バイタルサインとは?高齢者の正常値や測定方法など詳しく解説!

2024.02.22

みなさんはバイタルサインという言葉をご存知ですか?

人間の体は複雑な構造でできており、様々な器官や電気信号、複雑な運動で生命活動を
維持いしています。

その中でも、特に病気や健康に深くかかわり、それらを確認、測定することでその人の体の異変
などのサインを読み取ることができます。

また、近年少子高齢化社会がすすむ日本では、高齢者の割合が右肩あがりに増えています。

自分自身も身の回りで介護を必要とする方にとっても、健康を確認、維持するためにバイタルサインについて知識を深め、健康で元気な生活を続け自分らしい人生を歩んでいきましょう!

バイタルサインとは?

バイタルサインとは、日本語は「生命兆候」と言います。
読んで字のごとく、生きていく上で絶えず体が示してくれるサインです。

そのバイタルサインには基本的には5つの項目があります。
「脈拍」「呼吸」「体温」「血圧」「意識レベル」の5つです。

今回はその5つの基本的なバイタルサインに「尿量」の項目を加えた6つの項目を紹介します!

バイタルサインは特に高齢者の介護や看護にとって、利用者や患者の体の状態を知るきっかけに
なります。なぜ高齢者にとってバイタルサインは重要なのでしょうか見ていきましょう!

高齢者のバイタルサインを測定する目的

なぜ高齢者にとってバイタルサインは特に重要なのでしょうか?

バイタルサインの目的は、利用者の「脈拍」「体温」「呼吸」「血圧」「意識レベル」などが、
基準値に近いかどうかを知るために行われます。

介護の現場では、毎日測定し利用者のバイタルサインの平均値をしることで、その平均値から
外れた時に体調の変化にいち早く気づくことができます!

また、高齢者や認知症がある方は、体調不良や体の異変が起きても自覚症状がないことがあります。

自分で気づきづらくなった高齢者にとっては、バイタルサインを正確に図り、
それを理解していてくれる方が近くにいることによって、本人やその家族も安心して生活して
いただくという目的もあります!

高齢者のバイタルサインの正しい測定方法

バイタルサインの目的をしることで重要性が理解できました。
それでは次に高齢者のバイタルサインの正しい測定方法をご紹介します。

バイタルの測定方法はとても大切で、間違えた測定方法では測定ができないことや、
間違った値がでることも多いです。

正しい測定方法で、正しい値を知ることで、正しい体の状態を知りましょう。

バイタルサインは、測定することももちろん大切ですが、
その数値をしっかりと記録に記すこともとても重要です!

毎日の測定値を記録し見比べることで、より細かで気づきにくい変化も察知することができます。
早期発見と早期治療を健康に過ごすための習慣としていきましょう!

 脈拍

それでは、一つ一つバイタルサインについてご紹介していきます。
まず1つ目は「脈拍」についてです。

脈拍は皆さんご存知の通り、心臓の鼓動の回数で、1分間の鼓動の回数を測定します。

脈拍の基準値は60〜100回とされています。
高齢者の場合は60〜90でやや少なめ1分間に100回以上で、頻脈(鼓動は多すぎる)

50回以下で頻脈(鼓動が少なすぎる)状態とされています。

脈拍は最も脈が触れやすい、橈骨動脈に人指し指、中指、薬指の3本を 軽く当て、
1分間計測します。

緊張時や運動、入浴後などに測定はせず、安静な時に測定をしましょう!

 血圧

続いてのバイタルサインは「血圧」です。
血圧は心臓が血液をポンプのように送り出した時の圧力の値です。

血圧の正常値は、140mmHg / 90mmHgとされており、
高齢者の理想な値は、125∼139/65∼85mmHg の範囲が理想な値とされています。

家庭では、電子血圧計を使用することをおすすめします。
安静な体位をとり、 上腕にマンシェットを指が1~2本入る程度 のゆるさに巻く測定方法が基本です。

最近では、手首にまいて測定できるものなどもありますので、電子血圧計についている
取り扱い説明書をよく読んで測定しましょう!

 呼吸数

3つめのバイタルサインは「呼吸数」です。
呼吸数は「吸って吐く」を1回として、1分間に12回〜20回が正常値とされています。

高齢者の呼吸数の正常値は16回〜20回とされており、高齢者の呼吸数は、やや早い傾向にあります。

測定方法としては、測定することを意識させずリラックスした状態で測定することが大切で
「呼吸の数」と「呼吸の仕方」の2つを見る必要があります。
呼吸に合わせて上下する、胸や腹部の動きを確認しながら見る必要があります。

 呼吸音

呼吸関連でのバイタルサインはもう一つあり、それが、「呼吸音」です。

呼吸は通常一定のリズムで行いますが、異常な呼吸をする時はリズムに変化がおきたり、
異常な音がなることがあります。代表的な異常呼吸の一覧は以下の通りです。


・緩除呼吸
遅い呼吸で、1分間で10回以下が目安。リズムは一定で回数が少ないのが特徴です。
・頻呼吸
早く浅い呼吸で、1分間で22回以上が目安。
・過呼吸
早く深い呼吸。俗に言う過換気のこと。
・チェーンストークス呼吸
深い呼吸と無呼吸が交互にくるのが特徴。心不全や薬による作用、脳障害によく見られる。
・ビオー呼吸
予測できない不規則なリズムと深さの呼吸が持続するのが特徴。主に脊髄レベルでの脳の障害で
起こることが多い。

呼吸数と呼吸音とともに重要な測定ポイントとして、もう一つ大事なものが、
「SPO2」があげられます。これは「血中に含まれる酸素の量」を示す数値です。

この数値が「95%」を下回ると、呼吸不全が疑われるので注意が必要です。
パルスオキシメーターという指に挟むだけで、数値を図れる機器で簡単に測定できるので、
呼吸数や呼吸音を確認する際に、あわせて活用しましょう!

 体温

4つめのバイタルサインは「体温」です。
これはバイタルサインとして最もポピュラーなものかと思いますが、実はこの体温の測定にも
3種類の測定方法があります。

体温の測定方法の3種類は以下の一覧の通りです。

・表面体温 皮膚の表面を測定した時の体温
・口腔温、腋窩温 口の中の温度、脇の下の温度
・深部体温 内蔵など体の内部の体温

一般的な体温計で測定できるのは、腋窩温で脇の下に体温計を挟んで測定するものです。
しかし、脇の下での測定は測定方法を間違うと誤差が大きくでやすくなります。

安静にしてリラックスしている時に測定しましょう。脇の下での測定は汗などをよく拭き取り、
「30度」の角度で測定しましょう。

痩せていて、肌が密着できない時は、口の中など他の部位で測定しましょう。
基準値は、その人の平熱によって変化しますが、高齢者は低くめで35℃台のことが多いです。

毎日、測定し自分の平熱を知り、その値からプラス0.5℃で微熱と捉えて考えましょう。

 意識レベル

5つ目のバイタルサインは「意識レベル」です。
意識レベルは外的な刺激に対してどのくらいの反応があるかを測定しレベル別に測定する方法です。

声をかける、刺激する、痛み刺激を与える。という順にしていきます。
その人の状態がわからない場合は刺激を与えるといっても激しく揺さぶるなどの刺激はさけましょう。

今回はジャパンコーマスケールという、数値が大きくなるほど状態が深刻な意識レベルを示す、
測定方法とレベルの一覧を紹介します。

  • 【Ⅰ郡 刺激しないでも覚醒している状態】
    Ⅰ郡−1:意識清明とは言えない  Ⅰ郡−2:見当識障害がある Ⅰ郡−3:自分の名前、生年月日が言えない
  • 【Ⅱ郡 刺激すると覚醒する状態】
    Ⅱ郡−10:呼びかけで容易に開眼する Ⅱ郡−20:大きな声または体を揺さぶることで開眼する Ⅱ郡−30:痛み刺激を与えつつ呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する
  • 【Ⅲ郡 刺激をしても覚醒しない状態】
    Ⅲ郡−100:痛み刺激に対して払いのけるような仕草をする  Ⅲ郡−200:痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめたりする
    Ⅲ郡−300:痛み刺激に全く反応しない

バイタルサインを測定する際、意識レベルにも注意し、重度と判断した場合は、
すぐに救急車を呼びましょう!

 尿量

バイタルサインとは少し違いますが、高齢者にとっては尿量も重要な、体の調子を示す
サインの1つです。

尿量は基本的に、高齢になると1日の尿量が減り、排尿の回数は増える(1回の尿量が減る)のが
特徴です。体の老廃物などは、尿と一緒に体外に排出されるため、尿量が減るということは、
体に悪いものが溜まっていることを示すサインとなります。

成人の正常な尿量は1L〜1.5Lが基準で、高齢者は1.2Lが基準となります。

測定方法は計量カップを用いて、1回の尿量を測定して1日の回数と尿量を記録していきます。
尿量が減っていると腎臓の病気、心不全、脱水、結石、熱中症など様々な病気の原因となります。

高齢者のバイタルサイン正常値

高齢者のバイタルサインについて、深掘りをして紹介しました。
おさらいとしてもう一度、各バイタルサインの正常値、基準値を一覧にまとめました。

脈拍の正常値:1分間に60回〜100回  高齢者の場合は60回〜90回
呼吸数の正常値:1分間に12〜20回   高齢者の場合は16〜20回
呼吸音の正常 :一定のリズム、胸や腹部の上下運動にも気を配り、SPO2は95%以上
体温の正常値 :毎日測定し平熱を知ることがポイント、平熱から0.5℃で微熱と判断してよい。
意識レベル:ジャパンコーマスケールの場合、Ⅰ郡は、刺激しないでも覚醒。
Ⅱ郡は、刺激すると覚醒。Ⅲ郡は刺激しても覚醒しない。詳細は意識レベルの項目を参照。
尿量の正常値:1日1L〜1.5L   高齢者の場合は1日、1.2Lが目安。

まとめ

今回は、高齢者のバイタルサインの正常値に焦点をあて紹介しました。
ご自身が高齢になった方、身の回りの高齢者でお世話が必要になったかた、福祉や医療の仕事に
興味がある方は是非参考にして役立ててください!

バイタルサインの基準値を知り、その方のバイタルサインの平均値を測定、
記録することで体の調子を把握し毎日に健康に過ごしましょう!

また、測定と記録から異変をいち早く察知し、早期発見、早期治療につなげることで
重度化を防ぎ、いつまでも自分らしい人生を楽しみましょう!

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