国民健康保険と親子間世帯分離の関係は?申請前に知っておきたいことも解説

2024.02.09

世帯分離を考えたとき「親子間で世帯分離できるのか」と疑問の持つ人もいるかと思います。
また、世帯分離をしたことにより国民健康保険はどうなるのかと、心配する人もいるでしょう。

この記事では世帯分離と、それによって国民健康保険にどのような影響があるのかを解説しています。
この記事を参考にして、世帯分離を前向きに検討していきましょう。

親子間で世帯分離はできるのか?

結論から言うと、親子間での世帯分離は可能です。
世帯分離とは現在同居している親子間で、住民票の世帯を分けること。
特に親と子供間で行われることを指しています。

また、無職や独身であったとしても世帯分離は可能です。
そのためシングルマザーで世帯分離を行い、各種手当を受け取ることもできます。
このように同居しながら世帯分離は行えます。

国民健康保険と世帯分離の関係

国民健康保険は、全国民が加入を義務付けられている保険制度です。

国民健康保険に加入していることで、病気などで医療機関を受診した際の医療費が原則3割負担
となり、残り7割は健康保険からの支払いとなります。

この国民健康保険は、毎年国民健康保険料を納めることで受けられるもの。
国民健康保険料は全国の各自治体によって独自に設定されています。

この国民健康保険料を設定するには、4月1日現在の各世帯の収入と被保険者の人数が必要です。
しかし、世帯分離をした年度内は国民健康保険料は再計算されません。
世帯分離をした翌年から変更となります。

世帯分離がもたらす負担軽減のポイント

世帯分離をすることで、国民健康保険料の負担を軽減できる可能性があります。
ここでは負担軽減できるポイントを3つ紹介しますので、それぞれ見ていきましょう。

 扶養家族の影響

世帯分離を行うことで、扶養家族の影響を受けないというメリットがあります。
扶養家族とは、社会保険などの制度で定められた基準によって扶養される家族のことで、
配偶者や子供などが該当します。

扶養家族は、扶養者の社会保険・公的年金に加入でき、このことで医療費などの給付を
受けられますがその反面、一定の所得制限を受けることになります。

扶養家族の所得が一定額を超えると扶養から外れることになり、自分で国民健康保険、
国民年金に加入することになります。

 保険料の見直し

世帯分離をすることで国民健康保険料の見直しができます。
具体的に国民健康保険を見直しし、節税するには下記の2つのパターンが想定されます。

・住民税非課税世帯になる
・所得割が下がる

住民税非課税世帯になると、国民健康保険の減免を受けることができます。
例えば親の収入が少なく子供の収入が高いと、その世帯は課税世帯となり親子ともに住民税が課税。

これを世帯分離することで親世帯は住民税非課税となり、国民健康保険料の減免され住民税の
課税もなくなります。

 医療費の支払いにおけるメリット

世帯分離行うと、医療費の支払いにメリットがあり、下記の2つのパターンがあります。

・高額療養費制度の利用
・医療費控除の申請

高額療養費制度とは、1か月の間に一定の金額の医療費の支払い額を超えると、超えた分が後から
各市町村から変換してもらえる制度です。

医療費控除とは1年間に支払った医療費が一定の基準額を超えたとき、所得税・住民税の減額を
受けられる制度です。
医療費控除の金額は所得によって異なるため、世帯分離をすることで所得が減り、
控除の基準額が下がる場合があります。
これにより医療費控除を受けやすくなるのです。

世帯分離申請前に知っておきたいこと

世帯分離を行うことで国民健康保険など各種変更点が出てきます。
そこでここでは世帯分離申請前に知っておきたいことを4つ紹介していきます。
それぞれ見ていきましょう。

 世帯分離した日付以前の事象に注意

世帯分離は4月1日以降であればどのタイミングでも行え、住民票の日付にも反映されます。

そのため世帯分離をした以前の事象に関しては、世帯分離前で対応しなくてはいけません。
また世帯分離をした時点で受け取れなくなる手当てがあるため確認が必要です。

世帯分離前に扶養手当や家族手当を支給されていた場合、タイミングは異なりますが
各種手当が受け取れなくなります。

 世帯分離した年度内は国民健康保険料は再計算されない

世帯分離を行ったからといって、国民健康保険料にすぐに反映されることはありません。
国民健康保険料は世帯分離を行った日付から最も近い4月1日での変更となります。

国民健康保険料は4月1日時点の世帯構成によって保険料が決められます。
そのため年度の途中に世帯分離を行ったとしても年度内に国民健康保険料の再計算は行われません。
また世帯分離をした年度内に支払った国民健康保険料や住民税は返還されません。

 世帯分離により他の税金や給付が変わる可能性がある

世帯分離をすることで他の税金や各種給付金が変更になる恐れがあります。
例えば所得税や児童手当、特別定額給付金などが該当。

そのため世帯分離前に現在受けている給付がどうなるのか市町村や税務署などに相談をし、
メリットとデメリットをしっかりと把握しておきましょう。
各種機関に相談をし、世帯分離を行うシミュレーションを徹底的に行うことがおすすめです。

 世帯分離により家族関係や生活環境が変わる可能性がある

世帯分離を行うことで家族関係や生活環境に変化が表れる場合があります。

例えば親子や兄弟が世帯分離をした場合。
この場合だと相続や贈与などの法的な問題が発生する恐れが出てきます。

また家族間でできていたコミュニケーションにも影響が出る可能性があります。
その他家族のサポート面においても問題が出てくるかもしれません。
トラブルなどを防ぐためにも、世帯分離を行う際は家族間でしっかりと話し合いをしておきましょう。

まとめ

世帯分離を行うことで国民健康保険などにメリット、デメリットが発生します。
世帯分離をすることで国民健康保険料を抑えることができますが、
場合によっては増額の可能性もあります。

世帯分離をすることで自分の身に起きるであろうデメリットをしっかりとシミュレーションして
回避し、世帯分離のメリットを受けられるようにしましょう。

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