要介護5とはどのような状態?利用できるサービスや寿命について解説

2024.03.06

介護保険によるサービスを受けるには認定調査を経て、要介護認定を受ける必要があります。
その要介護度は1から5までの5段階に分かれており、数が増えていくほどに症状が重くなっていきます。つまり、最も症状が重いのが要介護5です。

今回は最も症状の重い要介護5について、判定基準や受けられるサービス、
施設での終末期の対応などについて説明していきます。

要介護5とはどのような状態?

介護度5の要因の1位、2位がそれぞれ脳梗塞、認知症であるため、麻痺や意思疎通ができない方も
多くいます。
そういった介護度の中で最も症状が重いため、ほとんどの介護サービスを使うことが可能です。

利用できるサービスの代表的なものを訪問型、通所型、多機能型、入所型、福祉用具のレンタル、
その他に分けて説明していきたいと思います。

 要介護5の認定基準

厚生労働省では要介護5は「要介護認定等基準時間が110分以上またはこれに相当すると認められる状態」と定めています。

要介護認定等基準時間とはその人の「能力」、「介助の方法」等のより推計される介護に
要する時間、つまり「介護の手間」を「分」単位で表したものです。

分」という時間の単位で表しますが、実際に介護に要する時間ではないので注意が必要です。

要介護認定等基準時間は下記の5つの項目にあてはめ、推計しています。
これらの時間はコンピュータにより時間が算出されます。これが一次判定です。

この時間をもとに学識者等が行う二次判定により介護度が決定します。

要介護5で利用できるサービス

介護度5の要因の1位、2位がそれぞれ脳梗塞、認知症であるため、麻痺や意思疎通が
できない方も多くいます。
そういった介護度の中で最も症状が重いため、ほとんどの介護サービスを使うことが可能です。

利用できるサービスの代表的なものを訪問型、通所型、多機能型、入所型、福祉用具のレンタル、
その他に分けて説明していきたいと思います。

 訪問型

介護度5で受けられる訪問型サービスは下記の通りです。

・訪問介護
・訪問看護
・訪問リハビリ
・訪問入浴
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・夜間対応型訪問介護

介護士、看護師、その他理学療法士などのリハビリの専門職が訪問し、
介護や看護、リハビリを行います。
その他専用浴槽を持ってきて入浴介助を行う訪問入浴もあります。

 通所型

介護度5で受けられる通所型サービスは下記の通りです。

・通所介護(デイサービス)
・通所リハビリ
・療養通所介護
・認知症対応型通所介護
・地域密着型通所介護

通所のサービスには通いの目的や規模に応じて種類が分かれています。

通常の通所介護、リハビリ、療養機能をもった通所リハビリと療養通所介護、
認知症の方のみに限定される認知症対応型通所、そして利用定員19名未満の地域密着型通所
があります。

 多機能型

介護度5で受けられる多機能型サービスは下記の通りです。

・小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

通所、短期入所、訪問などのサービスを複合的に受けられるサービスです。
小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護の違いは、名称にあるように「看護」の
サービスの有無による違いです。

 入所型

介護度5で受けられる入所型サービスは下記の通りです。

・特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
・特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)
・介護老人保健施設(老健)
・介護療養型医療施設
・介護医療院
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

介護度5の方の多くが、こちらのサービスを利用されているかと思います。
介護度や医療行為の程度等により入所条件があります。

 福祉用具のレンタル

在宅の方には福祉用具のレンタルサービスも利用できます。電動ベッドのような高価な物から、
杖のような小物まで幅広くレンタルが可能です。

介護保険で利用できるもの、できないものがあるので注意が必要です。

 その他

その他にも下記のようなものが介護保険を使うことができます。

・特定福祉用具購入
・住宅改修

福祉用具購入も対象商品であれば、介護保険サービスで購入することができます。
住宅改修も手すりつけたり、バリアフリーにする工事も介護保険を使用し、
負担を減らすことができます。

いずれも適用されるものとされないものがあるので、事前に確認しましょう。

要介護5の寿命について

ここからは要介護5の方の終末期についてご説明していきたいと思います。
介護度5の方は最も重い症状であり、一番寿命の終末に近い状態です。

脳梗塞や認知症により身体が不自由であったり意思疎通が多くの場合できません。そのため、事前に確認や心構えをしておく必要があります。
それらの内容を以降で説明していきたいと思います。

 要介護5の平均寿命

要介護5の平均寿命は、令和4年度のデータによると、男性81.48歳、女性87.45歳となっています。
要介護5に限らず要介護認定を受けた方の平均年齢は男性72.68歳、女性75.38歳です。

つまり、男性であれば約9年、女性であれば約12年介護が必要と言うことになります。

要介護5の方で言うと、認定を受けた方の平均余命は、男性は1.23年、女性は1.55年となっています。
もちろん個人差はありますが、それほど寿命をまっとうするまで、そう長くはない状態と言えるでしょう。

 要介護5で寿命を迎える施設の例

要介護5の方が施設で終末期を迎える場合、急死を除き医療行為の有無によって介護施設に
残るか病院へ入院するかに分かれることになります。

特に延命治療を希望される場合は、人工呼吸器をつけたりなどの医療行為が発生するため、
医師のいない介護施設では対応できません。そのため病院へ入院することになります。

延命治療を望まず、その他の医療行為がない場合には施設で出来る限り活動に
参加してもらったり入浴したりしながら、最後のひと時まで過ごすことになります。

 要介護5で寿命を迎える前にするべきことは?

現在、施設等では入所時に急に容体が変わった際や、終末期の際の意向確認を行っています。
しかし、いざそうなり差し迫ると、心変わりすることもあるでしょう。

要介護5の方が自分の意思を伝えるのは難しいため、医師や施設従事者はほとんどの場合、
家族に意向確認を行います。

そのため、終末期の診断を告げられた際には、家族全員で話し合いを行い意向をまとめておく
必要があります。

そして決まった今後の介護や、医療行為等を家族の意向として施設や医師に伝えましょう。

まとめ

これまで要介護5についてその判定基準や、受けられるサービス、施設での終末例を説明してきました。要介護5は最も症状が重いため、家で対応するのはとても大変です。

色々なサービスを利用して時にはゆっくり休むことも必要ですので、参考にされてください。

また、施設に預けられている方は、何か医療行為が発生する場合は、
必ず家族の意向が必要となります。ある程度家族内で話し合っておき、
すぐに判断できる状態にしておくと、その後の医師や介護士の対応もスムーズになります。

介護される側の意向も組みながら、より良い最期を家族と共に迎えてもらいたいものです。

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