血小板が多いとどうなる?考えられる疾患や水分との関係を解説!

2023.11.22

血小板とは、出血時に止血する働きをもつ生命維持に欠かせない血球です。しかし、多くなりすぎると脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす可能性があり危険です。

この記事では、血小板が多いとどうなるのか、血小板が多いと考えられる疾患や水分不足との関係についてまとめました。

血液の異常は、大きな疾患に繋がる可能性があり注意が必要です。血小板について理解を深め、あなた自身や身近な方の健康を守りましょう。

血小板とは?

血小板とは、赤血球や白血球と同じ血液成分の一つで、出血時に血液を固め止血する血球です。血管が破れ出血すると、血小板が傷口に集まります。血小板同士で粘着し、血栓を作り傷口を塞ぐのです。さらに、凝固成分を放出し、血栓を簡単には溶けない性質にして強力に止血します。いわゆる『かさぶた』と言われるものです。

血小板が急激に減少すると、止血できず大量出血が起きやすくなり危険です。皮下出血や、歯茎や鼻からの出血などの症状が現れます。重症化すると内臓からの大量出血が起きる可能性もあります。血小板は、生命の維持に必要不可欠なのです。

血小板が多くなる原因は?

血小板が多くなる原因には、炎症や腫瘍性血小板増加症などが考えられます。血小板は基準値に比べ減少と増加、どちらになっても危険です。多くなると血栓ができやすくなります。

血栓は脳梗塞や心筋梗塞の発症に繋がるため、血小板が多いと注意が必要です。血小板の数値を正常に保つためにも、多くなる原因について理解を深めましょう。

炎症がある

炎症があると、血小板が多くなります。炎症は、感染症やリウマチ、潰瘍性大腸炎などの病気により体内に放出されるサイトカインという物質が原因です。サイトカインは、血小板の前駆細胞である巨核球を刺激します。結果、血小板の生成が促進され、多くなるのです。

炎症が原因で血小板が多い場合、数値の上昇は比較的軽度で自覚症状も無いケースがほとんどです。しかし、炎症の原因となる病気の治療が必要とされます。炎症が収まれば血小板の増加も落ち着くでしょう。

血液を多く作っている

血液を多く作っている状態は、血小板が多くなる原因の一つです。血小板と赤血球は、共通の前駆細胞から作られます。そのため、手術や怪我で大量出血したり、貧血になったりして血液を多く作る際に赤血球と一緒に血小板も増加します。血小板が多い状態になるのです。

また、女性は月経により出血するため、生理周期に合わせて血小板が多くなる場合があります。いずれも、出血が収まれば血小板の数値が落ち着くケースがほとんどです。しかし、貧血がひどい場合などは他に大きな病気が潜んでいる可能性有り、出血の原因を突き止める必要があります。

腫瘍性血小板増加症

腫瘍性血小板増加症も、血小板が多くなる原因です。骨髄の中にある造血幹細胞では、血小板などの血球が作られます。造血幹細胞が異常な状態(腫瘍化)になると、血球が異常に増殖します。これが『骨髄増殖性腫瘍』と言われる病気です。

骨髄増殖性腫瘍の中で、血小板が特に増加するのが腫瘍性血小板増加症です。血小板数は100万を超える場合が多いと言われています。頭痛や視力低下、失神などの血管運動症状と、出血や血栓などの症状が現れる場合もあり、早期の受診・治療が必要です。

血小板が多いと考えられる疾患

血小板が多いと考えられる疾患には、本態性血小板血症や慢性骨髄性白血病などがあります。この章では、4つの疾患を紹介します。

自覚症状を感じにくい疾患が多く、ほとんどが健康診断などの血液検査で発見されます。もしも血小板が急激に増加していたら、早期に受診しましょう。

本態性血小板血症

血小板が多いと考えられる疾患の一つ目は、本態性血小板血症です。血球を作る造血幹細胞自体ががんになる疾患で、血小板の細胞にも異常が起き増殖します。

初期は自覚症状が少なく、血液検査で血小板の増加や血栓を確認することで発見される疾患です。血栓ができやすくなり、合併症を発症する可能性があります。考えられる合併症は下記の病気などです。

  • 心筋梗塞
  • 脳梗塞
  • 脳出血

本態性血小板血症は、早期の発見と治療が重要です。合併症に繋がるリスクを軽減できますので、定期的に血液検査を受けましょう。

慢性骨髄性白血病

血小板が多いと考えられる疾患の二つ目は、慢性骨髄性白血病です。慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞に異常が起こって発症する疾患です。血小板や白血球、赤血球が無制限に増加します。特にがん化した白血球が急激に増加します。初期は自覚症状がほとんどないため、血液検査の結果で発病に気付く人が多いのが特徴です。

病状が進行すると、腹部の膨満感や胃の不快感などが起きます。動機や息切れ、鼻や歯茎からの出血がある場合は、さらに病状が進行している恐れがあります。健康診断の血液検査などで白血球が急激に増加している場合は、早めに受診しましょう。

真性多血症

真性多血症も、血小板が多いと考えられる疾患の一つです。50~60代の男性患者が多いと言われています。造血幹細胞に異常が起こり、赤血球が著しく増加するのが特徴で、多くの場合白血球や血小板も増加します。

自覚症状は頭痛やめまい、耳鳴りなどです。目の充血や赤ら顏なども見られます。また、血液が濃くドロドロになるため血栓に注意が必要で、脳梗塞や心筋梗塞、肺塞栓症などの合併症が起きる恐れがあります。

初期は無症状な場合もあるため、血液検査で赤血球の数値が上昇している場合は早めに受診してください。

骨髄増殖性腫瘍

血小板が多いと考えられる疾患4つ目は、骨髄増殖性腫瘍です。これは血液のがんです。骨髄増殖性腫瘍とは、造血幹細胞の異常により血小板や赤血球、白血球などを過剰に増殖する疾患です。慢性骨髄性白血病や本態性血小板血症、真性多血症などが含まれます。

いずれの病気も、初期はあまり自覚症状がありません。進行すると急性白血病に移行する場合もあり、注意が必要です。また、骨髄増殖性腫瘍の一つである『原発性骨髄線維症』は、脾臓や肝臓が肥大化するのが特徴です。血小板などの数値上昇に加え、皮膚の痒みや倦怠感、体重減少などが現れます。本態性血小板血症や真性多血症に比べ、より命に関わる病気です。

骨髄増殖性腫瘍の早期発見のために、定期的に血液検査を受けましょう。

高齢者は水分不足に注意!

高齢者は水分不足に注意しましょう。血液の濃度が濃くなって血小板が多い状態になり、血栓ができやすくなります。また、脳梗塞や心筋梗塞を起こすリスクも高まるため、注意が必要です。

高齢者は、脱水症状を起こしやすいと言われています。意識して水を飲むようにしましょう。

意識して飲むことが重要

高齢者は、意識して水を飲むことが重要です。高齢者は体内の水分量が減っていたり、喉の渇きに気付きにくかったりするため、脱水症状を起こしやすくなります。

また、高齢になると血圧を下げる薬を服用される方も多いでしょう。降圧薬によっては利尿作用があり、体内の水分や塩分を排出しやすくします。結果、脱水症状を引き起こしてしまうのです。喉の渇きを感じなくても、意識して水分を摂取しましょう。

1日に必要な水分摂取量は、約1.5リットルです。1日数回に分けてこまめに飲みましょう。また、下記のように飲む時間を決めると飲み忘れを防げます。

  • 起床時
  • 毎食事
  • 食事と食事の合間(10時や15時)
  • 入浴前や後
  • 就寝前

脳梗塞や心筋梗塞も

高齢者は水分不足になると、脳梗塞や心筋梗塞を起こす恐れがあります。体内の水分が不足し、血液が濃くなることが原因です。血液が濃くなると血小板が多い状態になり、血液がドロドロになります。すると血流が悪化し、血栓ができやすくなるのです。

また、血管に血液内の汚れなどが付着し、血管が狭くなります。脳梗塞や心筋梗塞は、狭くなった血管に血栓が詰まり、血流が滞って発症するのです。水分不足は血小板の増加に繋がります。その結果、血栓で血管が詰まりやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞のリスクも上がるのです。水分摂取はしっかりと行いましょう。

まとめ

血小板とは、出血時に血液を固め止血する血球です。血小板が多くなる原因は、炎症や腫瘍性血小板増加症などです。また、本態性血小板血症や慢性骨髄性白血病などの疾患により、多い場合もあります。

特に高齢者は水分不足に要注意です。体内の水分が不足すると、血液の濃度が濃くなって血小板が多い状態になり、血栓ができやすくなります。脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まりますので、意識して水分を摂取しましょう。

血小板は重要な役割を持つ血球ですが、基準値より多いと重大な疾患が潜んでいる可能性があります。健康でいるために、血液検査をする際は血小板の数値に注意しましょう。

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