることにも繋がります。

利用したい場合は、まずはケアマネージャーまたは地域包括支援センターに相談しましょう。

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