特別養護老人ホーム(特養)をわかりやすく解説!費用や入所の条件も

2023.12.28

本記事では、特別養護老人ホームとはどのようなものかについて解説していきます。少子高齢化が進む中で、高齢者へのサービスの幅や種類も現在では豊富になりました。

利用できるサービスの内容を知る事によって適切な介護にもつながりますので、是非本記事を参考にしてみてください。

特別養護老人ホーム(特養)とは?

特別養護老人ホームは、高齢者や要介護者が専門の施設でケアやサポートを受けるための施設の一つです。特養と略されることもあり、民間運営の有料老人ホームなどに比べて低料金な点が魅力ですが、要介護3以上の方しか入居できないなど、条件が厳しく設定されています。

特別養護老人ホームは公的な介護施設にあたるため、老人福祉法によって定義付けされています。全国に8,500近く施設が存在しており、介護保険施設の中で最も数が多いです。

特別養護老人ホーム(特養)の特徴

特別養護老人ホームでは、入居者が日常生活において必要とする介護やケアが提供されます。これには、食事の支援、入浴の補助、排泄のサポート、医療管理などが含まれます。多くの特別養護老人ホームでは、医療スタッフが配置され、入居者の健康管理や緊急時の対応が行われます。定期的な健康診断や医師の診察が行われることもあります。

特別養護老人ホームは、通常要介護度が高い高齢者や身体的なケアが必要な入居者を対象としています。そのため、専門的な介護スキルを持ったスタッフが配置されています。

特別養護老人ホーム(特養)の種類

特別養護老人ホームのタイプは「地域密着型特別養護老人ホーム」「地域サポート型特別養護老人ホーム」「広域型特別養護老人ホーム」の3つがあります。

一般的な特養とは広域型特養を指しており、ほかの特養のタイプと同様に医師や看護師、介護支援専門員や機能訓練指導員などが必ず配置されています。地域密着型特養は、定員が29人以下、原則として施設がある市区町村に居住している要介護3以上の方のみに利用が限定された施設です。

地域サポート型特養とは、在宅介護生活を送る地域高齢者の方々ができる限り長く在宅での自立した生活を送れるように、生活援助員が24時間・年中無休で見守りや援助を行う特養です。

特別養護老人ホーム(特養)の入所条件

65歳以上で要介護3以上の方、40歳~64歳で特定疾病が認められた要介護3以上の方、特例により入居が認められた要介護1~2の方という条件があります。ただし、実際の入居可否はケースごとに判断されているのが実情です。

条件を満たしていても、医療的ケアや24時間体制のサポートが必要な方は受け入れられないケースもあります。認知症で日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られることなど、要介護1又は2でも特例で適用されることもあります。

特別養護老人ホーム(特養)と他の施設との違いは?

特別養護老人ホームとはどのような施設なのか、種類や入居条件などについて解説してきました。

介護施設と言えば特養以外にもいろいろとありますが、それらと特別養護老人ホームとの違いにはどのようなものがあるのでしょうか?

介護老人保健施設との違い

高齢者で、身体的な介護が必要な方々が利用します。一般的には、日常生活動作の一部または全部を自分で行うことが難しい方々が対象です。これに対して介護老人保健施設は、高齢者で医療的なケアが必要な方が利用します。特に、病状が進行しているか看護やリハビリテーションが必要な方が対象です。

介護老人保健施設では医療的なケアが中心で、看護師や医師が配置されています。入所者の健康状態が要観察であり、専門的な医療が提供されます。

養護老人ホームとの違い

特別養護老人ホームの場合、主に要介護度が高く看護が必要な高齢者が利用する施設です。一般的に入居者の健康状態が著しく悪化しており、看護スタッフによる医療的なサポートが必要です。

対して養護老人ホームは、看護が必要な高齢者よりも、比較的健康で自立が難しい高齢者が主な利用者です。介護が必要ながらも、病院での入院が不要な場合に適しています。養護老人ホームでは医療的なケアも提供されますが、主に介護に焦点を当てており、日常生活の支援や生活全般のサポートが重要です。

有料老人ホームとの違い

有料老人ホームは、健康状態が比較的良好で、日常生活の自立が可能な高齢者が対象です。基本的な介護サービスも提供されますが、医療的なケアは特に重要ではありません。特別養護老人ホームでは医療的なケアが必要なため、看護師や医師が在籍し、病状のモニタリングや必要に応じた医療処置が行われます。

有料老人ホームの場合は基本的な健康管理や緊急時の対応が行われますが、専門的な医療ケアは一般的に提供されません。また、入居費用や利用料がかかりますが、特別養護老人ホームよりも相対的に費用が抑えられることがあります。

特別養護老人ホーム(特養)の費用

特別養護老人ホーム以外にも様々な施設があり、それぞれで介護度合いなどに違いがある事がお分かりいただけたかと思います。

ここからは、特別養護老人ホームを利用する場合の各種費用について紹介します。

賃料

賃料は居住費という形であらわされ、いわゆる「家賃」に相当する費用です。有料老人ホームにおいては、ベッドや家具などを自分で用意しなくてはなりませんが、特養はあらかじめ備品として用意されているのが特徴です。

施設形態などによっても異なる部分があり、例えば要介護3、ユニット型施設入所の場合には6万円前後となっています。多床室と呼ばれる場合の施設だと2万5千円ほどとなるなど、施設形態それぞれで金額が大きく違います。

食費・日常生活費

食費は1日3食分が含まれているため、「外出及び外泊によって昼食のみ停止した」などの場合でも1日分とみなし請求されます。こちらも居住費と同様要介護3、ユニット型施設入所だと4万円超といったところです。

食費に関しては、特別養護老人ホームの形態が別であってもほぼ同一となっているようで、多床室や従来型個室であっても提供回数などが変わらないのであれば基本的には変わりません。医療費、理美容、被服費、入場料などが発生するレクリエーション費、嗜好品などは日常生活費となり、1万円前後です。

施設介護サービス費

施設介護サービス費は介護を受けるための費用です。サービス費は要介護度などによって異なり、要介護度が高くなるほど、高額に設定されています。1か月間の費用は要介護段階によって分けられており、例えば要介護1で多床室タイプの場合は1万7千円です。

ユニット型個室の場合には1万9千円とそこまで大きな差はありません。要介護が4になると、多床室で2万3千円、ユニット型で2万5千円となり、要介護5では多床室2万5千円、ユニット型は2万7千円です。

介護サービス加算

施設の設備や職員の体制、施設で対応する処置やサービスなどに応じて基本料に加算される施設介護サービス費を介護サービス加算と呼びます。

施設によって加算徴収内容は異なりますが、加算が多いほど手厚い人員配置やサービスを行っていると考えてもよいでしょう。例えば、入所後30日まで加算される初期加算、介護福祉士の配置割合や勤続年数に応じて加算されるサービス提供体制強化加算など様々な種類があります。

額としてはそこまで高い訳ではなく、要介護3でユニット型の場合は1,500円前後です。

まとめ

本記事では、特別養護老人ホームがどのような施設なのか、種類ごとの違いや費用などについて紹介しました。

特別養護老人ホームは高齢者が適切な医療とケアを受けられる場であり、専門のスタッフが健康状態のモニタリングや医療的ニーズに対応します。介護のことを考えるうえでも、利用できるサービスの1つとして参考にしてみてください。

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