ケアプランとは?介護計画との違いやおすすめの文例を紹介

2024.02.06

この記事では、ケアプランについて、わかりやすく説明いたします。
ケアプランとは、一般に介護支援専門員が作成した介護保険の居宅サービス計画書になります。

また、それとは別に、ケアプランを基にした施設ごとの介護計画があります。

ケアプランとは?

 ケアプランとは、別名「居宅サービス計画書」と呼ばれています。
介護支援専門員によって作成された、要介護者が介護保険サービスを利用するに当たって、
必要な事項を記した書類です。

このケアプランを元に、必要な援助や、各種介護保険サービスなどが提供されることになります。

 ケアプランの目的

ケアプランを作成する目的ですが、まず要介護者(介護サービスを受ける方)にとって、
必要とされている生活の課題について、あきらかにすることです。

そのためには、アセスメントという手法を使って、要介護者が日常生活を円滑に送るには、
なにが必要なのかを明らかにします。

そして、なにが生活に必要なのか(これをニーズといいます)といった情報に基づいて、
必要なサービスの選択が行われます。

そして、要介護者、サービス提供事業者、ケアマネージャーが、チームとしての
支援目標を明確に記した書類がケアプランなのです。

 ケアプランの種類

ケアプランには、標準の書式があります。書式ごとに説明します。

 各サービス計画書は、第1表、第2表と呼ばれることもあります。

まず、第1票ですが、居宅サービス計画書(1)となります。
続いて、居宅サービス計画書(2)、第3表が、週間サービス計画表になります。
そして、第4表、サービス担当者会議の要点、第5表が、居宅介護支援経過となります。
第6表と第7表は、介護保険サービスの具体的なスケジュールや、点数を記した書類になります。

ケアプラン作成のおすすめの順番

ケアプラン作成のおすすめの順番です。先ほど、居宅サービス計画の第1表から
第7表まで紹介いたしました。
しかし、すぐに計画表の作成にとりかかるという訳ではありません。

 ケアプラン作成の前にまず、「アセスメント」という聞き取り調査を行っていることが
前提になります。こういった一連の聞き取り調査をすすめながら、
ケアプランの作成に取り掛かることになります。

聞き取り調査を通じて、要介護者の抱えている課題や、ご家族がどのような生活を
希望されているのかといった内容の理解をすすめていくことで、
どのような解決方法があるか、計画していきます。

そこで、まず理想の生活像を第1表に記します。

居宅サービス計画書(1)

居宅サービス計画書(1)には、利用者様の基本的な属性に当たる情報が記されています。
お名前、生年月日、介護度などです。
そして、ケアプランの有効期間や、介護認定の有効期間なども記されています。
それ以外の項目についても、どのような事を記していくのか、確認していきましょう。

 内容

「利用者および家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果」という項目には、
要介護者やご家族が、サービス支援を受けながらどのような生活をしたいのか、
という具体的な意向を記していく項目になります。

「介護認定審査会の意見及びサービスの種類の指定」は、介護保険証に特に記されている場合
記入する項目です。

 「総合的な援助の方針」には、課題解決のために、どのような援助を組み込んでいくのか、
チームケアの方針といった具体的な内容や、緊急連絡先などを記入します。

 ポイント・文例

居宅サービス計画書(1)での、記入のポイントについて記します。

「利用者および家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果」の欄には、
要介護者さまとご家族の要望や意向を記入します。

 記入のポイントは、面談した際に、要介護者の主訴を、実際に話をされた口調そのままの
話し言葉で記入するという事があげられます。

「総合的な援助の方針」の欄には、さまざまな援助や、介護保険サービスを利用するに当たって、
現在の生活上の困りごとがどのように解決されるのかという具体的な記述をします。

この記述を元にして、利用される介護支援サービス事業所との共通理解を図ることが
ポイントとしてあげられます。

例えば、「○○といった生活上の課題(ニーズ)を、○○という援助を通じて改善する」
と具体的に記すことが大切です。

居宅サービス計画書(2)

居宅サービス計画書(2)は、どのようなニーズがあるのかといった点を明確にしていくことが
ポイントになります。

ニーズの把握を明確にした上で、どのような生活像を目指しているのかといった、具体的な記述が必要となります。

 内容

 居宅サービス計画書(2)では、

①「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」
②「目標(長期目標・短期目標)」
③「(長期目標、短期目標の)期間」
④「サービス内容」
⑤「保険給付の対象になるのかどうかの区分」
⑥「サービス種別」
⑦「頻度」・「期間」
⑧「福祉用具貸与又は特定福祉用具販売のサービスを必要とする理由」
といった項目について記入します。

それぞれ、第1表の居宅サービス計画書(1)の「総合的な援助の方針」と連動しています。
第1表とのつながりを意識しながら、第2表である居宅サービス計画書(2)を作成します。

 ポイント・文例

ここでは、要介護者にどういった生活課題(ニーズ)があるのかについて明らかにします。

例として「自宅で入浴することが困難で、身体の清潔保持ができていない」という
生活課題があるとします。
この場合、要介護者が、どのような援助方法が適しているのかを分析します。

一例として、「歩行が困難になってきたため、浴槽の出入りが難しくなってきた」ということ
であれば、福祉用具によって解決するのか、人の手を借りないと自宅での入浴が難しいのか、
といった点で、提供するサービスも変わってくることになります。

週間サービス計画表

第3表の「週間サービス計画表」には、居宅サービス計画書(2)で定めたサービスを、
介護保険給付のあるなしにかかわらず、記載していきます。

その場合、援助内容の具体的な頻度と整合性があるのかを確認していきます。

 内容

週間サービス計画表を記す目的は、要介護者の一週間のサービス提供状況を、
スケジュール表にして確認することができるということです。
また、ほかにも個別に記すべき項目があります。

①主な日常生活上の活動
②週単位以外のサービス

①については、要介護者の一日の生活リズムの区切りとなる、「起床、就寝、食事、排泄、入浴」
といったポイントを押さえて記入します。
②については、福祉用具や住宅改修、医療機関への受診状況などを記します。

 ポイント・文例

居宅サービス計画第2表に記されている、課題解決のための援助項目を記していくことが
ポイントになります。

例えば、デイサービスを週に2回利用すると言うことであれば、何曜日、何時から何時まで
利用するのかをスケジュール表に記入します。

特に、要介護者の身体状況や、生活状況に応じて記すべきポイントがあることに留意しましょう。

たとえば、独居の方であれば、食事がどのように提供されているかというのは
重要なポイントになります。

この場合、お弁当の配食を受けていれば、何曜日にお弁当がくるのか、といったことは、
安否確認にもつながっており、重要な情報となりますので、記入する重要性が高いと言えます。

サービス担当者会議の要点

サービス担当者会議を開催した場合に、記載する事項になります。
また、開催に参加できなかった事業所については、会議に参加できなかった理由や照会の内容
についても記述します。

 定期的に開催される会議ですので、記載漏れのないように留意することが大切です。

 内容

項目別に記します。

①利用者名②生年月日③住所④居宅サービス計画作成者氏名
⑤開催日⑥開催場所⑦開催時間⑧開催回数
⑨会議出席者
⑩検討した項目⑪検討内容
⑫結論
⑬残された課題(次回の開催時期)

基本的な項目については、説明を省きます。
特に注意すべきところは、⑨の会議出席者になりますが、要介護者、ご家族、及びケアプランに
記載されているサービス提供事業者などが、主な出席者となります。

会議を招集するのはケアマネージャーの業務になりますが、スケジュール調整が困難なため、
全員が出席することも難しいことが多いようです。

 ポイント・文例

サービス担当者会議の要点については、開催すべき時期が定められています。
例えば介護保険証が更新され再発行された場合であったり、介護度が変更になった場合、
新しくサービスが追加になった場合などです。

開催すべき時期には早めに開催の招集をかけるように心がけることが大切です。
書類の記載については、要介護者の状況によって内容が多岐にわたります。

初回は、サービス提供事業者と、要介護者、ご家族でサービス内容について意見の
相違がないように確認をしていただくことが大切です。

定期的な開催では、提供されているサービスの評価を要介護者にしてもらうといったような、
他職種間での意見交換の場になります。

居宅介護支援経過

基本的に、月に1回のモニタリング(訪問聞き取り)を通じて、要介護者やその家族の
意向や満足度などを把握して、経過を記録していきます。

居宅介護支援サービスにおいては、月1回のモニタリングは必須となっており、
記録が欠かせません。

また、要介護者や家族から特に連絡があったり、記録すべき事象があった場合に記録を行います。

 内容

内容は、時系列で要介護者に関する事象について記していきます。必要な項目は次の通りです。

・日時、対応者、記載者
・利用者や家族の発言内容
・居宅サービス計画の「軽微な変更」の場合の根拠や判断

要介護者に関わる、日常的に起こった出来事を、日記のように記していきますが、
後日確認すべき必要が出たときに、読み返すことになりますし、サービスを提供する上で、
判断の根拠になる大切な情報になりますので、こまめに記入する必要があります。

 ポイント・文例

居宅介護支援経過を記載する際のポイントですが、後から読み返して誰が読んでも
理解しやすいように記載することが求められます。

・文章において、主語と述語を明確に記す
・わかりにくい専門用語を使わず平易な表現をこころがける
・曖昧な表現や、抽象的な表現は避ける
・箇条書きを活用していく

といったことが、記載する際のポイントになります。
メモをとりながら話し合いを行う会議とは違って、話を聞いたり、その場であったことを
あとから思い出しながら記述することも多いため、文章にするのが難しかったり、
あるいは、記載することを忘れたりすることもあります。その日起こった出来事は、
その日のうちに記す習慣をつけた方がよいでしょう。

まとめ

ケアプランを作成するに当たっては、データ連携システムを導入している事業所がほとんどです。

また、それまで事業所で蓄積されたケアプランの文例を参考にして、
新しいケアプランを作ったりすることもあるでしょう。

当初にも記しましたが、施設における介護計画と、居宅ケアプランは、別の書類になります。
今回は居宅ケアプランについて、説明させていただきました。
ケアプラン作成は学ぶべき事もたくさんありますが、頼りにされる要のお仕事です。

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