日常生活自立度とは?判定基準や覚え方なども詳しく解説!

2023.12.25

「日常生活自立度ってよく目にしたり、聞いたりするけど何?」

「ADLとは何が違うの?」

日常生活自立度について、具体的にわからない方も多いのではないでしょうか。

今回は、日常生活自立度の意味や判断基準、覚え方について簡単に紹介します。

また、ADLとの違いについても解説していきます。

日常生活自立度とは?

日常生活自立度とは?

日常生活自立度とは、障害高齢者や認知症高齢者にどのような治療や介護が必要か判断するために厚生労働省が定めた指標です。

どのくらい自立した生活が送れているかを判定し、ランク分けしています。

 日常生活自立度とADLの違い

ADLとは、日常生活動作のことで食事や着替え・排泄や入浴など、日常生活に必要な基本的動作のことです。

日常生活自立度と同様、介護認定を受ける際に必要になる項目です。

日常生活自立度は障害や認知機能低下のある高齢者がどのくらい自立できており、介護が必要なのかを簡潔に把握するための評価ツールです。

ADLはより細かく生活動作に着目したものになっており、BIFIMといった評価ツールが利用されています。

日常生活自立度の種類

日常生活自立度の種類

日常生活自立度には「障害高齢者」「認知症高齢者」の2種類の判定方法があります。

障害高齢者に対しては4つのランク、認知症高齢者に対しては9つのランクに分かれています。

 障がい高齢者の日常生活自立度

障害高齢者の日常生活自立度は、地域や施設等の現場において、看護師や介護士などが使用しています。

何らかの障害を有する高齢者の日常生活の自立度を、客観的かつ短時間に判定することを目的として作成されました。

判定基準に際しては、「~をすることができる」といった「能力」の評価ではなく「状態」で評価するものです。

「生活自立」「準寝たきり」「寝たきり」の3つに区分され、「寝たきり」は、さらに2つのランクに分けられます。

 認知症高齢者の日常生活自立度

認知症高齢者の日常生活自立度も、前者の障害高齢者の日常生活自立度と同様に客観的かつ短時間で情報を共有するために作成・使用されています。

9つにランク分けされ、どのくらい介護が必要になるかの判断基準となります。

認知症高齢者に対しては、症状や行動から判断し、例えば、火の不始末は「ひどい物忘れ」に分類し「幻聴・幻視」「暴言・暴行」「不潔行為」「異食行動」などの行動は、特記記事として記載します。

日常生活自立度の判定基準を表を使って紹介

日常生活自立度の判定基準を表を使って紹介

上記で解説した通り日常生活自立度には、障害高齢者認知症高齢者の2種類があります。

一般財団法人日本公衆衛生協会が、障害高齢者と認知症高齢者の日常生活自立度の早見表を作成されていますので、確認してみてください。

 障がい高齢者の日常生活自立度のランク

障害高齢者の日常生活自立度のランクの覚え方を下記に示します。

ランクJ:日常生活自立、一人で外出可能
J1:公共交通機関利用可能
J2:近隣のみの外出

ランクA:日常生活自立、外出は介助必要
A1:介助があれば積極的に外出する
A2:介助があっても必要最低限しか外出しない

ランクB:1日の大半をベッドで過ごし、食事などはベッドから離れて実施可能
B1:移乗自立
B2:移乗介助

ランクC:1日中ベッドで生活
C1:寝返り可能
C2:寝返り不可

 認知症高齢者の日常生活自立度のランク

認知症高齢者の日常生活自立度のランクの覚え方を下記に示します。

ランクⅠ:なんらかの認知症があるが、自立で生活可能

ランクⅡ:日常生活に支障をきたす症状があるが誰かがいれば自立可能
Ⅱa:家庭外に症状(道に迷うなど)
Ⅱb:家庭内に症状(服薬管理できないなど)

ランクⅢ:日常生活に支障をきたす症状があり時々介助を要す
Ⅲa:日中中心に症状
Ⅲb:夜間中心に症状

ランクⅣ:日常生活に支障をきたす症状があり常に介助を要す

ランクM:日常生活に必要な意思疎通ができない

日常生活自立度判定を受けた高齢者が入れる施設

日常生活自立度判定を受けた高齢者が入れる施設

日常生活自立度判定を受けた後、要介護認定を取得することにより入居可能な施設があります。

例えば、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、有料老人ホームなどがあります。

 特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームとは自宅での生活が難しい高齢者を対象とした施設です。

必要な介護サービスと生活の場を提供する公的な施設で、費用は比較的安く、看取りの対応も可能です。

特別養護老人ホームの入居条件は65歳以上の高齢者、要介護3以上の方が対象です。

日常生活のほとんどの場面で介助が必要な状態で、認知症高齢者の日常生活自立度ではランクⅢ程度の方が該当します。

 サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅はサ高住とも呼ばれ、バリアフリーが完備された高齢者の住まいです。

入居すると、安否確認や生活相談のサービスが受けられます。

サ高住には介護型一般型の2種類があり、介護型は介護ケアを要する方を対象とし、一般型は自立した方が対象です。

認知症高齢者の場合は、一般型ではサービスが不十分に感じることもあります。

認知症高齢者の日常生活自立度がランクⅡ以上の方は介護型を選択するのがよいでしょう。

 グループホーム

グループホームは、掃除や洗濯、料理、生活に必要な作業を無理のない範囲で行いながら、5〜9名の入居者で共同生活を送ります。

認知症の症状の緩和や進行を遅らせる効果があると言われています。

入居条件は、65歳以上で要支援2もしくは要介護1以上の方、医師から認知症の診断を受けている方、施設と同じ地域に住民票がある方です。

グループホームでは認知症専門のスタッフが多くいるので、認知症高齢者の日常生活自立度が高い方でも安心して入所できます。

 有料老人ホーム

有料老人ホームには、「介護付き」「住宅型」「健康型」などがあります。

高齢者が心身ともに健康な生活を送るための支援(介護サービスや生活援助、バリアフリーなど)を受けることができる施設です。

介護が必要な方、認知症高齢者の日常生活自立度ランクⅡ以上の方は介護付き有料老人ホームがオススメです。

また、生活支援は受けたいが介護は必要ない方、認知症高齢者の日常生活自立度ランクⅠ程度の方は住宅型有料老人ホームがオススメです。

まとめ

まとめ

高齢者の日常生活自立度を理解することができたでしょうか。

障害者高齢者、認知症高齢者の日常生活自立度を知ることで、医療・介護業界間の簡潔な情報共有適した施設選びに役立てることができ、どの程度手伝いが必要なのかを把握することができます。

本記事が読者の知識向上に繋がり、日々の選択に役立つことを願っております。

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