介護保険の限度額はいくら?オーバーした場合や認定証についても紹介

2023.11.09

介護保険は、介護が必要な方に費用の一部を給付する公的な社会保険です。介護保険では、様々なサービスが利用できますが、介護度に応じて支払限度額が決まっています。この記事では、要介護別の介護保険限度額を紹介していきます。

支払限度額をオーバーした場合や、費用の減免を受けられる介護保険負担限度額認定証などについてもまとめました。高額な費用負担にならないよう、限度額について理解を深めておきましょう。

要介護別の介護保険限度額

介護保険は、月に使えるサービスの限度額が要介護別に単位数として決められています。限度額内でサービスを利用すれば、利用者の自己負担は1~3割、超えてしまった分は10割負担となってしまうので、注意が必要です。

要介護別の介護保険限度額を知り、高額な介護費用にならないよう気を付けましょう。

要支援1・2

介護保険の限度額は、単位で設定されています。要支援1と2の限度額の単位数は下記の通りです。

  • 要支援1:5,032単位
  • 要支援2:10,531単位

1カ月における上限額を計算する場合、1単位の金額は地域やサービスで異なります。仮に1単位10円で計算した場合、上限額の目安は要支援1で約50,320円、要支援2で約105,310円です。自己負担分の限度額は、1~3割でそれぞれ下記のようになります。

・要支援1:【1割】約5,032円【2割】約10,064円【3割】約15,096円
・要支援2:【1割】約10,531円【2割】約21,062円【3割】約31,593円

要介護1~5

要介護1~5の限度額の単位数、及び上限額の目安は以下の通りです。(1単位10円で計算した場合)

  • 要介護1:【限度額】16,765単位【上限額】約167,650円
  • 要介護2:     19,705単位     約197,050円
  • 要介護3:     27,048単位     約270,480円
  • 要介護4:     30,938単位     約309,380円
  • 要介護5:     36,217単位     約36,2170円

また、自己負担分の限度額は、1~3割でそれぞれ下記の通りです。

  • 要介護1:【1割】約16,765円【2割】約33,530円【3割】約50,295円
  • 要介護2:   約19,705円    約39,410円   約59,115円
  • 要介護3:   約27,048円    約54,096円   約81,144円
  • 要介護4:   約30,938円    約61,876円   約92,814円
  • 要介護5:   約36,217円    約72,434円   約108,651円

支払限度額をオーバーしたら?

介護保険の支給限度額をオーバーした分は、全額自己負担です。また、オーバーした単位にかかる処遇改善加算などの加算も10割負担です。限度額内の費用は1~3割の負担ですから、オーバーすると一気に高額な支払いとなります。

介護保険の限度額がオーバーしそうな場合は、現在の要介護度が利用者の状態に合っていないのかもしれません。ケアマネージャーに、要介護度の区分変更申請をするべきかご相談ください。ただし、すでに限度額をオーバーしてしまった分は、必ず払う必要があります。

介護保険の限度額をオーバーしないよう、ケアマネージャーに相談しながらサービスを利用しましょう。

介護保険負担限度額認定証とは?

介護保険負担限度額認定証とは、介護保険負担限度額認定制度の対象者に発行される証明書です。対象施設を利用する際に、食費・居住費の負担が軽減されます。一般的に、介護保険施設に入所した際の食費や居住費は、全額自己負担です。介護保険負担限度額認定証では、4段階に分けて食費と居住費の費用を軽減します。

対象の介護保険施設やショートステイの自己負担額を抑えられるので、メリットは大きいと言えるでしょう。

介護保険負担限度額認定証の有効期限は1年間です。毎年必ず申請する必要がありますので、忘れないようご注意ください。

介護保険負担の減免を受けられる要件

介護保険負担限度額認定証を利用すれば、介護負担の減免が受けられます。しかし、認定証の発行には所得や預貯金等による要件をクリアしなくてはなりません。

2つの要件について、詳しく紹介します。当てはまる場合はぜひ減免措置を利用しましょう。ただし、市区町村によって要件は異なる場合があります。一度お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。

所得による要件

所得による要件は、本人を含む世帯全員が住民税非課税であることです。それに加え、負担限度額の第1~3段階ごとに、所得の条件が決められています。

  • 第1段階:老齢福祉年金受給者や生活保護受給者
  • 第2段階:本人の合計所得金額と年金収入額との合計が、年間80万円以下
  • 第3段階(1):本人の合計所得金額と年金収入額との合計が、年間80万円超120万円以下
  • 第3段階(2):本人の合計所得金額と年金収入額との合計が、年間120万円超

※第3段階も共通して、年金には障害年金や遺族年金といった非課税年金も含む

世帯とは、世帯分離や別居、内縁関係も含まれますのでご注意ください。また、いずれにも当てはまらない住民税課税世帯は、第4段階とされ減免は受けられません。

預貯金等による要件

介護保険負担限度額認定証は、所得と預貯金による要件を満たさなくては交付されません。預貯金に該当する資産は、以下の通りです。

  • 預貯金(定期・普通)
  • 投資信託
  • 金・銀(積立購入を含む)などの貴金属
  • 現金
  • 有価証券(株式、地方税、国債、社債など)

負債(住宅ローンや借入金など)がある場合は、預貯金などの合計金額から差し引かれます。負担限度額の段階ごと預貯金額は、以下の通りです。

  • 第1段階:単身は1,000万円以下、夫婦は2,000万円以下
  • 第2段階:単身は650万円以下、夫婦は1,650万円以下
  • 第3段階(1):単身は550万円以下、夫婦は1,550万円以下
  • 第3段階(2):単身は500万円以下、夫婦は1,500万円以下

負担軽減の対象施設

介護保険負担限度額認定証による負担軽減は、対象施設が決まっています。以下の施設が対象です。

  • 介護老人福祉施設:「特養」とも呼ばれ、要介護3以上の方が対象。24時間の介護体制があり、看取りまで行う施設も多いのが特徴です。また、公的施設では比較的利用料が安価なため、入所の順番待ちが発生している場合もあります。
  • 介護療養型医療施設(介護医療院):医療的処置やリハビリを受けられる施設です。介護療養型医療施設は2017年度末で廃止。2024年3月末までの期間を経て、介護医療院に移行されます。
  • 介護老人保健施設:「老健」とも呼ばれる、リハビリによる在宅復帰を目的とした施設。基本的に3~6ヶ月期間の短期入所となります。
  • 短期入所生活介護:ショートステイと呼ばれ、連続30日までの短期宿泊サービス。食事や排泄、入浴などの生活介護や機能訓練、レクリエーションなどが受けられます。
  • 短期入所療養介護:医療型ショートステイ。食事や排泄、入浴などの生活介護に加え、医療的ケアやリハビリも受けられます。
  • 地域密着型介護老人福祉施設:入所定員が29人以下の特別養護老人ホーム。要介護3以上の方が対象です。自治体ごとにサービスが異なるため、事前にご確認ください。

介護保険負担限度額認定証の申請方法

介護保険負担限度額認定制度を利用するには、介護保険負担限度額認定証が必要です。介護保険負担限度額認定証の申請方法を紹介します。必要な書類や、窓口への提出方法をまとめました。

発行の対象となれば、毎月の介護費用を抑えられます。事前に方法を知ってスムーズに申請しましょう。

必要な書類を用意する

介護保険負担限度額認定証の申請をするためには、まず必要な書類を用意しましょう。必要書類の例は以下の通りです。

  • 介護保険負担限度額認定証申請書
  • 本人確認書類
  • 同意書
  • マイナンバーカードの番号確認書類
  • 本人および配偶者(いる人のみ)の預貯金等資産の分かる書類

介護保険負担限度額認定証申請書と同意書は、自治体のホームページからダウンロードできます。郵送での受け取りも可能です。同意書とは、申請者や金融機関等に対し、預貯金等の資産や課税状況について自治体に報告することに同意する書類です。

また、資産の対象は、預貯金や有価証券、住宅ローンなどがあります。直近2カ月以内の書類を添付しましょう。

必要書類は自治体によって異なります。お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

介護保険の担当窓口に提出する

必要書類が揃いましたら、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口に提出します。郵送でも可能です。現住所と違う自治体の介護保険施設に入居されている場合は、現住所(以前住んでいた地域)の自治体に提出します。

また、施設の職員が代理で申請してくれる場合もあります。一度施設の担当者にご相談ください。申請書類に不備が無ければ、およそ1週間で結果が自宅に郵送されます。第1~3段階いずれかに該当した場合は、介護保険負担限度額認定証を交付します。第4段階の場合は対象外のため、その旨が通知されます。

まとめ

介護保険の限度額は、要介護別に単位で定められています。1単位あたりの金額はサービスや地域によって異なりますので、ご確認ください。

支払限度額をオーバーした分は、全額自己負担になります。また、オーバーした単位にかかる処遇改善加算などの加算も10割負担です。介護保険負担限度額認定証を取得すると、対象施設を利用する際に食費・居住費の負担が軽減されます。

介護保険の限度額をオーバーすると、高額な支払いとなるため注意が必要です。記事を参考に限度額を把握し、無理のないようサービスをご利用ください。

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