看取り介護の期間とは?平均や時期別のケアの仕方について解説

2024.02.09

看取り介護と聞くと、どのような光景を思い浮かべるでしょう。
家族の最後の瞬間に手を握り、別れを惜しむといったことが想像されるのではないでしょうか。

しかし看取り介護の期間は、要介護者によって様々ですあり、どこで迎えるかも重要です。

そこで今回は看取り介護の期間からどこで看取り介護を行うかなどについて解説します。
この記事を読むことで、悔いのない看取り介護を行っていきましょう。

看取り介護とは?

看取り介護とは、身近に迫った「死」を避けられない人に対して行う介護の事を指します。
肉体や精神の苦痛を和らげつつ、人としての尊厳を守った状態での生活支援を行うことが目的です。

これまでは「死」が迫った人に対しては肉体に機器をつなぐなど、様々な延命治療が行われてきました。
しかし、延命治療を施した状態が人としての尊厳を守れていると言い切れる人はいないでしょう。
看取り介護では、医師の指示に従い痛みを和らげる処置を施し、静かに自分らしい最期を
迎えることを支援していきます。

看取り介護期間別|ケアの仕方

看取り介護には大きく分けて3つの介護期間が存在します。
それぞれの期間によって介護の内容が異なるため、介護期間の状態を知っておくことは大切。

ここでは看取り介護期間の3つの期間についてそれぞれ解説していきます。

 看取り安定期

看取り安定期とは、比較的心身の状態も良好であり、要介護者の気持ちも落ち着いている状態
のことを指します。
この期間は要介護者、介護者双方が残された余命について考えることができる期間です。

自己判断が可能な要介護者であれば、医師から自身の余命について聞かされている可能性もあります。
そのため、一見すると落ち着いて見えますが、心の中ではやがて来る「死」についての葛藤を
抱えている時期です。

そのため介護者に求められるのは、見守りながら要介護者が心穏やかに過ごすことができるよう
配慮すること。要介護者に寄り添う重要な時期が看取り安定期です。

 看取り不安定期

看取り不安定期は、要介護者の体に不調が表れたり、要介護者が思った通りの生活が送れない
時期のことを指します。

病気によっては強い痛みが出てくることもあるため、薬による緩和ケアを行うことも。
そのためできるだけ穏やかに生活できるように配慮したり、必要な介護を施したりする
期間となります。

要介護者は体に出てくる心身の不調から不安定になることもあるため、
介護者が要介護者を気遣い配慮する期間です。

 看取り介護期

看取り介護期は、病状の進行により要介護者が寝たきり状態になるなど、介護が必要になった状態
のことを指します。
いままで要介護者ができていたことができなるなり、排泄などもポータブルトイレや
おむつを使用する状態となります。

夜間でも介護を必要とする可能性もあるため、介護者が常にそばにいないと生活が成り立ちません。
介護者にとって気の抜けない状態となることから、介護者にとってもつらい時期といえるでしょう。

看取り介護期間に平均はある?

看取り介護期間に平均期間は存在しません。
なぜかというと要介護者の病気や進行状態、心身の状況、年齢などが個人で異なるため、
人によっては数か月の期間であったり数年くらい期間があるなど様々だからです。

医師から余命宣告を受けた場合は、定期的な診察を受け体の状態を確認し、どのように
対処すればよいかの助言を受けるとよいでしょう。

また、介護者の負担も増すことから、介護者自身が無理をせず受けられる支援は受けるなどし、
負担を軽減しながら看取り期間を過ごすことも大切です。

看取り介護の場所はどこ?割合順に解説

看取り期間と聞くと自宅を想像すると思いますが、実際に看取り介護をする場所は3つあります。
ここでは看取り介護をする場所として代表的な

  • 病院
  • 介護施設
  • 自宅

の順で特徴を見ていきましょう。

 病院

看取り介護の場所で最も多い場所は病院や診療所であり、全体の約7割程度を占めています。
なぜ病院が最も多いかというと、自宅での対応ができない医療を必要としている、
入院されている人が多いという背景があります。

長期入院を必要とする方や、病状の悪化から入院せざるを得ない人など様々です。
病院には医師や看護師が常駐しているため、要介護者を預ける家族としては安心できる環境
といえます。

 介護施設

介護施設で看取り期間を過ごす人は全体の約1割程度です。
介護保険制度の開始により、入所できる介護施設も増えてきました。
介護施設によっては病状が悪化した場合、病院へ入院することもあります。

また施設によっては高度な医療が不要の場合、医療機関と連携しそのまま施設での見取りが
できるようになりました。

看取りの状況がはっきりとしている場合は、施設の責任者、家族、本人を交えてどのような
見取りを行うかの話し合いがあることもあります。

 自宅

自宅での見取りの割合は全体の約2割です。
比較的に安定して過ごすことができる人であれば、本人も家族もできるだけ住み慣れた場所での
見取りを希望するでしょう。

自宅での見取りを選択した場合、医療関係者や介護職の人との連携が重要となります。
看取り期間がはっきりとしている場合は、どのようにしていけばいいのか関係各所とよく話し合う
必要が出てくるでしょう。

看取り介護加算とは?

看取り介護加算とは、老衰や病気など回復の見込みがないと診断された人を、医師や看護師などと
連携し、介護施設で看取りを行う場合に加算される介護報酬のことを指します。

ここでは看取り介護加算の目的や対象事業者について解説します。

 看取り加算の目的

看取り介護加算は介護老人福祉施設などで終末期を迎える人が増加していることで、
住み慣れた環境で本人の意思を尊重しながら最後を迎えられるようにと制定された加算です。

看取り介護を行うためには、看護体制の強化や、夜間時の医療体制を整えておく必要があります。
その他にも看取りを行うための環境を整えることも大事です。

看取り介護加算は看取りを行う介護施設を評価し、よりよい看取り介護を行えることを目的として
制定されました。

 看取り加算の対象事業者

看取り介護加算の対象事業所は主に3つあります。

  1. 介護老人福祉施設など特別養護老人ホーム。
  2. 特定施設入居者生活介護や地域密着型特定施設入居者生活介護です。
  3. 認知症対応型共同生活介護などの認知症グループホームが該当します。

このように看取り介護加算対象事業者の選択肢があるため、適切な介護を受けられる場所を
選択しましょう。

まとめ


看取り介護期間には平均的な長さはなく、個人個人の病状などによって異なるため、
介護期間を悔いの残らないように過ごすことが大事です。

看取り介護をする場所も病状によって選択できるため、よく話し合うことが大切です。

要介護者にとって過ごしやすい環境を整えてあげられるよう、家族間で話し合い納得できる
答えを見つけましょう。
介護は要介護者、介護者双方にとって負担となるものですが、しっかりと話し合いどのように
最期を迎えるか決めておきましょう。

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