介護保険証とは?受けられるサービス内容から申請方法まで解説

2023.11.20

本記事では、介護保険証がどのようなものなのかについて解説していきます。その名前の通り、介護サービスを受ける上においては必須のものとなっており、条件に合致している場合に交付される書類となっています。

介護保険証はどのような人に交付され、そしてどのような場面で利用するのかについて紹介するのでぜひ参考にしてみてください。

介護保険証とは?

介護保険証は、日本の介護保険制度において利用される重要な文書の一つです。介護保険は、高齢者や身体障害者など日常生活において支援が必要な人々を対象にした社会保険制度であり、その利用者が介護サービスを受ける際に必要な証明書となっています。

介護保険証には利用者の基本情報や介護サービスの利用に関する情報が記載されています。
これは、介護サービス提供者が利用者の身元を確認し適切なサービスを提供するために必要とされます。

介護保険証を交付される人

介護保険証を交付されるのは、65歳以上の人もしくは40歳以上65歳未満の医療保険加入者で要介護・要支援認定を受けた人です。この後それぞれ詳しく紹介しますが、前者を第1号被保険者、後者を第2号被保険者として扱っています。

介護保険証を取得すると、介護サービスを提供する機関や施設でその証を提示することで、介護サービスを受けるための手続きがスムーズになります。40歳を迎えると介護保険に加入しますが、すぐにすべての人に介護保険証が交付されるわけではありません。

第1号被保険者

第1号被保険者の介護保険証は、65歳の誕生月になると全員に交付されます。介護保険料の納付方法は、年金額によります。第1号被保険者は、原因を問わず要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを受けられます。介護保険料の支払いは基本的に年金からの天引きとなりますが、市区町村から発行される納付書で納める場合もあります。

寝たきりや認知症などで介護を必要とする「要介護」の認定を受けた状態であれば「介護給付」が、社会的に支援を必要とする状態の認定を受けた「要支援」状態であれば「予防給付」が提供されます。

第2号被保険者

第2号被保険者は、40歳から64歳までの医療保険加入者が該当しています。特定の疾病、初老期認知症や脳血管疾患などで介護認定を受けた場合に限りサービスを受けられます。

厚生労働省で1人あたりの介護保険料の負担率が設定されており、その負担率の通知に基づいて各健康保険組合などが被保険者の「標準報酬月額」によって算定し、決定しています。

保険料は、健康保険に加入している方は事業者と折半した金額を給与天引きで支払っています。国民健康保険加入者は、市区町村で計算された金額を口座振替や振込票などで支払います。

介護保険証を持っている人が受けられるサービス

このように、介護保険証を有している方はそれぞれで介護に関するサービスを受けられます。第1号と第2号で分けられているものの、基本的には保険証の効果は同一ですので受けられるサービスについても変わりありません。

ここからは具体的なサービス内容について紹介していきます。

在宅サービス

まずは在宅サービスです。その名の通り、被保険者の自宅内にて行われる介護サービスを指します。介護保険制度は、できるだけ利用者が自宅で過ごすことを支援することを目的としています。そのため、在宅サービスが施設入所などの選択肢よりも優先されます。

在宅サービスは、利用者が自分の家庭環境で暮らし続けることを可能にするため、心理的な安定や生活の質の向上に寄与します。利用者の個別のニーズに合わせて柔軟に対応でき、介護保険制度では個別のケアプランが策定され、その計画に基づいて適切な在宅サービスが提供されます。

施設の利用

続いては施設の利用です。介護保険制度において、介護サービスは在宅での提供だけでなく施設での提供も対象とされています。介護保険証を有する人は、介護保険がカバーする範囲内で施設での介護サービスが受けられます。

利用者ごとに適切な介護サービスを提供するために、介護保険制度ではサービス利用計画が作成されます。この計画に基づいて、介護保険証を有する人が施設の利用を決定する際のガイドラインとなります。

施設サービス

もう1つが施設サービスです。在宅での支援から施設でのサービスまで様々な種類のサービスが含まれています。介護施設サービスもその一環であり、特に高齢者や障害者が生活するための施設で提供されるサービスが含まれます。

介護保険は公的な制度であり、サービスを受ける際の経済的な負担を軽減するためのものです。利用者はサービスを受ける際に一定の負担割合を負担しますが、公的な給付も受けられます。

施設サービスを提供する施設も、一定の基準や要件を満たす必要があります。介護保険証を有する人が施設サービスを利用する際には、基準に基づき必要なサービスが提供されます。

介護サービスを受けるための申請方法

このように、介護保険証を取得した方は適したサービスの利用が可能になります。ただ、実際にサービスを受けるためには申請を行う必要があります。基本的には判定などが行われる流れとなっていますので、最後に申請方法や流れについて解説していきます。

申請書類を記入

介護サービスを利用するには、申請書類の記入が必要です。サービスを提供する際には、利用者のニーズを正確に把握する必要があります。申請書類には、利用者の健康状態や日常生活の支援がどれだけ必要かといった情報を記入し提出することになります。

介護サービスは通常、予算に基づいて提供されます。申請書類には、利用者の状況や必要なケアに基づいて、どれだけの予算が必要かも示されます。また、利用者の状況に応じて優先順位が設定されます。利用者の状況や必要性に関する情報が含まれており、これを元に優先順位が付けられ最も必要なサービスが決定されるのです。

調査員による認定調査

続いて調査員による認定調査が行われます。認定調査は、利用者の現在の健康状態や日常生活動作の能力などを評価することで、介護の必要性を明らかにします。これによって、どの程度の介護が必要かを正確に把握し、どんなサービスを実施するのかを決定していきます。

個々の状況に応じて、

  • ヘルパーの訪問
  • デイケア
  • 施設入居

などの適切なサービスが提案されます。介護サービスの提供には法的な要件があります。認定調査はこれらの要件を満たし、公的な介護サービスを受けるための資格を取得する手段として機能します。

一次判定

一次判定は、介護保険制度に基づいて行われるもので、利用者が介護が必要かどうかを認定するプロセスです。介護保険制度に基づいて提供されるサービスの中では、その制度の適用対象者であるかどうかを確認するために行われます。

身体的・精神的な状態や日常生活動作の自立度などが評価され、必要な介護の程度が判定されます。一次判定によって、利用者に必要なサービスや支援の種類が明確になり、それに基づいて適切なプランが立てられます。

二次判定

二次判定は、利用者がどの程度介護が必要かを客観的に評価し、それに基づいて適切な介護サービスを決める段階です。個々の利用者の状態に応じて、必要な介護レベルや種類が異なるため、適切なサービスを提供するためには正確な評価が必要です。

最も必要とされる方に優先的にサービスを提供するための手段となります。保健・医療・福祉に関する5人程度の専門家によって行われます。この審査会で必要とされるのが、主治医意見書と訪問調査の際に調査員が手書きした特記事項です。

要介護認定

最後は、要介護認定です。高齢者や障がいを持つ人々が、必要な介護サービスを適切に受けるための判定事項の1つです。医師や専門の介護福祉士が、認知症や身体的な障がいなどに基づいて利用者の状態を詳細に評価し、介護の必要度を判定します。

要介護認定を受けることで、介護保険の利用資格が得られます。介護保険は、利用者が介護サービスを受けるための費用の一部を補助するものであり、要介護認定がないと利用できません。

要介護認定の申請は、自宅で自力での生活が難しくなったときや、病院を退院後の暮らしに不安を覚えたときに申請するケースが多いとされています。

まとめ

本記事では、介護保険証とはどのようなもので、受けられるサービス内容は何かなどについて解説しました。介護保険の要介護・要支援認定の申請をする際や、介護サービスを利用する際に必要となりますので、大切に保管しておく必要があります。

また、実際の介護サービスを利用するにあたっては様々な判定を受ける必要がありますので、事前にどんな手順を踏むのか覚えておきましょう。

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