介護における口腔ケアの手順を解説!重要性やケアグッズの紹介も!

2023.11.29

今回は、口腔ケアについて初めての方にもわかりやすいように解説していきます。口腔内の清潔を保つ事は、病気を防いだり健康を維持することに有効です。デリケートな部位なので、ケアには知識と技術、そして心を込めた対応が求められます。

口腔ケアの基本から、寝たきりの高齢者の方など、全介助での口腔ケアにも対応できるように学んでいきましょう。

介護における口腔ケアとは?

口は、食事や呼吸をするときの入り口となる器官です。そのため、口腔内を常時清潔な状態を保つことは、健康的な生活を送ることにつながります。介護の現場では、毎食後や必要に応じて口腔ケアをすることは、介護者に必要なスキルとなります。

口腔ケアの目的

口腔ケアの目的は、要介護者の口腔内を健康な状態に保つことです。そのためには、歯磨きやうがいを習慣づけて清潔に保つことが大切にです。継続して口腔ケアを行うことで、食べることや話をすること、見た目をきれいに保つことなど、関連する能力を維持、向上できます。

可能であれば、看護職や介護職、歯科衛生士など専門職と連携して、目標を持って取り組むことでよりよいケアを提供できます。

口腔ケアの重要性

口腔ケアを怠ると、疾患を引き起こす要因になることがあります。口腔内の病気だけではなく、食物の残りかすやつばなどに含まれる細菌を肺に誤嚥することで、「誤嚥性肺炎」の原因になるといわれています。

また、歯周病を起こすことで原因菌が血液の循環で心臓に到達し、心臓の血管が炎症を起こす病気があります。こういった疾患を予防するためにも、口腔ケアをしっかりと行うことが求められているのです。

介護における口腔ケアの手順を解説!

それでは、口腔ケアの手順を学んでいきましょう。口腔ケアは、基本的に毎食後の歯磨き、うがいを実施することになります。入れ歯や部分入れ歯がある場合は、入れ歯の洗浄も行います。要介護者の状態に応じて、対応する手順も変わってきます。

必要なものを準備する

一般的に口腔ケアをするにあたって準備しておくべき用品は次のとおりです。

  • コップまたは吸い飲み
  • ガーグルベース
  • タオルなど
  • 使い捨て手袋
  • 水こぼし対策として、エプロン

これらの道具は、今では百円均一の介護コーナーなどでも販売しているので、一度は目にされたことがあるのではないかと思います。コップは落としても割れないように、プラスチックなどの素材がよいでしょう。要介護者が自分で使用する場合は、持ちやすさも考慮しましょう。

吸い飲みは、ベッド上で口腔ケアをする際には必要になります。ガーグルベースとは、うがいをした口腔内の水を受ける際に使用します。タオルなどは、顔を拭く際に使用したりしますので、皮膚をいためないように柔らかい素材のものを選びます。

使い捨て手袋は、ケアの際には避けられない不潔な部分を扱うため、使い捨て手袋は便利です。使用後に廃棄することで手の清潔を保つことができます。

うがい

うがいを要介護者にしてもらう際の注意点やコツについてです。要介護者の状態によって対応が変わってきます。自立していて声掛けだけでうがいができる方であれば、見守りをしてしっかりうがいができているか、確認をするだけでもよいでしょう。

ベッド上で、なんとかうがいはできるが姿勢の保持を介護しなければいけない場合は、注意が必要になります。より安全にうがいをしていただくために、上体をしっかりと起こし、誤嚥を起こさないようにしましょう。

歯磨き

歯みがきについても、うがいの際と同様の注意が必要です。声掛けだけで歯みがきが可能な方であっても、十分に磨けていない場合があります。また、いつも同じ箇所を磨き残しする方もいらっしゃいます。

体の片側に麻痺があるなど障害があり、磨きにくい箇所がある場合は介助する必要があります。ベッド上で全介助の場合、要介護者の上体をしっかり起こし、あごをひきます。介助者は体を低くし、歯みがきを全介助します。

舌の掃除

舌の掃除の場合は、「舌ブラシ」という特別な器具を使用するのが効果的です。実物を手にした方もいらっしゃるかもしれませんが、舌を掃除するための専用の道具です。使い方は、要介護者に舌を前に軽く出してもらい、奥から手前にかき出すようにして舌の表面の掃除をします。

舌には「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる、舌の表面に付着する白い苔状のものがあります。舌苔が厚くなると、口臭が強くなったりしますので、無理がない程度にこそげ落とすようにして、舌の掃除をします。

口腔清拭

口腔内は複雑な構造をしているため、食べ残しが口内に残っていたりうまく磨けない部分があります。特に、介護度の高い方などは口内清拭を行うことが多くなりますので、方法について説明します。

口腔前庭部(唇と歯ぐきの間)には、食べ物の残渣物が残っていることが多くあります。そこで、スポンジブラシなど口内清掃用の道具を使用して、口内の奥から手前にかき出すように清拭を行います

義歯の掃除

義歯の掃除は、要介護者の方が自分で洗うことが可能であれば、口腔ケアのたびに義歯を歯ブラシなどで掃除をしていただきます。歯磨き粉は必要ありません。全介助で行う場合は、必要であれば食前に義歯を洗います。食後も、食事の際についた汚れを掃除して、口腔ケアの後再び口内に装着していただきます。

また、入れ歯をつけていない夜間などは、定期的に義歯洗浄剤につけ置きしておくことで、入れ歯の清潔を保つことができます。注意点としては、洗浄する際にあまり強くこすらないことがあげられます。

唾液腺のマッサージ

唾液腺のマッサージは、食前に行われることが多いです。これは、食事をする前に唾液をでやすくすることで、快適に食事をするためです。高齢になると唾液が出にくくなるため、マッサージをして刺激を与えます。

唾液腺マッサージは、イラストなどを参照しながら行うことをおすすめします。基本的には、耳下腺から顎下腺、舌下腺への刺激を手で行います。唾液のでるツボがありますので、その部分を揉むようにして刺激を与え、唾液の分泌を促します。

口腔ケアにおすすめのグッズ

口腔ケアにおすすめのグッズとして標準的なのは、スポンジブラシです。これは、口内清拭や舌の掃除にも使えます。水で洗いながら何度も口内清掃ができます。ほかには、先ほどご紹介した舌ブラシは、効果的に舌の掃除ができるのでおすすめです。

歯間ブラシも、歯と歯の間の隙間が大きくて食べ物の残りかすが残りやすい方であれば、便利に使うことができるでしょう。道具の使用に当たっては、歯科衛生士などの専門職に使い方を相談した上で購入し、使用することをおすすめします。

まとめ

口腔ケアに使用する道具や、口腔ケアの方法、唾液腺マッサージなどについて説明いたしました。実際に口腔ケアを実施するときには、思ったように口腔内の清拭をさせてくれない要介護もいらっしゃるかもしれません。

すぐに理想的な口腔ケアができなくても、要介護者へしっかりと声掛けを行い、お互いの信頼関係を築いていくことが大切です。

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