居宅療養管理指導とは?利用手順や費用、算定要件を詳しく解説!

2024.02.22

皆さんは、「居宅療養管理指導」という介護保険サービスをご存知でしょうか?
言葉の意味をみてみると、自宅での療養を管理、指導してくれるサービスということになります。

この記事では、居宅療養管理指導というサービスについてわかりやすく説明をいたします。

どのような方が対象なのか?実際にサービスを理容する場合の利用手順や費用、
算定要件について順番に確認していきましょう。

居宅療養管理指導とは?

居宅療養管理指導とは、介護保険法に定められた居宅サービスの一つです。

概要としては、「要介護状態となった場合でも、利用者が可能な限り居宅で、
有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医師、歯科医師、薬剤師、
管理栄養士または歯科衛生士等が、通院が困難な利用者の居宅を法門して、心身の状況、
置かれている環境等を把握し、それらを踏まえて療養上の管理及び指導を行うことにより、
その者の療養生活の室の向上を図るもの」とされています。

 居宅療養管理指導の特徴

居宅療養管理指導の特徴は、通院が困難な方に対して、自宅で専門的な指導を受けることができる
という点が挙げられます。

可能であれば、家族も同席して指導を受けたりすることで、自宅療養の不安が解消されたり、
在宅での療養の質が向上します。

また、指導を行うことができる専門領域が広いことが挙げられます。

医師、歯科医師からの医療的な指導をはじめ、薬剤師による薬の服用に関する指導、
管理栄養士による食事に関する指導であったり、看護師、保健師による療養上の不安や悩みに対する
相談などを受けることができます。

 医師が行う居宅療養管理指導

医師が行う居宅療養管理指導は、計画的で継続的な医学的管理計画に基づいて実施され、
指導内容は、居宅介護支援事業者に対しては、居宅サービス計画の策定畳、必要な情報提供を行う
とされています。

居宅の要介護者、家族などに対しては、居宅サービスを利用する上での留意点や、介護方法などに
ついての指導や助言をするとされています。

これは、医師が訪問診療、または往診を行った際に利用者に対し、指導・助言などを行った場合に
算定するものです。

 薬局が行う居宅療養管理指導

薬局の薬剤師や医師が自宅を訪問して行う指導は、次のようになります。

・医師または歯科医師の指示に基づいて実施される薬学的な管理及び指導
・居宅介護支援事業者に対する、居宅サービス計画の策定などに必要な情報提供

具体的な事例としては、「薬が大量に余っている」または、「複数回分の薬を一度に服用している」
「薬の服用を拒絶している」と言った問題に対して、適切な管理、指導を行うことで
問題の解決をはかるといったことがあります。

訪問診療や往診との違い

 居宅療養管理指導と、訪問診療や往診との違いはどこにあるのでしょうか?

それぞれ、医師が自宅を訪問して、要介護者に医学的な対応や、指示を行うため、
違いがわかりにくくなっています。
違いについて、確認していきましょう。

 訪問診療

訪問診療とは、計画的に医療サービス(診療)を提供することです。

一人では通院が困難な患者さまのところへ、毎週訪問する日や曜日、時間を定めておいて、
医師が直截自宅を訪問し診療を行います。

対象者は、原則的に「自宅や施設で療養を行っており、疾病や傷病のため通院による療養が困難な方」とされています。

一般的には訪問診療は、長期に渡り実施されるものであり、緊急的な治療とは違って、
予防医学的治療を目的としています。

 往診

往診とは、患者さんの求めに応じて、緊急的に医師が自宅を訪問し、診療を行うものです。

先程の訪問診療とは違い、突発的な患者さんの容態の急変時や緊急時に自宅を訪問し
診察を行います。患者さんの状況に応じて、医学的な対症療法を行い、必要があれば入院先の手配や、救急車を呼ぶなどの対応を医師が行います。

自宅を訪問して行なわれる診療は、診療所などにおいても、訪問診療を「往診」と呼ぶなど、
用語の使い方が混同されていることが多いようです。

居宅療養管理指導の費用

利用料としては、通常は介護保険の点数として、計上された費用の1割、
または2割の負担となります。

介護保険の点数は、改定などで変動する場合がありますので、その都度確認されてください。

また、訪問先が、自宅であるのか、施設であるのか、施設である場合は居住状況でも
点数が変わります。

訪問診療など、医療保険での治療を行っている方は、医療保険の一部負担金とは別に居宅療養指導の
負担が発生します。
詳しくは、居宅療養管理指導を実施している事業所にお尋ねください。

居宅療養管理指導の利用の仕方

基本的には、自宅で療養するに当たって療養上よくわからない事柄に関しての、助言や指導を
受けるサービスとなります。

近年は認知証高齢者が自宅で生活する際に、薬の管理がうまく行かなかったりする場合に、
薬剤師による居宅療養管理指導を受けるケース。

あるいは、食事療法の必要な時病があり、病院から退院して自宅で療養をしたいが、
どのように食事をつくったらよいのかわからない場合に、管理栄養士から指導を受けるケースなどが
考えられます。

 利用の流れ

それぞれの専門職によって、利用開始の流れは違います。

基本的には、かかりつけの医師や、担当している介護支援専門員に相談するなどして、
サービスを手配してもらうケースもあります。

病院から、退院したあとの自宅療養ということであれば、病院のチームケアの一環として、
退院後の生活を他職種連携でサポートしていく場合もあります。

薬剤師の居宅療養管理指導は医師の指示に基づいて、薬の管理や服薬の仕方、
薬学的な管理指導を行いますので、この場合はかかりつけ医に相談するのが良いでしょう。

 事業者を選ぶときのポイント

基本的には介護保険での利用になりますので、担当の介護支援専門員に相談することが考えられます。

事業者は、基本的には、普段からかかりつけの事業者に居宅療養管理指導をお願いすることに
なります。
医師、歯科医師については、普段から訪問診療を実施している診療所が行います。

居宅療養管理指導をお願いする際の状況も、様々考えられますが、
基本的にはかかりつけ医に相談して、手配してもらい、必要があれば事業者を選ぶケースがある
場合もあるでしょう。

居宅療養管理指導の算定要件

居宅療養管理指導の算定要件については、いくつか規定があります。

医師、歯科医師の居宅療養管理指導については

「主治の医師及び歯科医師の行う居宅療養管理指導については(略)
指定居宅介護支援事業者(略)等に対する介護サービス計画の策定などに必要な情報提供
並びに利用者もしくはその家族などに対する介護サービスを利用する上での留意点、
介護方法などについての指導及び助言を行った場合に算定する」

と規定されています。
また、医師の指示がなければ、本人や家族の希望があっても、薬局や薬剤師が居宅療養管理指導を
算定することはできません。

まとめ

居宅療養管理指導を理解するに当たって、医師が自宅を訪問して診療する際の内容の違いに
ついてなど、必要なことを学んできました。

居宅療養管理指導の介護保険利用も年々増加しており、サービスとしての重要性が増してきている
ようです。

他職種が、専門性を活かして自宅で療養する方に必要な指導を提供することで、
連携してケアに当たることで、自宅で落ち着いて療養できる環境が整っていくことが
期待されています。

お役立ちコラム一覧へ戻る