中高年が気を付けたいサルコペニアとは?診断基準や予防方法を解説

2023.12.11

健康に気を遣っている方は、サルコペニアという言葉を聞いたことがあると思います。最近、健康番組や雑誌で取り上げられており、注目されています。

今回は、「サルコペニア」についてわかりやすく、診断基準や予防方法を解説していきます。

サルコペニアとは?

サルコペニアは、主に加齢に伴って筋肉量が減少する状態を指す医学的な用語です。この現象は、骨格筋量や筋力が低下することによっておこります。サルコペニアは健康問題と関連しており、高齢者の健康管理において注目されています。

サルコペニアの特徴

  1. 筋肉量の減少:骨格筋の量が低下し筋肉量が減少します。これにより筋力低下を起こします。
  2. 身体機能の低下:筋肉量や筋力の減少に伴い、歩行能力や日常生活動作に影響を及ぼします。
  3. 転倒リスクの増加:サルコペニアは転倒しやすくなり、骨折などのリスクが増加します。
  4. 代謝異常:筋肉はエネルギーの消費源でもあり、筋肉量の減少は代謝異常を引き起こす可能性があります。
  5. 慢性疾患との関連:サルコペニアは慢性疾患や栄養不良、炎症性疾患などと関連があります。

サルコペニアの症状

サルコペニアの症状は、主に筋肉量や筋力の減少に起因するものです。

  1. 筋力の低下:筋力が低下し、日常生活動作の能力が減少します。
  2. 歩行能力の低下:歩行速度や歩行安定性が低下し、転倒リスクを高めます。
  3. 全身の疲労感:持久力が低下し、活動が続けにくくなります。
  4. 体重減少:筋肉量が減少し、体重が減少します。
  5. 骨折のリスク増加:筋肉量の減少は骨密度の低下とも関連しており、骨折のリスクが増加します。
  6. 代謝異常:筋肉は基礎代謝に寄与するため、筋肉の減少は代謝異常を引き起こします。

サルコペニアの診断基準

サルコペニアの診断基準は、研究や専門家の組織によって異なることがあります。

  1. 筋肉量の減少:体組成分析を使用して、骨格筋量が基準値以下であることを確認します。
  2. 筋力の低下:握力測定や膝伸展力の測定など、特定の筋力試験で基準値以下の結果が得られた場合。
  3. 身体機能の低下:歩行速度の低下や、椅子から立ち上がる時間の延長など、身体機能の測定に基づく診断基準。

これらの基準はあくまで一般的な指標であり、診断は医師が患者の状態を総合的に評価した上で行います。

サルコペニアは自分でチェックできる!診断方法

サルコペニアを自分でチェックしたり、日常生活での変化でも気づくことができます。また、ふくらはぎを使った指輪っかテストや5回立ち座りテスト、開眼片脚立位テストで診断できます。

ふくらはぎを使った指輪っかテスト

サルコペニアは、ふくらはぎ周囲の長さを測る「指輪っかテスト」という簡単な検査法により自分でチェックすることができます。ふくらはぎの一番太い部分が、両手の親指と人差し指で作った輪よりも小さいか大きいかで判断します。

指輪っかより小さい → サルコペニアの可能性高い
指輪っかより大きい → サルコペニアの可能性が低い

指輪っかテストでは、体格に比例する手の大きさを用いることで、ふくらはぎの筋肉量を自己評価できます。メジャーなどで計測した場合は、ふくらはぎの一番太い部分の周囲長が男性で34cm未満、女性で 33cm未満がカットオフ値になります。

5回立ち座りテスト

  1. 胸の前で腕を組みます。
  2. できるだけ早く連続で5回椅子から立ち上がります。
  3. 立ち上がる時は膝をしっかり伸ばします。座る時はしっかりと座面にお尻をつけます。
  4. 椅子に座った状態から5回目に立った状態が完成したところまでの時間を計測します。

カットオフ値は12秒です。12秒以上は転倒するリスクが増加し、サルコペニアの判定基準になります。

開眼片脚立位テスト

  1. 目を開いて前方を見て、裸足になって立つ
  2. 両手を腰にあてる
  3. 片足を5cmほど上げて、そのままの状態を15秒以上キープする

片脚立位時間が1分間 → サルコペニアの可能性は低い
片脚立位時間が15秒未満 → 注意
片脚立位時間が8秒以下→ 要注意
キープ時間が短いほど、サルコペニアの可能性が高くなります。

5回立ち座りテスト

  1. 胸の前で腕を組みます。
  2. できるだけ早く連続で5回椅子から立ち上がります。
  3. 上がる時は膝をしっかり伸ばします。座る時はしっかりと座面にお尻をつけます。
  4. 椅子に座った状態から5回目に立った状態が完成したところまでの時間を計測します。

カットオフ値は12秒です。12秒以上は転倒するリスクが増加し、サルコペニアの判定基準になります。

サルコペニアにならないための予防方法

サルコペニアにならないための予防方法は、適切な栄養と運動、バランスの取れた生活が重要です。医師のアドバイスを取り入れつつ、積極的な健康習慣を維持しましょう。

タンパク質・アミノ酸の摂取

サルコペニア予防には、タンパク質・アミノ酸の摂取が重要です。タンパク質は筋肉の主要な構成要素であり、アミノ酸はその構築材料です。十分な摂取は筋肉合成を促進し、強度や機能を維持・向上させます。老齢や病気でサルコペニアのリスクが高い場合、特に重要です。

タンパク質がとれるもの:肉、魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆など)、乳製品、ナッツ類、種子類
アミノ酸が取れるもの:上記のタンパク質源に加え、アミノ酸は各種野菜や穀物、果物にも含まれています。

運動をする

サルコペニア予防には、抵抗運動と有酸素運動が必要です。

抵抗運動では、筋力トレーニングを週に2~3回行い、大きな負荷(自重、ダンベル)を使用します。有酸素運動では、週に150分以上の中程度の運動が推奨されます。運動の開始前には医師のアドバイスを受け、無理なく安全な範囲で行うことが重要です。

禁酒・節酒、禁煙をする

サルコペニア予防には、禁酒・節酒、禁煙が重要です。アルコールや喫煙は筋肉合成を妨げ、骨密度低下を招く可能性があります。

健康的な生活習慣は、筋力維持や全身健康の向上に寄与し、老化に伴う筋肉減少のリスクを低減します。また、健康的な生活習慣は、病気に対する抵抗力の向上にも役立ちます。禁酒・節酒、禁煙といった健康的な生活態度はサルコペニアのリスクを低減する一助になります。

まとめ

サルコペニアの診断基準や特徴、症状を解説しました。また、サルコペニアの予防方法についてもお伝えしました。今回の知識がサルコペニアの予防だけでなく、健康で活気のある生活を送る一助になることを願っております。

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