この記事では、なんらかの事情で施設入所を希望される高齢者の方に、軽費老人ホームとは、どういった施設なのか、入所する施設によって、受けられるサービスや費用に違いがあるのかといった疑問にお答えします。
軽費老人ホームという施設を知ることで、高齢者の方の様々な生活ニーズにひとつの選択肢を増やすお手伝いができれば幸いです。
目次
軽費老人ホームとは、身体機能の低下や、高齢により、自立した日常生活を営むことに不安があると認められ、また、 ご家族による援助を受けることが困難な高齢者の方を対象として、食事の提供や入浴、生活に関する相談援助を提供する施設です。
軽費老人ホームは、介護保険以外の高齢者サービスに位置づけられていましたが、近年は特定施設入居者生活介護の指定を受けて介護保険サービスを利用することのできる施設もあります。
軽費老人ホームには、A型、B型、ケアハウス(C型)の3種類があります。
種類が多いため覚えにくいですが、軽費老人ホームが最初に設置され、あとからケアハウスと名称を変えて設置されました。
提供されるサービスの違いで名称を使い分けています。
軽費老人ホームA型は、昭和38年に制度化されました。家庭環境や、住宅事情、経済状況などの理由があり、またご家族による援助を受けることが困難な方が入所することができます。
60歳以上の方を原則としていますが、夫婦での同居を希望される方であれば、どちらかが60歳以上であれば、入所することができます。
施設によっては、所得などの要件を設けている施設もあります。
2008年にケアハウスへの一元化の方針が示されました。
軽費老人ホームB型は、昭和46年に設置されました。軽費老人ホームA型から食事サービスを除いて、介護職員も配置されていません。
住居としての機能が主になっており、住宅施設のひとつとなっています。住宅政策の一環として設置された経緯があります。
2017年時点で日本全国に、14ヶ所しか存在していません。
現在は、経過的措置として存続しており、将来的には、ケアハウスとして一元化されるよう指針が示されています。
ケアハウスは、平成元年に制度化されました。身体機能の低下により日常生活を営むことに不安がある方であり、家族による援助が困難な方が対象の施設です。食事や入浴など、日常生活上必要な援助を受けることができます。
介護保険制度は、基本的に外部サービス利用となります。バリアフリー化など、介護サービスの受けやすい施設形態となっています。
また、施設が介護保険施設の指定を受けている場合、特別養護老人ホームなどと同等の介護サービスを施設内で提供しているところもあります。
施設を利用するに当たって必要となる費用ですが、一般社団法人全国軽費老人ホーム協会のウェブサイトに示されている参考価格を紹介いたします。
「軽費A型」・・・6〜17万円程度(食事代込み、利用者の収入によって異なる)
「軽費B型」3〜4万円程度(食事代を含む生活費はすべて実費)
「ケアハウス」6〜17万円程度(食事代込み、利用者の収入によって異なる)
また、ケアハウスの場合別に居住に要する費用(管理費)として、数千円〜3万円程度が月額として必要となる場合があるようです。
各自治体で異なるため、問い合わせの際に確認したほうがよいでしょう。
一般的に、介護施設といえば特別養護老人ホームや、グループホームなどが一般的であり、軽費老人ホームの利用について検討された方は少ないのではないでしょうか?
軽費老人ホーム(ケアハウス)は、自立した生活に不安があるが、比較的経度の介護が必要な方が入所するのに適した施設とも言えます。
軽費老人ホーム(ケアハウス)のメリットは、ほかの介護施設と比較して入所用件が厳しくないという所です。
年齢も60歳からですし、介護度による要件も一般的に、特に規定がありません(介護型ケアハウスを除く)。
つまり、食事や入浴など生活に必要な場面で、比較的軽度な支援を受けて生活が可能な方向けの入所施設と言えるでしょう。
高齢者の方の抱える生活課題は、千差万別であり、軽費老人ホームは多様なニーズに対応できる住居として、社会を支えるための重要な施設となっています。
軽費老人ホーム(ケアハウス)のデメリットは、常時介護を受けることができる職員体制でないため、介護が必要な状態になった場合、外部の介護保険サービスを利用することになります。
その場合、それまでの生活費用の月額とは別に、介護保険利用にかかる費用が加算されるため、当初の見積もりより、高額になる可能性があるということです。
特に高齢者の場合、思わぬ怪我や病気で一時的に生活が困難になり、介護が必要な状況になることが多いため、注意が必要です。
生活保護でも、軽費老人ホームへの入所は可能です。いろいろなケースがありますので、直接入所したい施設の担当者に問い合わせて、確認する必要があります。
施設によっては、自治体によっては、生活保護者が入所する要件と合わない場合もあります。
例えば、施設を利用するための費用が、著しく高額であったりする場合は、生活保護受給の要件に合わない場合もあります。
また、介護保険サービスの利用が必要な場合、生活費用の月額が高額になることも考えられるため、確認が必要となります。
入居方法ですが、各施設に、直接問い合わせをします。
施設のサービス内容や、必要な費用など、確認の上、市区町村の窓口や、地域包括支援センターで入所のための手続きを行います。
複数の軽費老人ホームの利用が考えられる場合は、それぞれについて、事前に施設の見学などを行って、利用される方が気に入られるかどうか、確認してから、本格的な入所の手続きを行うという事も考えられます。
まずは、気軽に施設に電話で相談されてから、資料を送ってもらったり、地域包括支援センターを介して、入所の相談するといったことも可能です。
ここまで、軽費老人ホーム(ケアハウス)の概要と、入所するための手続きまで説明をいたしました。
近年は、軽費老人ホームも、要支援や要介護の判定を受けて入所される方が多数を占めるようになってきました。
介護の需要が高まるにつれて、これまでの、「一般型」から、「介護型」ケアハウスへの移行が進んでおり、入所される方の生活課題に応じた施設を選ぶことができるようになってきています。