本記事では、介護費用が払えなくなってしまった時の対処法などを解説していきます。継続的に費用がかかる介護ですから、事前に対策を知っておくことは非常に大切です。介護費用に関して困っている方や気になっている方は、今回の記事を参考にしてみてください。
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多くの国や地域では、公的な介護保険が提供されています。被保険者に介護が必要とされ一定の条件を満たす場合、公的な介護保険から一部または全部の費用が支給されます。
介護保険には要介護認定が必要な場合があります。介護サービスを受ける際、被介護者や家族は一部の費用を自己負担することが求められることがあります。これは所得や資産に基づいて計算され、能力に応じた負担を意味します。
サービス付き高齢者向け住宅の平均利用料金総額は毎月約14万円と、決して安い金額ではありません。
介護費用に関しては、継続的に支払いが必要である以上難しくなってしまうタイミングもあるでしょう。もしも費用が払えなくなってしまった場合、すぐに介護施設を利用できなくなってしまうのかというと、そうではありません。
介護施設の月額費用を払わなかった場合、すぐに強制退去となるのではありません。施設によって異なりますが、数ヵ月の猶予期間が定められていることが多いです。入居時に受け取った契約書や入居規則などに、猶予期間についても記載されています。万一の際に備えるためにも、事前に確認しておきましょう。
具体的には、3~6ヶ月程度の猶予期間が設けられ、猶予期間が経過した場合は契約解除が予告され、その後に強制退去を求められます。
入居者本人が介護施設の費用を支払えない場合は、施設側が身元引受人や連帯保証人に滞納分の支払いを請求することになります。支払えずに滞納していることを、事前に身元保証人や連帯保証人に伝えておくと、身元保証人や連帯保証人が対処しやすくなるでしょう。
身元引受人や連帯保証人が滞納分を全額支払うと滞納は解消しますが、身元引受人や連帯保証人も払えない場合は、滞納状態が続きます。なお、身元引受人は配偶者や子になることが一般的です。
このように、介護費用を払えなくなったからと言ってすぐに施設を利用できなくなるわけではありません。とはいえ、猶予などがあるとはいっても払えない状態が続くと退去することになってしまいかねません。
ここからは対処法についていくつか解説していきます。
施設の職員は、地域の公的支援プログラムや制度について豊富な情報を持っています。彼らは患者や利用者が利用できる福祉や補助金についての知識を提供できます。支払いの猶予期間についてだけでなく、より安い費用で利用できるサービス内容に変更するなどの対応策を教えてもらえるかもしれません。
日頃から接する機会が多い施設職員なら、入居者個々の状況にあわせた対応策も提案してもらえるでしょう。適切な支援を受けながら、患者や利用者が安心して施設サービスを利用できるようになるためにもまずは相談しましょう。
介護費用が払えない場合、ケアマネージャーに相談することは重要です。ケアマネージャーは、利用者の状況に合わせて費用負担を軽減するための提案を行います。例えば、低所得者向けのサービスや割引制度、補助金の利用など、様々な選択肢が存在するかもしれません。
特に費用負担が少ない施設への転居を検討している場合は、ケアマネジャーに相談しましょう。入居の条件を満たしているか、また、定員に空きがあるかどうかを調べてもらえます。
先述しましたが、介護費用が払えない場合費用が安い施設に転居することは一つの選択肢となります。毎月の施設費用が安くなると負担も軽減されます。ケアマネジャーに相談し、費用が安い施設に転居できるかどうか調べてもらいましょう。
一般的に、民間の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅よりも、公的施設である特別養護老人ホームや介護老人保険施設の方が費用が安い傾向にあります。費用が安い施設は、軽度の介護が必要な方に適している場合があります。つまり、本人の状態に応じた最適なケアを受けやすいことがあります。
施設入居に比べて、在宅介護の方が一般的に費用が抑えられることがあります。介護施設にかかる費用は高額であり、在宅介護ではその一部を節約できる可能性があります。多くの人が自分の生活を自宅で継続したいと望むでしょう。在宅介護は患者の希望や意向を尊重し、できるだけ自立した生活を送る支援が可能です。
ただし、場合によっては介護用ベッドや車椅子、介護リフォーム費用などの初期費用がかかることもあります。様々な課題や責任が伴うため、患者の状態やサポートが必要な範囲によって最適な介護形態を選択することが大切です。
公的な介護サービスや制度を利用することで、介護費用の一部または全額を補助してもらえる可能性があります。これにより、家計の負担が軽減され、介護がより持続可能なものとなります。特に、低所得世帯や高齢者世帯、障害者世帯に該当する場合は、生活福祉資金貸付制度を利用できることがあります。
生活福祉資金貸付制度では、介護用品の購入費用や生活一時金を借りることができます。市区町村役場で相談してみましょう。所得や資産が一定以下の場合は、補足給付として特定入所者介護サービス費なども利用できる可能性があります。
このように、介護費用が現在払えなかったとしても、利用できる制度や対策については複数存在しています。そのような中で、発生する介護費用を抑え減免できる制度もありますので、そちらも紹介していきましょう。
高額介護サービス費は、介護が必要な高齢者が、通常の介護保険サービスだけでは不足する場合に利用できるサービスです。
例えば、重度の認知症や寝たきり状態など、通常の介護サービスでは対応できない状況にある高齢者が該当します。特殊な医療機器や福祉用具の導入・利用にかかる費用を補填するためにも利用されますが、通常収入や資産によって利用制限があるため、申請や審査が必要です。
高額医療・高額介護合算療養費制度は、医療と介護にかかる費用を合算し、支払いが困難な場合に一定の範囲で助成を受けることができる仕組みです。制度を利用することで、医療と介護の費用を合算して計算し、支払いが困難な場合に助成を受けることができます。
医療と介護の両面からのサポートを受けられ、高齢者や障がい者など、複数のケアが必要な場合に継続的かつ網羅的なサポートを得ることができます。
利用者負担軽減制度は、経済的に困難な家庭や高齢者に対して、介護サービスの利用にかかる負担を軽減するための制度です。利用者負担軽減制度は、経済的な状況に応じてサービス費用を軽減するため、公平性を確保します。経済的に弱い立場の人々も、必要な介護サービスを受ける機会を得られるようになります。
市町村が定めている条件に合致すれば制度を受けることができ、軽減対象者と認定されると市町村から「軽減確認証」が交付されます。
特定入所者介護サービス費は、高齢者や障害者の方が介護施設に入所する際にかかる費用の一部を補助する制度です。利用者や家族の経済的な負担を軽減するための支援制度で、介護施設にかかる費用は高額であり、これをサポートすることで家計の負担を減らすことができます。
特養費は、所得や資産の状況に基づいて算定され、必要な方々に適切なサポートを提供することが目的です。これにより、公平性が確保され必要なサービスを必要な方々が受けられるようになります。
具体的な制度や支援内容は国や地域によって異なるため、詳細な情報や要件については、所在地の介護保険事務所や自治体の窓口で確認することが重要です。
医療費控除は、所得税法に基づいて提供される控除の一つであり、介護費用に対しても一定の条件を満たす場合に利用することができます。医療費控除は、支払った医療費を一定の範囲で差し引くことができるため、経済的なサポートとなります。介護費用が負担となる場合、控除を受けることで一定の節約が期待できます。
医療費控除は、医療や介護に関連する広範な費用を対象としています。医療機関での診察費、医薬品代、看護師や介護士の給与、リハビリテーション費用などが含まれます。医療費控除を利用することで、その負担を和らげ、介護を必要とする家族に必要な医療サービスを受けやすくなります。
介護施設の費用が支払えない場合、一定期間の猶予はあるものの、最終的には強制退去となる可能性があります。費用が支払えないときは、施設の職員やケアマネジャーに相談しましょう。介護費用に関わる公的制度の利用や、費用の安い公的介護施設への転居など、対応策が見つかるかもしれません。
対策は色々ありますので、利用できる制度があるか検討してみてください。