世帯主を変更するメリットとは?注意点や手続きの方法を解説

2024.02.09

住民票に記載されている世帯主ですが、その意味合いや何に影響してくるかをご存じでしょうか。
中には世帯主を変更することで、メリットが生まれることがあります

これから世帯主の役割等を説明し、メリットが生まれる条件や内容について紹介していきたいと
思います。
また、最後には変更したいと思う方のために、変更手続きの仕方についても説明したいと思います。

そもそも世帯主とは?

住居および生計を共にする人の集まり、または独立して住居を維持し、
若しくは独立して生計を営む単身者のことを世帯といいます

そして、その世帯を代表する人を世帯主といいます。

世帯主は年齢や所得にかかわらず、世帯の中心となって物事を取り計う人として世帯側から
報告されたものをいいます。

生計を共にする人の集まりであるため、同居していても生計が別であれば別世帯であり、
それぞれの世帯ごとに世帯主がいることになります。

世帯主と戸籍筆頭者は別物

戸籍筆頭者とは戸籍の一番初めに記載されている人です。
戸籍筆頭者が死亡していても、筆頭者が変わることはありません。婚姻すると籍を抜いて、
新たに籍を作ることになります。

その際に氏を改めなかった人が戸籍筆頭者になります。
つまり、婚姻の際に夫の氏を選べば夫が戸籍筆頭者、妻の氏を選べば妻が戸籍筆頭者となります。

このように世帯主は世帯から代表者として届け出るのに対し、戸籍筆頭者は代表者として届け出でたり、変更できるものではありません。

世帯主を変更するメリット

世帯主は世帯の代表として届け出るものですが、世帯主を変更することでメリットが生まれる場合
があります。

代表的なものでいうと、

  • 会社の福利厚生を受けることができること
  • 介護費用を抑えることができることです。

    これからその2点について詳しく説明していきたいと思います。

 会社の福利厚生を受けられる

会社から支給される手当の中に、「住宅手当」があります。
会社によっては「家賃補助」と呼ぶところもあります。この後よりまとめて住宅手当と呼びます。

正社員を条件にしているところもありますが、どの企業も共通の条件にしているのが世帯主で
あることです。

世帯主であれば住宅手当をもらうことができますが、規定上では世帯主が二人いる際にそれぞれ
家賃手当が支給されることになります。
しかし、このような住宅手当の二重取りは多くの会社で禁止されているため注意しましょう。

 介護費用を抑えられる

介護サービスは、費用の一部を利用者が負担することになります。
世帯の収入が介護費用の負担額に関わるものが二つあります。それが下の二つです。

・介護保険負担割合
・介護保険負担限度額

収入に応じて負担割合は3段階、負担限度額は4段階に区分されます。
この場合の収入は世帯でみますので、同居していても世帯を分ける世帯分離を行うことで、
世帯単体の収入が減り負担の段階が軽くなることがあります。

特に負担割合は半分になることもあるので、かなり負担が抑えられることになります。

世帯主を夫から妻に変更したほうがいい場合

これまで世帯主を変更するメリットについて説明してきました。
それでは具体的に世帯主を変更した方が良い場合を、以下の2つの具体例を交えてご説明いたします。

今回は世帯主として多い夫を世帯主としてご説明をいたします。

 夫の会社に手当や補助がなく、妻の会社にある場合

住居手当の支給の有無は会社によって異なります。当然、無い場合もあります。
その際には手当のある会社に勤務している人を世帯主にしましょう。

例えば、夫が世帯主となっているとします。その場合は夫の会社で手当等がない場合は、当然支給はありません。妻の会社に手当があっても世帯主ではないため妻の方にも支給はありません。

この場合に妻を世帯主にすると、妻は手当を受けられるようになるのです。
このような条件に当てはまるのであれば、世帯主を変更しましょう。

 夫が起業や独立をする場合

起業や独立した場合、家族以外の従業員を雇わないと福利厚生を導入することができません。
福利厚生の手当類は会社の負担となってしまいます。
負担軽減のためにも企業や独立をしない人を世帯主にする方が良いでしょう。

例えば夫が起業や独立をした場合に、まず家族以外の従業員がいないと支給はありません。
また、支給をしている場合でも結局は会社の負担となってしまいます。
その場合には妻の会社で受けられるのであれば、妻を世帯主に変更して手当をもらうのが
良いでしょう。

夫から妻に世帯主を変更することに対しての周囲の反応

明治時代に定められていた家長制度の名残で、世帯主は夫といった印象が強い方がいらっしゃいます。
特に地方の方に多いのではないでしょうか。

しかし、現在では男女平等ということが世界的に啓発活動が行われ、認知されており、制度化されています。
また、収入面においても女性の方が収入が多いというケースも増えてきています。

女性の地位も確立されてきましたので、世帯主が妻であっても偏見の目で見られるようなことは
無いでしょう。

世帯主変更の手続き

ここでは世帯主変更の具体的な手続きの仕方を、必要書類と提出の方法についてご説明いたします。

手続きに行く人によっては委任状が必要となるので、手続きに行く人は同一世帯の者なのか、
違うのかを前もって確認しておきましょう。

 必要な書類を用意する

世帯主を変更する際に必要な書類は基本的には下記の2つです。
・住民異動届(役場窓口あるいはダウンロードにより入手可能)
・本人確認書類(免許証、マイナンバー等)

手続き者が同一世帯の人であれば上記の2つのみとなりますが、それ以外の人の場合は例え親族であっても、代理人とみなされ委任状が必要となります。
委任状は様式に指定はありませんが、上の方に「委任状」と書き、下の項目を記載しましょう。

・委任年月日
・委任者の住所/氏名/電話番
・受任者の住所/氏名/電話番
・委任内容
上記の内容を記載し、最後に押印しましょう。

 自治体の窓口に提出する

必要書類が準備できたら、自治体の窓口へ提出しましょう。
住民異動届は窓口で受け取り、その場で記入して提出することも可能です。

住民異動届の記載内容を下記の通りです。

・申込者の名前・住所
・旧世帯主と新世帯主の名前・生年月日
・変更のある世帯員の名前と生年月日  など

また、提出前に必ず同一世帯なのか、それ以外なのかを確認し、委任状の必要の有無を
把握しておきましょう。郵送での手続きはできませんので、必ず窓口へ持参しましょう。

まとめ

これまで世帯主の変更のメリットや、世帯の誰が世帯主になるべきかをご紹介してきました。

昭和や平成初期の時代では、既婚女性が世帯主であったりすると、偏見の目にさら
されることもありました。
しかし、現在の社会ではそういった目で見る方もほとんど見られません。

世帯主を変える手続きも簡単です。
変えることにより福利厚生を受けられたり、介護費用を抑えられたりと
メリットが生まれることがあります。
一度、ご自身の世帯の環境を見て、メリットがあるのであれば変更することをお勧めします。

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