介護老人保健施設(略して老健)とは医療ケアやリハビリが必要な高齢者が利用できる
施設サービスです。
65歳以上で要介護1以上の高齢者が、自宅での生活をできる限り自立して行うことを目標に、
原則約3〜6ヵ月の限定で入所し、介護と看護のサービスを受けることができます。
介護老人保健施設には、どのような特徴があり、どう活用していくと良いのか、
また、費用などついて詳しくご紹介します!
目次
介護老人保健施設とは、介護が必要な高齢者が、在宅復帰することを目標にして、
可能な範囲で自立した生活が送れるまでを支援している施設です。
一人暮らしをされている高齢者の方など、介護老人保健施設の利用を検討されてはどうでしょうか?
厚生労働省によりますと、介護老人保健施設は
・リハビリを提供する機能の維持・改善の役割を担う施設
・在宅復帰、在宅療養支援のための地域拠点となる施設
介護老人保健施設の特徴は
・介護保険が適用される公的な施設である
・入所期間は3〜6ヵ月の原則がある
・医療ケアやリハビリにより在宅での復帰を目標とする
※厚生労働省により介護老人保健施設の定義が介護保険法第8条第28項に記載されています。
介護老人保健施設への入所について、いくつかの条件があります。
・原則65歳以上
・要介護1以上の介護認定を受けている
・40歳〜64歳の特定疾病による要介護認定を受けている
・伝染病などの疾患が無く、長期入院などを必要としない
などがあります。
介護老人保健施設によっては条件が多少異なる場合がありますので必ず確認をしましょう。
介護老人保健施設への入所手続きは一定の時間を必要としますので、早めに準備をしましょう。
手続きの流れとして
1 . 介護認定を受ける
2. 入所申し込み・面談
3. 書類提出・入所判定
4. 入所契約・入所
申し込みから入所まではこのような順序になります。
病歴や習慣、こだわりや癖などをメモして面談に備えておくのも良いでしょう。
要介護認定とは、対象者が日常生活においてどの程度の介護を必要とするかを
7段階の数値で表したもので、認定されると公的な介護保険サービスを利用できます。
要介護は1〜5で認定され、介護が必要ない場合には非該当との認定もあります。
介護老人保健施設では、要介護1以上の方が入所対象者のため、この要介護認定を受ける
必要があります。
認定ができていない場合は、市町村にある地域包括支援センター、または役所の
高齢者福祉窓口に必要書類を提出しましょう。
介護老人保健施設へ入所の申し込みをしましょう。
申し込みは介護老人保健施設に直接申し込みます。
病院に入院中の場合は医療ソーシャルワーカーに、在宅で介護を受けている場合は
ケアマネジャーに相談しましょう。
次に面談があります。
面談は施設側が本人とその家族を含めて行い、要介護度・現在の心身状態・生活の様子
・医療ケアがどの程度必要なのか、などを確認します。
入所前に確認をすることでトラブルの回避にもつながるでしょう。
面談が終了後、書類の提出をしましょう。
具体的には、施設利用申込書、診療情報提供書または健康診断書、
看護サマリー(病院や他の施設から転院する場合)などです。
施設側が本人の健康状態や介護状況を正確に確認し、入所判定をするために必要となります。
施設側が面談内容や書類をもとに、本人の健康状態や介護状態なども考慮して、入所判定を行います。
判定基準などは施設によりますが、しばらく判定を待ちましょう。
判断結果が入所可能であれば、施設側と正式に契約を行い、入所日を決定します。
契約書は、よく内容を確認し、不明な点があればどんな些細なことでも施設へ質問しましょう。
入所者は基本的に居室か共有のスペースで過ごします。
1日のスケジュールが起床から就寝まで計画されており、食事・口腔ケア・リハビリ
・入浴などが予定されています。
入所期間は3〜6ヵ月の原則です。
入所前に見学が可能かどうかも確認しましょう。
介護老人保健施設は、要介護者が在宅復帰を目標にリハビリや医療ケアを行っている施設です。
各個人のライフスタイルに添って、長期の入所・ショートステイ(短期の入所)
・デイケア(通所リハビリ)などが選択可能です。
本人と家族で相談し、無理のない活用を考えましょう。
デイケア(通所リハビリ)は要支援と要介護どちらかの認定を受けている人であれば、
全ての人を対象としているサービスです。
介護老人保健施設で提供されるサービスは
・食事介助
・入浴介助
・排泄介助
・着替えの介助
・医師・看護師による医療ケア
・リハビリ専門職による実用的な機能訓練
また、64歳以下でも特定疾病を抱えている人で介護認定を受けることができれば、
デイケア(通所リハビリ)のサービスを利用することができます。
送迎があるかどうかも忘れずに確認しておきましょう。
要介護高齢者が短期入所できるショートステイは、利用できる施設が複数あります。
介護老人保健施設のショートステイは専用のベッドを設置しているところが多くあり、
居室は4人部屋の多床室や1人個室のタイプなど、施設によって異なります。
胃ろうや痰の吸引などの医療的ケアが必要な方も利用しやすく対応も柔軟です。
自宅で身体機能が低下してきたため、短期間に施設でリハビリをしたいという方にオススメします。
介護老人保健施設の施設サービス(入所)では、日々の生活を支えるためのサービスが提供されます。
リハビリでは在宅復帰を目標に日常生活の基本的な動作が行えるよう個別に対応し、
看護・医療的ケアでは常勤医師や看護師による医療的ケアを受けられます。
身体介護では食事・入浴・排せつを基本とした介助や移乗介助、整容介助など生活全般を
支援しています。
生活援助では定期的な居室の清掃やシーツ交換などが行われ、
食事については栄養士によって管理された食事が提供され、治療食や介護食など個別に
対応しています。
アレルギーや入れ歯など、しっかり施設側に伝えておくと事故を防げるでしょう。
介護老人保健施設の居室や生活設備は共有で使用され、個人用の設備はほとんど無く、
居室は主に2~4人の多床室となっています。
居室にはベッドやタンスなど入所者の私物を保管できるものとナースコールの設置が義務付け
られており、共有のスペースには診察室、機能訓練室、リビング、食堂、浴室、洗面所、
トイレ、洗濯室、汚物処理室などの設置が義務付けられています。
不都合な点があれば施設側に相談してみましょう。
介護老人保健施設は公的な介護施設のため、入所時の一時金などの費用は不要で、
月額利用料としての賃料と食費、日常の生活費、そして介護保険の自己負担分のみです。
賃料は介護度と施設のタイプ(従来型・在宅強化型)か、個室か多床室かによって違いがあります。
食費はメニューなどで施設によって違いがありますが、およそ15万円以内に収まる見込みです。
特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)制度を利用して住居費と食費を安くしましょう。
介護老人保健施設は65歳以上で要介護1以上の高齢者が自宅復帰を目標に利用できる施設サービスです。
医療ケアやリハビリが充実しており、介護と看護のサービスを受けることができ、
施設サービス(入所)やデイケア(通所リハビリ)、ショートステイなど選択可能です。
費用は公的な介護施設のため介護保険が適用され、月額利用料としての賃料と食費、生活費、
介護保険のみです。
介護老人保健施設のメリットを理解して、本人や家族の介護の負担を軽減し適切に
利用していきましょう。