日本は超高齢社会であり、高齢者の死亡者数が増加する多死社会となっています。
今後、病床不足から病院で最期を迎えられないことも想定する必要があると考えます。
看取りとは何をすればいいのか、どこで看取りができるのか、不安や心配を抱えている方も
いるでしょう。
こちらの記事では看取りの期間や看取りが行われる場所などについて詳しく解説していきます。
目次
介護における看取り期間とは、延命治療を行わず人生の最期を穏やかに過ごす期間です。
本人の意思を尊重し、医療従事者や家族とともに意思を共有し看取りを決断することになります。
こちらでは看取り介護が決定される状態の目安について解説します。
今後は自宅や介護施設で看取りが増えるため、介護関係で働く方はもちろん、両親の介護をしている方は看取り期間について知ることがおすすめです。
看取り安定期は状態が安定している期間です。
お話をして気分転換をしたり、少量でも好きなものを食べたり、入浴したり、今までの生活を
行ってください。
お互い積極的に声を掛け合うことでよい思い出を残すことができるでしょう。
また、本人と意志疎通が取れる場合は、都度看取りの意思や希望を確認しましょう。
家族とも相談し、必要であればケアプランを変更・調整します。
施設に入居している場合は、入居して半年ほど経過した頃が身体的にも精神的にも
安定している時期です。
入居者本人や家族の希望に変更がある場合はケアプランを見直し、調整してもらいましょう。
看取り不安定期とは食欲や体重の減少といった症状がみられ、衰弱が進んでいる段階です。
安定期にできたことができなくなることもあり、心身共に低下している状態です。
本人や家族に今後予想される状況や提供できる医療について説明されます。
また、状態の安定や不安定を繰り返す時期でもあります。
体調が持ち直すことは嬉しいことですが、幾度も繰り返すため、家族は精神的に
疲労してしまうかもしれません。
本人との思い出の品を飾ったり、好きな音楽をかけたりするなど、
本人も家族も穏やかに過ごせる環境をつくりましょう。
看取り介護後期とは医師が「これ以上の回復は見込めず、安定期に戻ることはない」
と判断する時期です。食事や水分摂取量が自然と減少してきます。
在宅で看取る場合は改めて医療機関や親類の連絡先を確認しておきましょう。
看取り介護後期は本人はもちろん家族にとっても辛い時期ですが、できる限り本人の希望に沿い
最善のケアをしてください。最善のケアをしたことが、残された家族の心の支えとなるでしょう。
施設で看取りを行う場合、希望に応じて家族と一緒にケアを行ったり、
面会に職員が同席するなど、家族の心のケアも重要となります。
看取り期間に平均はありません。
病気の種類、年齢、心身の状態など様々な要因により、数か月から数年と人それぞれ異なります。
医師が「これ以上の回復は見込めず、安定期に戻ることはない」と判断する時期までは
心身の安定や不安定を繰り返し、本人、家族ともに不安になることもあるでしょう。
わからないことや相談したいことは都度看護師や医師に声をかけてください。
亡くなる数日~数週間前から話ができなくなる方が多いですが、人間の五感で聴覚は
最期まで残ると言われています。
反応がなくても、本人と家族が穏やかに過ごすために最期まで声をかけてあげましょう。
看取りの場所は自宅、病院、介護施設のいずれかで看取りをされる方がが多いです。
メリット・デメリットを含めそれぞれの場所で行える看取りケアについて詳しく説明します。
本人・ご家族の希望に寄り添える看取りの場所を選ぶ参考になれば幸いです。
「住み慣れた自宅で最期を迎えたい」と希望される方も多いですが、看取るご家族からすると
「できない」、「叶えてあげたいけれど難しい」という声もよく聞かれます。
自宅で看取る場合、ご家族、医療チームと介護サービスが連携することが必要です。
また、急変時に備え在宅と医療が24時間連携して行える体制が必須となります。
自宅でできるケアとしては、身体のケア(食事、入浴、排泄)など日常的なケアはもちろん、
コミュニケーションを重視し、不安、恐怖、孤独感に寄り添う精神的ケアも行われます。
そして、自宅での看取りの最大のメリットは本人の好きなものや家族、
ペットなどに囲まれて、やりたいことをやりながら過ごせることです。
デメリットとしては医療者が来るまでに多少時間がかかることと、
家族の心身の負担が大きいことです。
日本では7割以上の方が病院で最期を迎えています。
病院の最大のメリットはいつでも近くに医療者がいることです。
身体的ケア(食事、排泄、入浴、口腔ケアなど)はもちろん、
コミュニケーションを積極的に取り、本人にとって良い環境を整えて、不安、恐怖、
孤独感に寄り添う精神的ケアを行います。
また、症状緩和のための医療処置もすぐに行うことが可能です。
病院は様々なケアや処置がすぐにできるため家族の心身の負担は大きく減らすことができます。
しかし、デメリットとして入院中は消灯時間など病院の決まりに従わなければいけないことや、
感染症が流行している時は面会制限があることがあげられます。
ここ数年、特別養護老人ホームを中心とした介護施設での看取りが増加しています。
介護施設でのケアは身体的ケア(食事、入浴、排泄など日常生活における基本的なケア)が
行われます。
また、看護師や介護士など多職種で協力し、できるだけそばで寄り添い悩みや思いを傾聴し安心して最期を迎えられるようにサポートします。
さらに、入居者の死が近づくと家族も大きな不安やストレスを抱えることになります。
介護施設の職員は家族に寄り添い、相談しやすい環境を整えてくれます。
デメリットとして、介護施設ですと医師が常勤している施設は少なく、多くが非常勤の意思となるため、緊急時に対応してくれる医師や連携している医療機関があるか確認しておくことも大切です。
近年、グループホームで看取りを行う方も増えています。
グループホームに入居している方は全員認知症の診断を受けています。
認知症だと入院環境に適応できない方もいるため、提携する医療機関や訪問看護と連携して
看取りを行っています。
グループホームでの看取りのメリットは環境が変わらないため、穏やかに最期を過ごせることです。
また、グループホームは少人数制のため、入居者とスタッフの距離が近く、
一人ひとりの状態に合ったきめ細やかなケアが受けられることもメリットのひとつです。
さらに、家族と施設の関係性も近いため、悩みや不安を相談しやすく、細かな要望も伝わりやすいです。
しかし、入居するグループホームによって看取りのケアの方針や体制が異なるため、
入居前に施設の方針やケアの内容を確認することが大切です。
そもそも看取りケアを行っていないグループホームあるため、入居前に確認してください。
看取り介護加算とは、医師が回復の見込がないと判断したご利用者に対して、人生の最期の時までその人らしさを維持できるように、医師、看護師など多職種が連携を保ちながら看取りをする場合に加算される介護報酬です。
こちらでは看取り加算の目的や加算の対象事業者について詳しく説明します。
日本では超高齢社会の進行が進み、多死化が進むと言われています。
自宅で最期を迎えたいという方も、核家族化や単身高齢世帯が増える現状では現実的に難しいという
背景があります。
そのような社会的な背景もあり、介護施設での看取り介護への需要が高まったことから、
看取り介護加算の制度が開始されました。
看取り介護加算はご利用者様が人生の最期までその人らしい暮らしができるように
支援することも目的のひとつとされています。
看取り介護加算は以下の3つの事業者で算定可能となっています。
①特別養護老人ホーム
要介護3以上の方が入居し、身体的ケアや精神的ケアを受けることができます。
看取り期には家族、看護師、介護職、生活相談員などで看取りの方向性について話し合いを行い、
できる限り希望に沿ったケアを行います。
②グループホーム
施設というより家庭に近い環境で少人数の入居者と職員が共同生活を行う場所です。
しかし、看取り介護加算が追加されて以降、入居者が重症化するケースが増え、
一般の介護施設とすると設備の不足や人員の配置が懸念点となっています。
③特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホーム、ケアハウス(介護付)、養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅)
要介護1以上の方の入居し、身体的ケアや精神的ケアを受けることができます。
ただし、施設によって看取りの方針が異なりますし、民間施設では月額の費用も異なりますので、
入居前に事前に確認してください。
こちらの記事では看取りの期間や看取りが行われる場所などについて詳しく解説しました。
看取り期間に平均はなく、本人も家族も辛い時を過ごすこともあると思います。
しかし、医療職や介護職が本人や家族に寄り添い、人生の最期を尊厳を持って過ごせるように
サポートします。
この記事を読んで看取りに対する不安や心配事が少しでも解消されたら幸いです。